相続した土地やマイホームの土地を売却し売却益が出ると、譲渡所得税や住民税などの税金がかかります。
所有期間や取得費によっては、税額が大きくなり、利益が大きく減ってしまうこともあります。
一方、条件を満たせば特例や控除制度を活用して節税することが可能です。本記事では、土地売却時にかかる税金の種類や計算方法、売却した土地にかかる課税のポイントを解説します。
シミュレーション例を交えて具体的な税金のイメージもご紹介しますので、節税対策にお役立てください。
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土地売却で賢く節税!必要になる税金のポイント

土地売却時には、さまざまな税金が発生します。特に気になるのは利益が出た際の譲渡所得税ですが、売買の際には印紙税や登録免許税などの税金も発生します。まずは、売却時に必要な税金について見ていきましょう。
譲渡所得税とは?売却益にかかる税金の基本
土地を売却して利益が出た場合に課税されるのが「譲渡所得税」です。「所得税」「住民税」「復興特別所得税」の3つの税金を合わせたもので、税率は土地の所有期間によって異なります。
| 所有期間 | 税率 |
| 5年以下(短期譲渡) | 39.63% (内訳) 所得税:30% 住民税:9% 復興特別所得税:0.36% |
| 5年超(長期譲渡) | 20.315% (内訳) 所得税:20% 住民税:5% 復興特別所得税:0.315% |
注意点は、「売却した年の1月1日時点で5年を超えているか」が判定基準であることです。購入した日から5年を経過した後、さらにその翌年の1月1日以降に売却すれば、長期譲渡所得として扱われます。
仮に売却益が3,000万円出た場合、短期なら約1,189万円、長期では約609万円の税金になります。税率による納税額の差は大きいため、所有期間の確認が非常に重要です。
見落としがちな印紙税・登録免許税などその他の税金
不動産の売却時には、譲渡所得税以外にも「印紙税」や「登録免許税」といった見落としがちな税金が発生します。
【印紙税】
売買契約書に印紙を貼付・消印することで、印紙税を納めています。税額は契約額に応じて変わります。下表は、主な売買代金で必要となる印紙税額の一覧です。
| 売買代金 | 印紙代(税率) | 軽減税率適用時の印紙代 |
| 100万円超~5,00万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
| 500万円超~1,000万円以下 | 10,000円 | 5,000円 |
| 1,000万円超~5,000万円以下 | 20,000円 | 10,000円 |
| 5,000万円超~1億円以下 | 60,000円 | 30,000円 |
【登録免許税】
登録免許税は不動産の抵当権抹消などの登記を行う際に課税されます。
- 抵当権抹消登記:不動産1個につき1,000円(抵当権が付いている場合に必要)
- 所有権移転登記:土地は1筆につき1,000円、建物に1,000円
- 分筆登記:1筆1,000円(土地を分割した場合に必要)
抵当権抹消や分筆登記の登録免許税は売主が負担、売買時の所有権移転登記は買主が負担するのが一般的です。司法書士に手続きを依頼すれば、司法書士報酬も発生します。
相続や遺産分割で取得した土地売却時の注意点
相続や遺産分割で取得した土地を売却する際には、相続税に加えて譲渡所得税が発生するため、二重に税金を支払っているように感じるかもしれません。
ただし、適用条件を満たしていれば、特例や控除の活用で節税できる場合があります。
【特例の例】
- 取得費加算の特例:支払った相続税の一部を譲渡所得の計算に加えることができ、節税が可能に
- 空き家特例:被相続人の居住用家屋だった土地を売却する場合、3,000万円控除が使えることも
節税制度を上手に活用するためには、計画段階で不動産会社や税理士に相談し、適用条件を確認すると安心です。
土地売却時の節税に活用したい控除と特例

土地を売却して節税を考える場合は、税金の控除や特例の活用を検討しましょう。ただし、適用には条件があるため注意が必要です。ここでは、譲渡所得を減らすポイントと、代表的な節税制度を詳しく解説します。
※控除や特例には、期限があり改正も行われるため、事前の確認と適用時の確定申告が必須になります。
譲渡所得を減らす基本ポイント3つ
譲渡所得を正しく計算して節税につなげるためには、以下の3つの基本ポイントを押さえておきましょう。
| 【①取得費の確認】 取得時の物件代金と諸費用がわかる領収書などが必要。もし、ない場合は売却価格の5%での概算計算になる 【②譲渡費用の整理】 仲介手数料・測量費・残置物の撤去費用など、譲渡費用として控除できる領収書などは、必ず保管しておく 【③特例や控除の事前確認】 特例は控除の条件があるため、売却前に詳細を確認し、条件を満たすように準備することが重要 |
マイホーム特例(マイホーム売却時の特例で節税)
マイホームを売却した場合、最大3,000万円の特別控除があります。
この特例が使えると、売却益が3,000万円以内であれば、基本的に所得税・住民税がかかりません。
以下が主な適用条件になります。
