不動産の売却を考えたとき、「何から始めるべきか」「損をしないか」といった不安はつきものです。しかし、売却全体の「正しい流れ」を事前に理解しておくことが成功への近道になります。
この記事では、不動産の専門家監修のもと、準備から売却後の確定申告までの全工程を7つのステップで徹底解説。
状況や物件別の売却の流れから、期間や費用、税金まで網羅しています。
売却の全体像を掴み、自信を持って第一歩を踏み出すためにお役立てください。
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目次
【図解】不動産売却の流れ│全体像と期間

長期にわたる売却活動で道に迷わないためには、最初に全体像をつかむことが重要です。
まず、売却の全工程を示したロードマップと、それぞれのステップにかかる期間の目安を確認しておきましょう。
【図解】不動産売却の準備から確定申告までの流れ
不動産売却は、大きく分けると「準備・調査フェーズ」「売却活動フェーズ」「契約・決済フェーズ」「売却後フェーズ」の4つに分類でき、具体的なアクションは7つのステップで構成されます。

上記の図が、不動産売却の一般的な流れです。
各ステップの内容を把握しておくことで事前の準備もしやすくなり、売却をスムーズに進めることができます。
不動産売却の期間は平均3~6か月!各ステップの目安
不動産売却にかかる期間は、一般的に相談開始から物件の引き渡し完了まで、3〜6か月程度を見ておくと良いでしょう。
ただし、物件種別、エリアの需要、築年数によって、売却期間は大幅に変動します 。
例としてマンションは一般的に戸建てより早く売れる傾向にあります。
他方で人気のないエリアや修繕が必要な物件の場合、売却までに1年以上を要することも決して珍しくありません 。
売却活動を開始して半年以上経っても売却できない場合は、価格設定や販売戦略の見直しを不動産会社と相談するなど、長期化した場合の次の一手を考えておくことも重要です。
【売却期間の目安】
| フェーズ | ステップ | 主な内容 | 標準的な期間 |
| 準備・調査 | ステップ1~3 | ローン確認、相場調査、査定、媒介契約 | 約2週間~1か月 |
| 売却活動 | ステップ4 | 広告活動、内覧対応、条件交渉 | 約1か月~3か月 |
| 契約・決済 | ステップ5~6 | 売買契約、住宅ローン審査(買主)、決済 | 約1か月~2か月 |
| 売却後 | ステップ7 | 確定申告 | 売却の翌年2/16~3/15 |
【注意】売却が長期化する主な原因
上記の期間はあくまで目安です。以下のような要因があると、売却期間が1年以上に及ぶこともあるので注意しましょう。
- 相場を無視した高すぎる価格設定
売主の「高く売りたい」という希望と、市場の評価が乖離していると、内覧の申し込みすら入らない状況に陥ります。 - 建物や土地のコンディション
雨漏りやシロアリ被害など、修繕が必要な欠陥があると、買主が見つかりにくくなります。 - 権利関係の複雑さ
相続で不動産の共有者が多数いる、隣地との境界が未確定であるなど、法的な問題を抱えている物件は、解決に時間がかかります。
こうしたリスクを事前に想定し、余裕を持ったスケジュールを組むことが成功の秘訣です。
参考記事:戸建て売却期間の平均は3~6か月!スムーズに売るためのコツと対処法を解説
売却方法は2種類!「仲介」と「買取」の流れとメリット・デメリット

売却戦略を立てる上で、最初の大きな分岐点が「仲介」と「買取」のどちらを選ぶかという問題です。これは、売却における「価格」と「スピード」のどちらを優先するかという、重要な選択でもあります。
「仲介」の流れ│高値売却を目指す一般的な方法
「仲介」は、不動産会社に依頼して、市場(不動産ポータルサイトやチラシなど)で広く購入希望者を探してもらう方法です。
【仲介の流れ】
- 不動産会社と媒介契約を締結
- 販売活動開始(広告、REINS登録)
- 購入希望者からの問い合わせ・内覧対応
- 購入申込・条件交渉
- 売買契約の締結
- 決済・引き渡し
成功の鍵は、信頼できる不動産会社と、不動産の魅力を最大限に引き出す販売戦略を立てることです。媒介契約には以下の3種類があり、それぞれの特徴を理解して選ぶことが重要です。
【媒介契約の3つの種類】
- 一般媒介契約
複数の不動産会社と契約でき、自由度が高いですが、不動産会社の販売活動が手薄になる可能性があります。 - 専任媒介契約
契約は1社のみで、不動産会社は2週間に1回以上の活動報告義務を負います。責任感のある販売活動が期待できます。 - 専属専任媒介契約
