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不動産売却でかかる税金一覧とポイント解説

公開日: 最終更新日:
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初めて不動産を売却する際には、どのような税金がどれくらいかかるのか、予測がつかない方が多いかもしれません。不動産の売却代金は高額なため、税金の計算方法や節税につながる控除などをあらかじめ理解し、計画を立てておくことは重要です。

本記事では、不動産売却にかかる譲渡所得税の計算方法と印紙税について解説します。売却時にかかる税金について知ることで、揃えるべき書類の重要性や、控除に必要な条件も理解できます。手元に残るお金を少しでも多くするために、税金のポイントをしっかり押さえて、上手な売却をしていきましょう。

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不動産売却時にかかる税金一覧と控除について

不動産売却で利益が出た場合にかかる税金を一覧で理解し、節税につながる特別控除のポイントも押さえておきましょう。

税金一覧

□譲渡所得税(以下の3つを合わせた呼び名)
  ・所得税
  ・住民税
  ・復興特別所得税

□印紙税

上記一覧をみて、意外にシンプルだと思われた方が多いのではないでしょうか。

譲渡所得税は、売買代金にかかるのではなく、不動産を売ったときの利益(譲渡所得)にかかります。

家を購入してから、売却までの年数が5年以上か以下かで、税額が2倍ほど違います。購入からの年数の確認や利益がどれくらい出るか、適用される控除があるかなど、確認するべきことも多いため、税金のシュミレーションをしておくといいでしょう。

【ポイント】
売買代金が取得したときの金額を下回る場合、税金がかからないことが多いといえます。ただし、建物は減価償却を加味して計算するため、計算上の取得価格が低くなり、利益が出るケースもあるため注意が必要です。

特別控除は売却に取り掛かる前にチェック

不動産の売却時の税金を計算する際、特別控除があり、不動産を売ったときの利益から控除額を差し引くことができます。この特別控除を適用するかしないかで、納税額に大きな違いが出ます。

【ポイント】
不動産の売却を決断したら、どのような控除があるか、売却する不動産が控除の条件に合うかどうかを確認しましょう。控除が適用できる場合は、しておくべきことはないかなど、漏らさず確認しましょう。
例をあげると、昭和56年5月31日以前に建築された家屋を売却する場合、そのまま売ると控除はゼロ。更地にするかリフォームして売却すれば、3,000万円の空き家控除が適用されるケースがあります。

自分では気付かない控除があるかもしれないので、不動産会社に相談することでアドバイスを受けましょう。

【ポイント】
不動産会社を選ぶ際に、税金や控除についても的確なアドバイスをくれるところを選ぶことが、非常に重要です。

不動産売却時にかかる税金1|譲渡所得税

不動産を売却した際に、手元に残る金額に大きく影響するのが「譲渡所得税」です。売却で得た利益(譲渡所得)に対して課されます。譲渡所得の計算方法と、税金の計算を理解しましょう。

※税率や控除例は2024年10月時点のものです。モデルとして示しているシミュレーション額等は概算のため目安として参考にし、最新の税率や控除、正確な金額を確認しましょう。

譲渡所得とは?

不動産を売却する際にかかる税金に譲渡所得税があります。

その税金の計算のもとになるのが、譲渡所得です。譲渡は買主に売り渡したことをさし、売却代金から、その不動産を購入したときの額や諸費用を引いた金額が譲渡所得になります。つまり、不動産を売却したときの利益が、譲渡所得に当たるのです。

譲渡所得の計算式は以下になります。

譲渡所得 = 不動産を売った金額 -(買ったときの金額 + 売却の諸費用)

計算に出てくるそれぞれの金額はどのようなものか、詳しくみていきましょう。

●不動産を売った金額

売買金額 + 固定資産税・都市計画税を日割り計算して清算した額(買主より預かる納税するべき額、売主が先払いで納税しているケースもある)

●買ったときの金額(取得費) 

購入金額 + 購入時の諸経費

【ポイント】
・取得費とは土地は購入金額そのままだが、建物は減価償却費を引く
・購入金額が不明な場合は、売却金額×5%が買ったときの金額となる
・取得費の証明は購入時の契約書や領収書で可能