- 自分が現在住んでいる家屋か、自宅が空き家になってから3年以内に売却
- 上記2つのどちらかを満たした家屋を更地にしても適用できる。ただし、更地にした場合は、更地にしてから1年以内に売買契約を締結する
- 売却した年の1月1日にその家屋や敷地の所有期間が10年を超えていること
- 親族など「特別の関係がある人」に売却していないこと
上記以外にも要件や、期間の数え方など、詳細な条件があるため売却前に必ず確認し、活用できる場合は確定申告を行いましょう。
このマイホーム特別控除を使うと、次に購入する家の住宅ローン控除との併用はできないため、どちらのメリットが大きいかの検討も必要です。
長期所有の土地売却に適用される軽減税率の特例
10年以上所有したマイホームを売却する場合に適用される「軽減税率の特例」は、節税効果が非常に高いため、条件が合えば活用したい特例です。
通常、長期譲渡所得(所有期間5年超)には20.315%が課税されますが、この特例を利用すると、譲渡所得6,000万円以下の部分は14.21%まで軽減されます。6,000万円を超える部分は、通常の長期譲渡所得である20.315%が適用されます。
| 軽減税率の特例 (10年以上所有・6,000万円まで) | 14.21% (内訳) 所得税:10% 住民税:4% 復興特別所得税:0.21% |
この特例は「マイホームの3,000万円特別控除」と併用が可能です。
売却前に詳細を確認し、条件を満たす場合は、確定申告で申告しましょう。
買い替え特例で譲渡所得の課税を繰り延べる
「買い替え特例」は、マイホームを売却して新たな家を購入する「住み替え」に活用できる特例で、売却益にかかる譲渡所得税を将来に繰り延べできます。売却益が出ても税金をすぐに支払う必要がなくなり、売却益を次の家の資金に充てられるのがメリットです。
適用条件としては、売却する住宅に10年以上居住していること、更地にしてから1年以内に契約を締結など詳細な条件があります。また、この特例を使った場合は、「3,000万円のマイホーム特別控除」などの特例との併用はできません。どの特例を利用するかは状況によって異なるため、不動産会社や税理士などの専門家に相談しながら進めると安心です。
なお、税金は住み替え用に購入した家を売却した際に課税されます。税金の免除ではない点に注意が必要です。
相続した空き家売却時の3,000万円特別控除
相続した空き家を売却する際には、「相続空き家の3,000万円特別控除」の活用が大きな節税になります。
対象となる主な条件を記載します。
- 相続した家屋が1981年5月31日以前に建てられた旧耐震基準の建物
- 被相続人が一人暮らしをしていた住宅(老人ホーム入居も条件付きで可)
- 相続から3年以内に売却
- 建物を売却前に解体するか、譲渡した年の翌年2月15日までの間に買主が解体する
この特例は、増え続ける空き家対策と旧耐震基準の建物対策のために設けられました。条件は細かく多数あるため、専門家への相談と早めの準備をおすすめします。
知っておきたいその他の節税制度
土地売却時に、状況に応じて利用できるその他の節税制度を、いくつかご紹介します。売却を検討している土地で活用できる特例がないか検討する際の参考にしてみてください。
| 特例・控除 | 内容 |
| 相続税の取得費加算の特例 | 相続後一定期間内に、その物件を売却した場合に、相続税の一部を取得費に加算できる |
| 平成21年・22年取得土地の1,000万円控除 | 個人が、2009年に取得した土地を2015年以降に売却、2010年に取得した土地を2016年以降に売却する際、譲渡所得から最大1,000万円が控除される特例 |
| 低未利用土地等の長期譲渡所得の特別控除 | 長期間使われていない土地(低未利用地)を500万円以下(一定地域では800万円以下)で譲渡する際に、最大100万円の特別控除がある |
| 損益通算・繰越控除 | 個人が土地や家を売却し、売却損(譲渡損失)が出た場合、給与所得など他の所得と相殺(損益通算)できる制度。 |
いずれの制度も、利用には要件があるため、事前に制度の内容を確認し、活用できるかどうかを不動産会社や税理士と相談しましょう。なお、控除を受けるには確定申告が必要です。
土地売却の税金シミュレーション

土地を売却した場合の譲渡所得税の金額イメージをつかめるよう、さまざまなケースに応じた税額のシミュレーションを行いますので、参考にしてみてください。
【例1】取得費が明確な場合の税額計算例
まずは、取得費が明確な場合の譲渡所得税を算出してみましょう。
| 【条件】 木造・築30年、ローンなし、更地で売却 取得費:5,000万円(建物3,150万円、土地1,650万円、諸費用100万円) 売却価格:5,000万円 譲渡費用(仲介手数料・解体費用・諸費用など):計250万円 ※建物の減価償却(木造22年)が終わっているため、土地の1,650万円と諸費用100万円、計1,750万円を取得費とします。 |
譲渡所得の算出式は以下のとおりです。
譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用)=5,200万円-(1,750万円+250万円)=3,000万円