専任媒介よりさらに厳しい契約で、自分で買主を見つけることはできません。
しかし、不動産会社から1週間に1回以上の売主への報告義務があるなど、最も手厚いサポートが受けられます。
「買取」の流れ│早く確実に現金化したい場合の方法
「買取」は、不動産会社そのものが買主となり、ご自身の不動産を直接買い取る方法です。
【買取の流れ】
- 不動産会社に買取査定を依頼
- 買取価格の提示
- 条件合意・売買契約の締結
- 決済・引き渡し
販売活動のプロセスが一切ないため、圧倒的にスピーディーです。
売却価格は一般的に市場価格の6〜8割程度ですが、大規模なリフォームが必要、特殊な事情がある場合は5割程度まで下がる可能性もあります。
価格面での妥協は必要ですが、できるだけ早く不動産を売却したい方には有効な手段です。
最近では、一定期間「仲介」で売れなかった場合に、あらかじめ約束した価格で不動産会社が買い取る「買取保証」というサービスも増えています。
【比較表】仲介と買取のメリット・デメリット
| 比較項目 | 仲介 | 買取 |
| 特徴 | 不動産会社が買主を探す(市場で売る) | 不動産会社が直接買い取る |
| 価格 | 市場価格を目指せる(高い) | 市場価格の6~8割程度 |
| スピード | 遅い(平均3か月~) | 早い(最短1週間~) |
| 手間 | 内覧対応、価格交渉など必要 | 不要 |
| 契約不適合責任 | 原則として売主が負う | 免責されることが多い |
| 広告活動 | 行う(近隣に知られる可能性がある) | 行わない(秘密を保持できる) |
| 向いている人 | ・時間をかけても高く売りたい人 ・物件の人気が高いエリアに住んでいる人 ・資金計画に余裕がある人 | ・とにかく早く現金化したい人 ・相続などで早期に問題を解決したい人 ・売却を周囲に知られたくない人 ・内覧対応などの手間を避けたい人 |
上記の比較表からお分かりの通り、仲介と買取のどちらが良いかは人によって異なります。
ご自身の希望や状況に最も適した方法を選ぶようにしましょう。
参考記事:【プロ監修】不動産の売却方法を解説!高く、早く売るためのコツから注意点まで徹底網羅
参考動画:不動産のプロが解説する仲介・買取のメリット・デメリット(拓ちゃんねる│ウスイホーム)
不動産売却の流れを7ステップで解説

ここからは、不動産売却の流れを7つのステップに分け、プロの視点から一つ一つ詳細に解説していきます。
各ステップの目的と注意点を把握しながら、着実に実行していきましょう。
【ステップ1】相場を調べる
売却活動の最初のステップを丁寧に行うことが、後の成果を大きく左右します。
【このステップの目的】
①自身の資産価値(相場)を客観的に把握する。
②売却の前提となる資金計画を立て、ゴールを明確にする。
③売却活動における価格設定の判断基準を持つ。
1. 住宅ローンの残債を確認する
相場調査と並行して、まず住宅ローンがいくら残っているかを正確に確認します。
これにより、「売却価格でローンを完済できるか」という、売却の最低ラインが明確になります。住宅ローンの残債は、金融機関から毎年送付される「残高証明書」や「返済予定表」、インターネットバンキングなどで確認できます。
2. 売却相場を調べる
次に、不動産がいくらで売れそうか、下記のサイトを参考におおよその相場を調査します。
- 不動産ポータルサイト(SUUMO、HOME'Sなど)
同じマンションの他の部屋や、近隣の類似物件(駅からの距離、築年数、広さ)がいくらで売りに出されているかを確認します。
ただし、これは「売出価格」であり、実際の「成約価格」ではない点に注意が必要です。 - 不動産情報ライブラリ
不動産の取引価格や地価公示等の価格情報など、不動産に関する情報を閲覧できる国土交通省のWEBサイトです。実際に売買された不動産の価格、面積、時期などを検索できます。 - レインズ・マーケット・インフォメーション
不動産流通機構が運営するサイトで、実際に売買が成立した価格を匿名で確認できるため、より実態に近い相場を把握できます。
不動産会社間の情報システムである「REINS」とは別の一般公開サイトです。 - 不動産一括査定サイト
複数の不動産会社に簡易的な査定を依頼し、おおよその査定額を知ることも有効です。
【このステップで準備しておくと良い書類】
- 登記済権利証 または 登記識別情報通知書
不動産の所有者であることを証明する最も重要な書類です。手元にあるか確認しておきましょう。 - 購入時の売買契約書・重要事項説明書