●売却の諸費用
仲介手数料・印紙税・測量費(一戸建て土地を測量した場合)・抵当権抹消にかかる司法書士費用など(ローンが残っていた場合)

 次に、モデルの数字を使って計算してみましょう。

不動産を売った代金:5,000万円 

買ったときの金額:4,000万円
(購入時は土地3,000万+家2,000万だが、家は減価償却費を引き1,000万とする)

売却の諸費用:210万(仲介手数料171万円・印紙税1万円・測量費38万円)

※端数が出るもの は切りのいい数字にしてあります、固定資産税の清算金額は計算に入れていません。

譲渡所得=不動産を売った金額-(買ったときの金額+売却の諸費用)の計算式に数字を当てはめていくと、譲渡所得は790万円となります。

譲渡所得:790万=5,000万円 -(4,000万円+210万円)

不動産売却時の譲渡所得税とは

不動産売却時にかかる譲渡所得税は、「譲渡所得」に対して課される所得税、住民税、そして復興特別所得税です。

復興特別所得税は、東日本大震災の復興財源として2013年に導入され、2037年まで課税されます。

譲渡所得には「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」があり、税率はそれぞれ下記のようになります。

●短期譲渡所得(所有期間5年以下)
所得税(30%) + 住民税(9%) + 復興特別所得税(0.63%) = 合計(39.63%)

●長期譲渡所得(所有期間5年以上)
所得税(15%) + 住民税(5%) + 復興特別所得税(0.315%) = 合計(20.315%)

復興特別所得税は2037年12月31日までの時限立法による税金です、そのため2038年以降の譲渡所得税にはかからなくなる予定です。

短期譲渡所得税計算方法|不動産購入から5年未満

不動産を取得してから、5年以内に売却した場合は譲渡所得に、39.63%の税金がかかります。

【ポイント】
「5年以内」を正確にいうと、不動産を取得して5年たった年の12月31日までです。「家を買ってから丸5年たった年の翌年の1月1日からは6年目になり、税率は約半分(20.315%)になる」と覚えておきましょう。


短期保有の場合の、譲渡所得税の計算式をみていきましょう。

(譲渡所得-特別控除)× 税率(39.63%)= 譲渡所得税

ここでポイントになるのは、「特別控除」です。

【ポイント】
家を売却した場合の代表的な特別控除として、下記の2つがあります。

・居住用財産(マイホーム)の3,000万円の特別控除の特例
・空き家対策の特別控除の特例(最大3,000万円)

控除の条件などは後程解説しますが、この2つのどちらかが適用できる場合と、できない場合を、先ほど算出した譲渡所得で計算してみましょう。

●居住用財産(マイホーム)か空き家の特別控除の3,000万円の控除が適用できる場合
(譲渡所得:790万-特別控除:3,000万)×税率(39.63%)= 譲渡所得税:0

▲3,000万控除がどちらも適用できなかった場合
(譲渡所得:790万円)×税率(39.63%)= 譲渡所得税:3,130,770円

特別控除が適用できる場合と、できない場合では納税金額に、非常に大きな違いがでることがお分かりいただけるでしょう。

特別控除が適用できる場合は、譲渡所得3,000万円までは、税金がゼロになります。逆に、3,000万円の利益が出たときに、特別所得が適用できなければ、11,889,000円の税金となってしまうのです。

長期譲渡所得税計算方法|不動産購入から5年以上

家を売る方の多くは、不動産購入から5年以上経過しています。

【ポイント】
相続で受け継いだ場合は、被相続人が購入したときからの年数が加算されるため、ほとんどの場合で長期の5年以上とみなされます。そのため相続してすぐ売却した場合でも短期ではなく、長期の税率が適用されるのが通常です。

長期保有の場合の譲渡所得税の計算式配下になります。

(譲渡所得 - 特別控除)× 税率(20.315%)= 譲渡所得税

譲渡所得790万円のときに、先ほど紹介した2つの3,000万の控除のどちらかを適用できる場合と、できない場合を計算してみましょう

●居住用財産(マイホーム)か空き家の特別控除の3,000万円が適用できる場合
(譲渡所得:790万-特別控除:3,000万)×税率(20.315%)= 譲渡所得税:0