この譲渡所得に対して、以下の税率が適用されます。
| 【所有10年超の課税額】(マイホームの軽減税率の特例適用) 3,000万円×14.21%=4,263,000円 |
仮に、同じ3,000万円の利益が出たケースで、所有期間が5年超(長期譲渡)と5年以下(短期譲渡)の場合の課税額も計算してみましょう。
| 【所有期間が5年超の場合】 3,000万円×20.315%=6,094,500円 【所有期間が5年以下の場合】 3,000万円×39.63%=11,889,000円 |
税率によって、譲渡所得税額が非常に大きく違うことがわかります。
【例2】取得費不明時の概算取得費を用いた計算例
取得価格がわからない場合には、「売却価格の5%」を取得費として計算するため、売却価格が5,000万円の場合、250万円(5,000万円×5%)になります。
譲渡所得:5,000万円-(取得価格:250万円+諸費用:250万円)=4,500万円
| 【所有10年超の課税額】 4,500万円×14.21%=6,394,500円 【所有期間5年超の課税額】 4,500万円×20.315%=9,141,750円 【所有期間5年以下の課税額】 4,500万円×39.63%=17,833,500円 |
本来の取得価格(1,750万円)との差は大きく、取得価格がわからない場合は損になります。古い登記簿や売買契約書、領収書などを探して確保しておきましょう。
【例3】マイホーム特例を適用した場合の税額
次に、マイホーム特例を適用した場合の税額を見てみましょう。先ほどの譲渡所得3,000万円のケースで、マイホーム特例による3,000万円の特別控除を適用すると、譲渡所得は0円となり、譲渡所得税・住民税・復興特別所得税は発生しません。
また、仮に譲渡所得が3,500万円だった場合は、3,000万円の控除を差し引いた500万円にのみ課税されます。「マイホーム特例」は非常に効果的な節税ですが、適用には、自分が住んでいたことや売却期間などの条件があります。売却前に要件をしっかり確認しましょう。
【例4】相続空き家特例を活用した税額シミュレーション
相続した空き家を売却し、譲渡所得が3,000万円出たケースでは、譲渡所得税はどうなるでしょうか。この場合、「相続空き家の3,000万円特別控除」を適用すれば、課税対象の譲渡所得は0円になります。
もし、譲渡所得が4,000万円の場合は、3,000万円の控除を差し引いた1,000万円に課税されます。空き家特例では、被相続人の所有期間を引き継げるため、10年以上所有していた場合の「マイホームの軽減税率の特例適用」が適用されるケースが多いでしょう。
課税額は、1,000万円×14.21%=1,421,000円となります。
併用できる特例は、組み合わせて活用することも可能です。売却前の要件確認と準備をしっかり行い、特例や控除を有効に活用し節税に役立てましょう。
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ウスイホームは1976年創業、横浜・湘南・横須賀エリアに根ざした地域密着型の不動産会社です。「誰に相談すればいいかわからない」とお悩みの方も、まずはお気軽にウスイホームにご相談ください。
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土地売却と節税はセットで考えるのが鉄則

土地の売却時の節税対策をご紹介しました。売却時には、印紙税や登録免許税もかかります。しかし、利益が出た場合に最も大きいのは、やはり譲渡所得税です。土地売却時には売却額だけでなく、譲渡所得税もセットで考えましょう。
節税のためには、税率や所有期間を把握し、特別控除や特例が活用できないかをしっかり検討することが重要です。土地売却で損をしないためには、税制や特例に詳しい不動産会社への早期相談がポイントになります。
| 監修者 海沼 仁(カイヌマ ヒロシ) ウスイホーム株式会社 代表取締役社長 【経歴】 大学時代は不動産評価論を専攻。 卒業後、1997年にウスイホーム株式会社入社。売買仲介部門の新人賞を受賞。 2001年、新店の上大岡店店長に就任。以降、各店店長を歴任。特に新店舗の立ち上げを得意とし、後にエリアマネージャーに抜擢される。 2012年より取締役に就任。主に横浜、湘南エリアでの商圏拡大に尽力している。 2021年には創業45周年を機に、SDGs推進に取り組む「ウスイグループSDGs宣言」を制定。地域貢献活動にも力を入れている。 2025年4月、ウスイホーム株式会社代表取締役社長に就任。 地域密着型営業で築き上げてきた不動産業界のキャリアと実績から、顧客の信頼も厚く、幅広い人脈を持つ。著名人・有名人からの相談や紹介も多い。 【資格】 宅地建物取引士 CPM(米国不動産経営管理士) 日本RSP協会 不動産仲介士 試験問題監修委員 |
| 執筆者 ウスイホーム株式会社 広報チーム 1976年に神奈川県で創業。横浜・湘南・横須賀エリアで多くの方々の土地売却をサポートさせて頂いております。長年にわたり蓄積してきた知見を活かし、土地の売却を検討する際に役立つ情報を発信しています。 お問い合わせURL https://www.usui-home.com/contact |