不動産の正確な面積や仕様、購入価格(取得費)を確認するために必要です。 - 住宅ローンの返済予定表
正確なローン残高を把握するために使用します。 - 間取り図、パンフレットなど
不動産の概要を把握するために役立ちます。
参考記事:【プロ監修】不動産売却の必要書類一覧|取得方法や費用まで徹底解説
【ステップ2】不動産会社に査定を依頼する
現状把握ができたら不動産会社に「査定」を依頼します。
【このステップの目的】
①専門家の視点から、より正確な「売却可能価格」を知る。
②売却活動を任せる、信頼できる不動産会社(担当者)を見極める。
1. 「机上査定」と「訪問査定」の違いを理解する
査定には以下の2種類があります。
- 机上査定(簡易査定)
物件の現地確認はせず、住所、築年数、広さなどのデータと、周辺の取引事例をもとに、おおよその査定額を算出する方法です。
スピーディーですが、精度は高くありません。 - 訪問査定(詳細査定)
不動産会社の担当者が実際に現地を訪れ、室内の状況、日当たり、眺望、設備の状況、周辺環境などを細かくチェックして査定額を算出する方法です。手間はかかりますが、より実態に近い、精度の高い価格が分かります。
2. 複数社に「訪問査定」を依頼する
必ず3社以上の不動産会社に「訪問査定」を依頼しましょう。1社だけの査定では、その価格が高いのか安いのか、客観的な判断ができないためです。
3. プロが見ている査定のポイント
訪問査定時、担当者は以下のような点をプロの目で厳しくチェックしています。
- 建物: 築年数、構造、耐震性、リフォーム履歴、雨漏りやシロアリの痕跡
- 室内: 間取り、日当たり、風通し、眺望、内装や設備の劣化状況
- 土地(戸建て・土地): 形状、面積、接道状況、境界の状況
- 周辺環境: 最寄り駅からの距離、生活利便施設(スーパー、学校など)、騒音や臭いの有無
- 法的規制: 用途地域、建ぺい率、容積率など、法律上の制限
【このステップで必要になる書類】
- 固定資産税納税通知書
固定資産税評価額を確認し、税金の計算や登記費用の概算に使用します。 - 間取り図や敷地の測量図
正確な面積や形状を伝えるために必要です。 - リフォーム履歴がわかる書類(可能であれば)
リフォーム内容が査定額にプラスに影響することがあります。 - 本人確認書類(運転免許証など)
査定依頼者の本人確認のために提示を求められることがあります。
【ステップ3】不動産会社と媒介契約を結ぶ
信頼できる不動産会社が見つかったら、売却活動を正式に依頼するための「媒介契約」を結びます。
【このステップの目的】
①不動産会社との間で、売却活動に関するサービス内容と義務を法的に明確にする。
②自身の売却方針に合った契約形態を選択する。
前述の通り、媒介契約には「一般」「専任」「専属専任」の3種類があります。
査定時に受けた販売戦略の提案や、担当者との相性を考慮し、どの契約形態が自分の売却方針に最も合っているかを慎重に判断しましょう。
【このステップで必要になる書類】
- 本人確認書類
運転免許証やパスポートなど - 印鑑
認印で可能な場合が多いですが、念のため実印も用意すると安心です。 - 登記済権利証 または 登記識別情報通知書
物件の所有者であることを確認するために必要です。 - 固定資産税納税通知書
物件の正確な情報を契約書に記載するために使用します。
【ステップ4】売却活動の開始
不動産会社と媒介契約を結ぶと、いよいよ不動産の売却活動が始まります。
【このステップの目的】
①広く購入希望者に不動産の情報を届け、多くの内覧希望者を募る。
②内覧対応を通じて、不動産の魅力を伝え、購入意欲を高める。
1. 販売活動の内容
不動産会社は、主に以下のような活動を行います。
- REINS(レインズ)への登録
全国の不動産会社が閲覧できる情報システムに不動産情報を登録し、他の会社にも買主探しを協力してもらいます。 - 広告活動
SUUMOなどの不動産ポータルサイトへの掲載、自社HPへの掲載、新聞折込チラシの配布などを行います。写真のクオリティが反響を大きく左右します。 - オープンハウスの開催
週末などに室内を自由に見学できるようにし、多くの購入希望者を集めます。
2. 内覧を成功させるための準備【重要】
内覧は、購入希望者が「この家を買いたい」と最終判断する、最も重要な場面です。以下の準備を徹底しましょう。
【内覧準備ToDoリスト】
- 徹底的な掃除
特に水回り(キッチン、浴室、トイレ)と玄関は念入りに。 - 整理整頓
生活感を消し、部屋を広く見せる。不要な物は事前に処分または収納する。 - 明るさの演出