▲3,000万控除がどちらも適用できなかった場合
(譲渡所得:790万円)×税率(20.315%)= 譲渡所得税:1,604,885円

税率が短期保有の場合の約半分とはいえ、特別控除が適用できた場合には、税金がゼロでかからないため、特別控除が適用できるかどうかの違いは大きいといえます。

おすすめ動画
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不動産売却時にかかる税金2|印紙税   

不動産売却時にかかる税金の一つに印紙税があります。貼り忘れるとペナルティがありますので事前に金額を確かめて、契約時に貼り付け割り印ができるよう準備をしておきましょう。

不動産売却時の印紙税とは?

印紙税は、不動産売買契約書に収入印紙を貼ることで納める税金です。

その額は、契約書の記載金額によって変わります。例をあげると、契約金額が1,000万円を超える場合、印紙税は1万円が基本となりますが、1億円を超える契約では6万円となります(2024年10月現在軽減税率が適用)。

印紙を貼りつけずに、契約書を交わしてしまった場合、後日、ペナルティとして過怠税(印紙税額の3倍)が課されることもあるため、注意が必要です。

なお、売買契約書を2通作成する場合には、それぞれに印紙税がかかるため、売主と買主が1通分ずつを負担するのが一般的です。

参考:印紙を貼り付けなかった場合の過怠税|国税庁

不動産売却額別 収入印紙代一覧

不動産売買契約書には、印紙を貼り付けて割り印を行います。印紙を購入するのは、買主が決まり契約書を作成するタイミングです。

契約金額本則税率軽減税率
10万以上50万円以下400円200円
50万以上100万円以下1千円500円
100万以上500万円以下2千円1千円
500万以上1千万円以下1万円5千円
1千万以上5千万円以下2万円1万円
5千万以上1億円以下6万円3万円
1億以上5億円以下10万円6万円

※平成26年4月1日から令和9年3月31日までの間に、作成される不動産の譲渡契約書のうち、契約書に記載された契約金額が10万円を超えるものについては、税率が軽減されます。

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2024年最新版】不動産売却の流れと注意点|拓ちゃんねる(ウスイホーム)

参考:No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁
No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置|国税庁

不動産売却でかかる税金3|節税のポイント

不動産を売却する際には、譲渡所得に対して適用できる控除がいくつかあります。ここでは、家を売却したときの代表的な控除である「居住用財産(マイホーム)の3,000万円特別控除」と「空き家3,000万円特別控除」の2つをご紹介します。

このような特別控除はいつ終了するか不明なため、家の売却を考えている場合は早めに売却を決断し、不動産会社に相談することをおすすめします。

居住用財産(マイホーム)の3,000万円の特別控除

「居住用財産(マイホーム)の3,000万円の特別控除」は、マイホームを売却した際に、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例です。

この控除は、所有期間に関係なく適用されますが、いくつかの要件があります。

●自分が住んでいる家、または以前住んでいた家を売却する場合、住まなくなった日から3年目の12月31日までに売却を完了する
●敷地のみを売却する場合は、更地にしてから1年以内に売却契約を締結し、住まなくなった3年目の年末までに売却する
●買手が親子や夫婦などの特別な関係でないことも要件となります。

す. 他にも細かな条件があるため、売却に取り掛かる前に必ず確認しておきましょう。また、この特例の適用を受けると、住宅ローンの特別控除が受けられなくなる点は、注意が必要です。

