土地売却

【専門家監修】不動産売却の税金はいくら?かからないケースや計算方法・いつ払うかの時期を解説

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不動産を売却すると、譲渡によって利益が出た場合に「譲渡所得税」などの税金が発生します。しかし、その金額や課税のタイミング、計算方法は物件の種類や所有期間などの条件によって大きく異なります。

本記事では、不動産売却時にかかる税金の種類や計算方法、控除や特例による節税のポイントまでをわかりやすく解説します。基礎知識をしっかり押さえ、損をしない売却を実現しましょう。

不動産の売却に必要な税金の種類

不動産を売却する際には、複数の税金が関わってきます。ここでは代表的な4つの税金について、その内容や計算方法、課税のタイミングなどを詳しく解説します。

譲渡所得税(所得税・住民税)

不動産売却で利益が出た場合に課されるのが「譲渡所得税」です。これは、譲渡によって得た所得に対して課税されるもので、所得税と住民税で構成されています。

税率は不動産の所有期間によって大きく異なり、売却した年の1月1日時点において、所有期間が5年以下なら「短期譲渡所得」、5年を超えていると「長期譲渡所得」に区分されます。

税率は「所有期間」によって大きく異なり、5年以下なら「短期譲渡」、5年を超えると「長期譲渡」と区分され、税負担に差が出ます。

所有期間所得税住民税合計税率(概算)
5年以下(短期譲渡)30%9%39%
5年超(長期譲渡)15%5%20%

※実際には、これらの税率に加えて「復興特別所得税(所得税額の2.1%)」が別途加算されます。詳細は後述します。

たとえば、同じ1,000万円の譲渡所得があっても、短期と長期で2倍近い税負担の差が生じることがあります。売却するタイミングによって税額が大きく変わるため、事前に所有期間を確認しておきましょう。

参考:No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)|国税庁

復興特別所得税

不動産売却で利益(譲渡所得)が出た際、所得税や住民税とあわせて課税されるのが「復興特別所得税」です。東日本大震災からの復興財源を確保するための国税で、2037年(令和19年)まで課税される仕組みになっています。主な特徴や注意点は次のとおりです。

 所得税とあわせて一括で納付する

単独で納付書が届くわけではなく、売却した翌年の確定申告の際に所得税とまとめて一緒に計算し、国へ一括して納付します。

 税率は所得税額の2.1%

所有期間に応じた所得税額に対して、一律で2.1%が上乗せされます。
復興特別所得税と住民税を含めた、最終的な譲渡所得の税率は次のようになります。

  •  短期譲渡所得(所有5年以下): 計39.63%(所得税30% + 復興0.63% + 住民税9%)
  •  長期譲渡所得(所有5年超): 計20.315%(所得税15% + 復興0.315% + 住民税5%)

不動産の売却は取引額が大きいため、復興特別所得税による負担も少なからず影響します。売却後の資金計画を立てる際は、この税金も含めた総額で目安を把握しておくことが大切です。

登録免許税

登録免許税は、不動産に関する登記手続きを行う際に国に納める税金です。不動産売却においては、主に売却する物件に設定されている住宅ローンの抵当権を抹消する手続き(抵当権抹消登記)を行う場合や、登記簿上の住所・氏名から引っ越しなどで変更がある場合(住所・氏名変更登記)に、売主側の負担として発生します。
※買主が負担する「所有権移転登記」とは異なりますので、売却時は注意しましょう。

税額は不動産(土地・建物それぞれ)1個につき1,000円と定められています。
ここで注意したいのは、戸建てや土地の売却において、見かけ上は1つの物件に見えても、登記簿上はいくつかの筆(ひつ)という単位に分かれているケースがある点です。
土地が複数筆に分かれている場合はその筆数分の税金が必要になるため、事前に納税通知書などで自身の不動産の状況を確認しておくと安心です。

一般的には、物件の引き渡し日に司法書士へ手続きを依頼することが多く、登録免許税の実費とは別に、司法書士への報酬(手数料の相場として1万〜3万円程度)が必要になります。

印紙税

印紙税は、不動産売買契約書などの「課税文書」を作成する際に課される税金です。
不動産売買においては、売買契約書に貼付する収入印紙によって納税し、金額は契約金額に応じて異なります。