全ての部屋の照明をつけ、カーテンを開けて自然光を取り入れる。 - 換気
窓を開けて空気を入れ替え、不快な臭いがないようにする。
スリッパの用意
見学者用の清潔なスリッパを準備する。 - 周辺情報の準備
近隣のスーパーや学校、公園などの情報をまとめておき、質問に答えられるようにする。
※国土交通省のWEBサイト「不動産情報ライブラリ」でも幼稚園や学区、医療・福祉施設や公園などの周辺施設情報が地図上から分かります。
【このステップで必要になる書類】
このステップで売主が直接提出する必須書類は基本的にありません。
ただし、魅力をアピールするために、設備の保証書や取扱説明書、マンションの管理規約の写しなどを準備しておくと、内覧時に購入希望者へより詳細な情報を提供できます。
【ステップ5】売買契約を結ぶ
購入希望者から「購入申込書」が提出され、価格や引き渡し時期などの条件交渉がまとまると、売買契約へと進みます。
契約当日は、不動産会社の宅地建物取引士が、不動産に関する重要な事項を説明する「重要事項説明」を行います。内容を十分に理解した上で、「不動産売買契約書」に署名・捺印します。
この際、買主から手付金(売買価格の5~10%程度)を受け取ります。手付金は、契約が成立した証拠となるお金です。
【このステップの目的】
①売主と買主の間で、取引条件を法的に確定させ、書面に残す。
②契約内容を十分に理解し、後のトラブルを未然に防ぐ。
1. 売買契約書でチェックすべき重要条項
売買契約書は専門用語が多く難解ですが、以下の項目は特に重要です。必ず意味を理解してください。
- 売買代金・手付金
売買価格と、契約時に買主から支払われる手付金の額。
手付金は通常、売買価格の5~10%です。 - 契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)
引き渡し後に、契約書に記載のない重大な欠陥(雨漏り、シロアリなど)が見つかった場合に、売主が負う責任のこと。責任を負う期間などを定めます。 - 危険負担
天災など、売主・買主双方の責任ではない理由で物件が損傷した場合の取り扱いを定めます。 - 住宅ローン特約
買主が住宅ローンの審査に通らなかった場合に、契約を白紙撤回(無条件で解約)できるという条項。買主保護のための重要な特約です。 - 容認事項
買主があらかじめ了承する、不動産の小さな傷や不具合などを記載します。
【このステップで必要になる書類】
- 本人確認書類
運転免許証やマイナンバーカードなど。 - 実印
契約書に捺印するために必須です。 - 印鑑証明書
発行から3か月以内のものが必要です。 - 登記済権利証 または 登記識別情報通知書
本人確認および所有者確認のために提示します。 - 固定資産税納税通知書
固定資産税の精算額を計算するために必要です。 - 収入印紙
売買契約書に貼付するために必要で、売買価格に応じて税額が決まります。 - 仲介手数料の半金(必要な場合)
契約時に半金を支払う契約になっている場合があります。
【ステップ6】決済・不動産の引き渡し
売買契約で定めた日(通常、契約から1~2か月後)に、取引の最終手続きである「決済」と「不動産の引き渡し」を行います。
【このステップの目的】
①売買代金の全額を受領し、不動産の所有権を完全に買主へ移転させる。
②住宅ローンを完済し、抵当権を抹消する。
1. 決済当日の流れ
平日の午前中に、買主が利用する金融機関に、売主・買主・司法書士・不動産会社担当者が集まって行われます。
- 本人確認・登記書類の確認
司法書士が、所有権移転に必要な書類が全て揃っているかを確認します。 - 残代金の送金
買主が、売主の指定口座へ売買代金の残額を送金します。 - 着金確認
売主が、自身の口座への着金を確認します。 - 住宅ローンの完済・抵当権抹消
ローンが残っている場合、売主は着金した資金で自身のローンを完済し、金融機関から抵当権を抹消するための書類を受け取ります。 - 登記申請の委任
司法書士が、同日中に法務局へ「所有権移転登記」と「抵当権抹消登記」の申請を行うための委任状に、売主・買主が署名・捺印します。 - 諸費用の精算
固定資産税の日割り精算や、仲介手数料の残金の支払いなどを行います。 - 鍵・関係書類の引き渡し
全ての手続きが完了したら、売主は買主へ物件の鍵と関係書類一式を渡し、取引は完了です。
【このステップで必要になる書類】
- 本人確認書類
運転免許証など。 - 実印
登記委任状などに捺印します。 - 印鑑証明書
発行から3か月以内のもの。 - 登記済権利証 または 登記識別情報通知書