参考:土地や建物を売ったとき|国税庁

空き家対策の控除を活用する

空き家対策の特別控除は、増えつつある空き家の悪影響を防ぐために設けられた最大3,000万円の特別控除です。

耐震構造が不十分な空き家や、放置された空き家をリフォームして住めるようにしたり、更地にして土地の活用を進めたりするのが目的です。

適用の条件に当てはまる空き家が控除の対象となります。

●昭和56年5月31日以前に建築された家屋を耐震リフォームするか、取り壊して更地で売買する
●相続後3年以内に売却
●被相続人が一人で居住していた家屋であること

などが主な条件ですが、令和5年度の税制改正により、この特別控除は令和9年12月31日まで延長されました。さらに、被相続人が、亡くなる前まで居住していたという条件が緩和され、老人ホームに入居していた場合でも適用されるようになっています。条件が緩和されていますので、詳細な条件を確認しましょう。

参考:No.3307 被相続人が老人ホーム等に入所していた場合の被相続人居住用家屋|国税庁

亡くなった日から10カ月以内に相続して売却する

被相続人の不動産を売却する場合、子どもや親戚などの誰かが、一旦その不動産を相続し、名義変更を行う必要があります。亡くなった方の名義では売却ができないためです。

この相続手続きは、被相続人が亡くなった日から10カ月以内に手続きを行い、相続税の申告と納付を行わなくてはなりません。期間を過ぎると、延滞税が加算されるほか、控除や特例が利用できなくなるなどの罰則が発生するため、注意が必要です。

取得費の加算特例 を活用する

「取得費加算の特例」は、相続した家を、一定期間(相続開始日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで)に売却した場合、相続税を支払った相続人限定で適用される特例です。

この特例を活用すると、相続した不動産の取得費にかかる相続税のうち一定金額を、譲渡資産の取得費に加算できます。譲渡所得から控除できる金額が増えるわけですから、譲渡所得税も安くなります。長期保有の場合の税率が20.315%ですから、贈与税を100万円支払っている場合は約20万円、1,000万支払っている場合は200万円の節税ができるのです。

なお、マイホーム特別控除との併用はできますが、空き家対策の特別控除とは併用できない点に注意が必要です。

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参考:No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例|国税庁

譲渡所得税の節税ポイントは、特別控除の活用

不動産売買時の税金についてと、譲渡所得税の節税のポイントについて解説しました。譲渡所得税は特別控除を適用できると、かなり減らすことができ、税金をゼロにできるケースもあります。

売却を決断したら、売却活動に取り掛かる前に控除の要件をよく確認しましょう。

古い空き家を売却時に更地にしなかったために、3,000万の特別控除が受けられず、多額の税金を支払うことになったり、引っ越し後3年の期間に間に合わず、マイホーム特別控除を受けられなかったりといった場合は後悔が残ります。

手元にお金が多く残るように、自分でも調べ不動産会社の担当者にも相談しながら、損をしない上手な売却を目指しましょう。

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横浜・湘南・横須賀の不動産(マンション・アパート・事務所・一戸建て・土地)売却 | ウスイホーム

監修者 海沼 仁(カイヌマ ヒロシ)

【経歴】
ウスイホーム株式会社 取締役。

大学時代は不動産評価論を専攻。
卒業後、1997年にウスイホーム株式会社入社。売買仲介部門の新人賞を受賞。
2001年、新店の上大岡店店長に就任。以降、各店店長を歴任。特に新店舗の立ち上げを得意とし、後にエリアマネージャーに抜擢される。
2012年より取締役に就任。主に横浜、湘南エリアでの商圏拡大に尽力している。

地域貢献活動にも力を入れ、2021年には創業45周年を機に、SDGs推進に取り組む「ウスイグループSDGs宣言」を制定。
地域密着型営業で築き上げてきた不動産業界のキャリアと実績から、顧客の信頼も厚く、幅広い人脈を持つ。著名人・有名人からの相談や紹介も多い。

【資格】
宅地建物取引士
CPM(米国不動産経営管理士)
日本RSP協会 不動産仲介士 試験問題監修委員
執筆者 ウスイホーム株式会社 広報チーム
1976年に神奈川県で創業。お客様と地域の発展のため、住宅に係わるあらゆるお手伝いをさせて頂いております。長年にわたり蓄積してきた知見を活かし、新築戸建てや中古戸建てを検討・購入する際に役立つ最新情報を発信しています。
お問い合わせURL https://www.usui-home.com/contact