司法書士に預け、登記申請に使用します。これが「権利証を渡す」という行為になります。 - 物件の鍵や書類一式
鍵や各種設備の保証書や取扱説明書など。
【ステップ7】不動産売却後の確定申告の流れ
売却によって利益が出た場合は、確定申告を行わなければいけません。
【このステップの目的】
①不動産売却によって生じた所得を税務署に申告し、納税する。
②適用可能な特例を利用し、税負担を適正化(節税)する。
1. 確定申告が必要なケース
不動産を売却して得た利益を「譲渡所得」と呼びます。この譲渡所得がプラスになった場合に、確定申告が必要です。
- 譲渡所得の計算式
譲渡所得 = 売却価格 - (取得費 + 譲渡費用)
取得費: その不動産を購入したときの代金や諸費用
譲渡費用: 今回の売却でかかった仲介手数料や印紙税など。
2. 【重要】居住用財産の3,000万円特別控除
マイホームを売却した場合、この譲渡所得から最高3,000万円を控除できるという特例があります。つまり、利益が3,000万円以下であれば、譲渡所得税はかからなくなります。
主な適用要件
- 自分が住んでいる家屋、または住まなくなってから3年後の年末までに売却すること。
- 親子や夫婦など、特別な関係の相手への売却ではないこと。
- 前年、前々年にこの特例や、他の特例(買い替え特例など)を利用していないこと。
この特例を利用するためには、税金が0円になる場合でも確定申告が必要になるので注意しましょう。確定申告は、売却した年の翌年2月16日~3月15日に行います。
【このステップで必要になる書類】
- 確定申告書B様式、分離課税用の申告書
- 譲渡所得の内訳書
- 売却した不動産の登記事項証明書
- 売却時と購入時の売買契約書のコピー
- 売却にかかった諸経費(仲介手数料など)の領収書のコピー
- 購入にかかった諸経費の領収書のコピー
- (特例利用の場合)戸籍の附票の写しなど、居住を証明する書類
【物件種別】不動産売却の流れ

基本的な売却の流れは上記で解説した通りですが、物件の種別によって、特に注意すべき点が異なります。
戸建て売却特有の流れ
戸建ての売却は、マンションと違い「土地の境界」と「建物の状態」という2つの大きなテーマが加わるため、特有の注意が必要です。これらのポイントを押さえることが、トラブルを防ぎ、資産価値を最大化する鍵となります。
ステップ1:土地の境界を明確にする
まず、売却活動を始める前に、隣地との境界を示す「境界標」が現地に設置されているか、そしてその境界が法的に確定していることを示す「確定測量図」や「境界確認書」が手元にあるかを確認します。
法律上の売主の義務ではありませんが、境界が不明確なままだと売却価格が下がったり、契約が白紙になったりするリスクがあります。必要に応じて土地家屋調査士に相談し、境界を確定させる作業から始めましょう。
ステップ2:建物の書類準備と状態確認
次に、その建物が法的に問題なく建てられたことを証明する「建築確認済証」や「検査済証」、将来のリフォームに必要な「設計図書」などを一箇所にまとめておきます。また、任意ですが、専門家による「建物状況調査(インスペクション)」を実施することで、建物のコンディションを客観的に把握し、買主への安心材料とするとともに、売却後のトラブルリスクを大幅に減らすことができます。
ステップ3:敷地全体の魅力を高める売却活動
内覧では、室内だけでなく、手入れされた庭や駐車スペース、玄関アプローチなど、敷地全体の印象が重要になります。上下階の音を気にしない「独立性」や、プライベートな庭空間といった、戸建てならではの暮らしの魅力を具体的にアピールすることが、買主の心を掴むポイントです。
ステップ4:契約時に建物の責任範囲を明確化
売買契約時には、特に雨漏りやシロアリなど、建物に関する責任の範囲(契約不適合責任)を明確にします。インスペクションの結果を共有したり、買主にあらかじめ了承してもらうべき小さな不具合を契約書に明記したりすることで、売主も買主も安心して契約に臨むことができます。
マンション売却特有の流れ
マンションは共同住宅であるため、個別の部屋(専有部分)の状態だけでなく、建物全体の「管理状態」が資産価値を大きく左右します。管理の良し悪しを見極めることが、マンション売却の重要なステップです。
ステップ1:管理に関する重要書類の準備
まず、マンションの「管理規約」や「使用細則」を手元に準備します。これにはペット飼育の可否やリフォームの制限など、買主のライフスタイルに直結する重要なルールが記載されています。また、不動産会社を通じて、管理組合から「重要事項調査報告書」を取得依頼します。
ステップ2:長期修繕計画と修繕積立金のチェック
「重要事項調査報告書」の中で特に重要なのが、将来の修繕計画が適切に立てられているかを示す「長期修繕計画」と、そのための資金が十分に積み立てられているかを示す「修繕積立金」の状況です。積立金が不足していると、将来的に一時金の徴収や管理費の値上げに繋がる可能性があるため、買主にとって非常に重要な判断材料となります。
ステップ3:専有部分と共用部分の魅力をアピール
内覧では、部屋の中の状態はもちろん、エントランスや廊下、ゴミ置き場といった「共用部分」の清掃状況や管理体制もアピールポイントになります。「管理が行き届いている」という印象は、買主に大きな安心感を与えます。眺望や日当たり、静粛性といった、その部屋ならではの魅力も最大限に伝えましょう。
ステップ4:契約時に管理規約等を再確認
売買契約時には、管理規約や使用細則の内容を、買主様に改めて説明し、了承を得ることが重要です。特に駐車場や駐輪場の使用権の引き継ぎなど、マンション特有のルールについて、双方に認識の齟齬がないかを確認し、契約書に明記します。
土地売却特有の流れ
売却する土地の価値は「どのような建物を建てられるか」という法的な条件に大きく左右されるため、専門的な調査も必要になります。
ステップ1:法的な規制と条件の調査
まず、その土地がどのような種類の建物を建てられるエリアなのかを示す「用途地域」や、敷地面積に対してどれくらいの規模の建物を建てられるかを示す「建ぺい率・容積率」といった、都市計画法上の規制を調査します。また、建築基準法で定められた「接道義務(幅員4m以上の道路に2m以上接しているか)」を満たしているかどうかも、極めて重要なポイントです。
ステップ2:境界の確定と測量
戸建てと同様、土地売却においても隣地との境界が確定していることは絶対条件です。境界標がない、あるいは境界が曖昧な場合は、土地家屋調査士に依頼し、法的な効力を持つ「確定測量」を実施する必要があります。これが、土地の正確な面積と価値を確定させ、買主が安心して購入するための大前提となります。
ステップ3:埋設物・土壌汚染の確認
土地の売却では、地中に過去の建物の基礎などが残っている「地中埋設物」や、「土壌汚染」といった目に見えないリスクがないかを確認することも重要です。これらの存在が後から発覚すると、撤去費用などを巡って深刻なトラブルに発展する可能性があります。過去の土地の利用履歴などを調べ、必要に応じて専門家による調査を検討します。
ステップ4:土地のポテンシャルを伝える売却活動
土地の売却活動では、単に広さや形状を伝えるだけでなく、ステップ1で調査した法的な条件に基づき、「どのような規模の家が建てられるか」「日当たりの良いリビングをどこに配置できるか」といった、将来の建物のプランを提示できると、買主は購入後の生活を具体的にイメージしやすくなります。不動産会社に参考プランの作成を依頼するのも有効な手段です。
【状況別】特別な事情がある不動産売却の流れ

相続や離婚などが絡む場合、通常の売却手続きに加えて、法的な手続きが必要となり、より慎重な対応が求められます。
相続した不動産を売却する際の流れ
相続によって取得した不動産の売却は、通常の売却とは手順が異なり、売却活動を始める前に、まず法的な「相続手続き」を完了させる必要があります。この最初のステップを正しく踏むことが、後のトラブルを避け、スムーズな売却を実現するための鍵となります。
ステップ1:遺言書の確認と相続人の確定
まず、故人が遺言書を残していないかを確認します。遺言書がない場合は、故人の出生から死亡までの戸籍謄本を取り寄せ、法的な相続人となる方を全員確定させる作業から始めます。この段階で一人でも相続人が漏れてしまうと、後の手続きが全て無効になるため、非常に重要な調査です。
ステップ2:遺産分割協議
次に、確定した相続人全員で、不動産をどのように分けるかを話し合います。これを「遺産分割協議」と呼びます。売却してその代金を現金で分ける方法(換価分割)などについて全員で合意し、その内容を「遺産分割協議書」という正式な書面にまとめ、全員が実印で押印します。
ステップ3:相続登記(名義変更)
遺産分割協議書に基づき、法務局で不動産の名義を故人から、相続した方(または売却の代表者)へ変更します。この「相続登記」を完了させて初めて、その不動産は法的に売却できる状態になります。なお、この相続登記は2024年4月から義務化されており、相続により不動産の取得を知った日から3年以内に申請が必要です 。また、この義務は2024年4月1日より前に発生した相続で、まだ登記が済んでいない不動産にも適用されます。
ステップ4以降:通常の売却活動へ
上記の手続きが完了したら、そこから先は通常の売却の流れに沿って、不動産会社への査定依頼、売却活動、売買契約へと進んでいきます。相続案件の実績が豊富な不動産会社を選ぶと、税金の特例などについても的確なアドバイスが期待できるでしょう。
また、売却して利益が出た場合の確定申告では、納めた相続税の一部を経費とみなせる「取得費加算の特例」や、一定の要件を満たす空き家であれば利用できる「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例(通称:空き家の3,000万円控除)」といった、相続不動産特有の節税制度もあります。
参考記事:相続した不動産をスムーズに売却!流れ・税金・注意点まで解説
離婚で財産分与として不動産売却する際の流れ
離婚に伴って不動産を売却する場合、法的な手続き以上に「夫婦間の円満な合意形成」が最も重要となります。感情的な対立が、スムーズな売却の大きな障壁になることも少なくありません。トラブルを避け、お互いが新しい生活へ進むために、冷静な話し合いを行うことが肝心です。
ステップ1:住宅ローンの状況確認
まず、売却を検討している不動産の「住宅ローンがいくら残っているか」「不動産とローンの名義人は誰か」「連帯保証人はいるか」といった現状を、金融機関に確認して正確に把握します。これが、全ての話し合いのスタートラインとなります。
ステップ2:売却方針の協議と合意形成
次に、以下の項目について夫婦間で具体的に話し合い、合意を目指します。
- そもそも売却するのか、どちらかが住み続けるのか
- 売却する場合、いつ、いくらで売り出すのか
- 仲介手数料などの諸費用や、ローンが残った場合の不足分(オーバーローン)をどう負担するのか
- 売却して手元にお金が残った場合、それをどう分けるのか(財産分与)
ステップ3:合意内容を「公正証書」にする
話し合いで決まった内容は、口約束で済ませず、必ず法的な効力を持つ「公正証書」として書面に残しておきましょう。公証役場で作成することで、後の言った、言わないというトラブルを防ぎ、合意内容の履行を確実なものにできます。
ステップ4以降:通常の売却活動へ
公正証書を作成し、お互いの合意が明確になってから、不動産会社を選び、売却活動を開始します。内覧の対応など、売却完了まで夫婦で協力すべき場面も出てきますので、取り決めに従って冷静に対応することが、早期売却の鍵となります。
特に、住宅ローンが売却価格を上回る「オーバーローン」の場合は問題が複雑化しやすいため、不動産会社だけでなく弁護士などの専門家も交え、話し合いを進めることをおすすめします。
参考記事:【専門家監修】離婚時の不動産売却で後悔しない進め方|財産分与・ローン・税金まで解説
成年後見人が不動産売却する際の流れ
成年後見人がご本人に代わって不動産を売却する場合、通常の売却とは大きく異なり、後見人の独断では進めることができません。
必ず「家庭裁判所の許可」が必要という、非常に厳格なルールがあります。
これは、本人の財産を不当な処分から守るための重要な手続きです。
ステップ1:売却の必要性の検討と専門家への相談
まず、「なぜその不動産を売却する必要があるのか」という理由を明確にします。例えば、本人の施設入所費用や医療費を捻出するため、といった具体的な目的が必要です。単に管理が大変だから、という理由だけでは許可が下りにくい傾向があるため、弁護士や司法書士に相談し、売却の妥当性を確認することから始めましょう。
ステップ2:家庭裁判所への「居住用不動産処分許可」申立て
特に、ご本人が住んでいる(または過去に住んでいた)家を売却する場合は、「居住用不動産処分許可」を家庭裁判所に申し立てる必要があります。施設の入所契約書の写しや、本人の収支状況がわかる資料などを添えて、「売却することが本人の利益になる」ことを客観的に証明しなくてはなりません。
ステップ3以降:許可後の売却活動
家庭裁判所から売却の許可が下りて初めて、不動産会社と媒介契約を結び、売却活動を開始できます。売却価格が不当に安くないかも裁判所の審査対象となるため、複数社から査定を取り、適正な価格で売却を進める必要があります。売却によって得た代金は、もちろん本人の財産として、後見人が責任を持って管理します。
この一連の手続きは専門的な知識を要し、許可が下りるまで数か月かかることもあります。不動産会社や司法書士と緊密に連携しながら、計画的に進めましょう。
不動産売却にかかる費用・税金はいくら?

不動産売却では、売却価格がそのまま手元に残るわけではありません。様々な費用や税金が差し引かれます。ここでは、具体的な費用シミュレーションも交えて解説します。
手取り額の計算式: 売却価格 - (諸費用 + 譲渡所得税 + 住宅ローン残債)
仲介手数料の計算方法と上限
不動産会社に支払う成功報酬で、法律で上限が定められています。
- 速算式(売買価格400万円超の場合): (売買価格 × 3% + 6万円) + 消費税
例えば、3,000万円で売却した場合の仲介手数料の上限は、(3,000万円 × 3% + 6万円)× 1.10 = 105万6,000円となります。
売却益にかかる税金(譲渡所得税・住民税)
売却益(譲渡所得)に対して課税されます。
譲渡所得税(所得税・住民税):
税率は不動産の所有期間によって大きく異なります。
長期譲渡(所有期間5年超): 20.315%
短期譲渡(所有期間5年以下): 39.63%
前述の「3,000万円特別控除」などを利用することで、この税負担を大幅に軽減できる可能性があります。
参考記事:不動産売却でかかる税金一覧とポイント解説
その他の諸費用一覧(印紙税、登記費用など)
印紙税
売買契約書に貼付する印紙代で、契約金額に応じて税額が法律で定められています。現在、不動産の譲渡に関する契約書は、2027年3月31日まで軽減措置が適用されています。
契約金額が1,000万円超 5,000万円以下の場合:1万円(本則2万円)
契約金額が5,000万円超 1億円以下の場合:3万円(本則6万円)
登記費用
住宅ローン完済に伴う抵当権抹消登記など。司法書士への報酬と合わせ数万円
その他
ハウスクリーニング費用、測量費用、引越し費用など。
【費用シミュレーション】3,000万円の不動産を売却した場合
- 仲介手数料:105.6万円
- 印紙税:1万円
- 登記費用等:約5万円
- 諸費用合計:約111.6万円
(※譲渡所得税は利益が出た場合のみ。ローン残債は別途差し引かれる)
参考記事:不動産売却の費用一覧|空き家・リースバック・資産運用などの資産活用法
不動産売却ならウスイホームにご相談ください

不動産売却をお考えの方は、ぜひウスイホームへご相談ください。 1976年の創業以来、横須賀・湘南・横浜エリアに密着し、多くのお客様のご依頼に応えてまいりました。豊富な実績と経験を活かし、安心して不動産売却を進められるようサポートいたします。
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神奈川の不動産(マンション・アパート・事務所・一戸建て・土地)売却 | ウスイホーム
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不動産売却の流れをつかみ売却への一歩を

不動産売却は流れが分かると次が予測できるため、最初の一歩が踏み出しやすくなります。
信頼できる不動産会社と協力すれば、決して怖いものではありません。
売却方法や税金については、事前に理解しておくと、売却自体と売却後の手続きがスムーズに進むでしょう。
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それが、後悔のない、満足のいく不動産売却を実現するための、最も確実な一歩となるはずです。
| 監修者 海沼 仁(カイヌマ ヒロシ) ウスイホーム株式会社 代表取締役社長 【経歴】 大学時代は不動産評価論を専攻。 卒業後、1997年にウスイホーム株式会社入社。売買仲介部門の新人賞を受賞。 2001年、新店の上大岡店店長に就任。以降、各店店長を歴任。特に新店舗の立ち上げを得意とし、後にエリアマネージャーに抜擢される。 2012年より取締役に就任。主に横浜、湘南エリアでの商圏拡大に尽力している。 2021年には創業45周年を機に、SDGs推進に取り組む「ウスイグループSDGs宣言」を制定。地域貢献活動にも力を入れている。 2025年4月、ウスイホーム株式会社代表取締役社長に就任。 地域密着型営業で築き上げてきた不動産業界のキャリアと実績から、顧客の信頼も厚く、幅広い人脈を持つ。著名人・有名人からの相談や紹介も多い。 【資格】 宅地建物取引士 CPM(米国不動産経営管理士) 日本RSP協会 不動産仲介士 試験問題監修委員 |
| 執筆者 ウスイホーム株式会社 広報チーム 1976年に神奈川県で創業。お客様と地域の発展のため、横浜・湘南・横須賀エリアで不動産売却のお手伝いをさせて頂いております。長年にわたり蓄積してきた知見を活かし、不動産売却を検討する際に役立つ情報を発信しています。 お問い合わせURL https://www.usui-home.com/contact |