2027年(令和9年)3月31日までに作成される契約書には以下の軽減税率が適用されます。 

契約金額本則税率軽減税率
10万円超~50万円以下400円200円
50万円超~100万円以下1,000円500円
100万円超~500万円以下2,000円1,000円
500万円超~1,000万円以下1万円5,000円
1,000万円超~5,000万円以下2万円1万円
5,000万円超~1億円以下6万円3万円
1億円超~5億円以下10万円6万円
5億円超~10億円以下20万円16万円
10億円超~50億円以下40万円32万円
50億円超~60万円48万円

出典:不動産売買契約書の印紙税の軽減措置|国税庁

収入印紙は、郵便局や法務局であれば全ての金額の印紙を購入できます。

(コンビニでは原則として200円の収入印紙のみ購入可)

売買契約書を2通作成する場合は、売主・買主がそれぞれ1通ずつ保管するため、自身の分の印紙代をそれぞれ各自で負担するのが一般的です。

契約書を1通のみ作成し買主が原本を保管する場合は、印紙代を折半するなどの特約を設けるケースもあります。事前にどちらがどのように負担するかを取り決めておきましょう。

なお、売買契約書に印紙を貼り忘れてしまうと、税務調査で過怠税が課される場合があるため注意が必要です。また、売買契約を電子契約で締結する場合は、印紙税はかかりません。

消費税

個人がマイホーム(自宅)や土地を売却する場合、売却価格そのものに消費税はかかりません。ただし、不動産会社への報酬など「売却手続きにかかる諸費用」には消費税が課税されるため、それぞれのルールを正しく整理しておくことが大切です。

不動産の売却価格に消費税はかからない

土地は消費される性質のものではないため、一律で非課税となります。
建物についても、個人が生活用のマイホームを売却する場合、事業としての取引に該当しないため課税対象外です。

「売却の手続き(諸費用)」:消費税(10%)がかかる

不動産の本体価格には消費税はかかりませんが、専門家や会社に支払う報酬には消費税がかかります。

対象となる主な費用
仲介手数料、司法書士への登記報酬、ローンの繰り上げ返済手数料、建物の解体・測量費用など

売却にともなう合計コストを割り出す際は、事前にこれらを税込価格で把握したうえで資金計画を立てるようにしましょう。

参考記事:【専門家監修】不動産売却の費用一覧│目安や計算方法、安く抑えるコツまで解説

不動産売却で税金がかからないケースとは?

不動産を売却した場合でも、必ずしも税金が発生するわけではありません。
譲渡所得の有無や取引の性質、特例の活用状況によっては課税されないケースもあります。ここでは代表的なケースを紹介します。

売却しても利益なし・マイナスのケース

不動産を売却した際に発生する「譲渡所得税」や「住民税」は、売却した金額そのものではなく、売却によって得た「利益(譲渡所得)」に対して課税される仕組みになっています。

そのため、売却価格よりも、購入したときの価格(取得費)や売却時の諸経費(譲渡費用)の合計額の方が高く、利益が出なかったりマイナス(赤字)になったりした場合には、課税対象となる所得がないため、これらの税金はかかりません。

【譲渡所得の計算式】
売却価格 -(不動産を買ったときの価格 + 譲渡費用)= 譲渡所得
(※譲渡所得がゼロ、またはマイナスなら税金はかかりません)

建物の場合は、購入価格から所有期間に応じた「減価償却費」を差し引いた金額(取得費)を用います。 その他にも、注意しておきたいポイントがあります。

マイナスになった場合でも確定申告でメリットがあることも

マイホームの売却などで損失(赤字)が出た場合、税金がかからないため原則として確定申告の義務はありません。

しかし、一定の要件を満たして確定申告(損益通算など)を行うことで、他の所得から赤字分を差し引くことができ、給与から天引きされている税金が還付されるなど、大きなメリットを受けられる場合があります。

売却にかかわる他の税金は発生する

利益が出ず譲渡所得税がかからない場合でも、売買契約書を作成する際の印紙税や、住宅ローンを完済して抵当権を抹消する際の登録免許税などの税金は発生します。

売却で利益が出ない場合やマイナスになりそうな場合でも、税金がかからないからとそのままにせず、利用できる制度がないか不動産会社や専門家に確認してみることが大切です。

特別控除や特例を適用して売却益を相殺できるケース

不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合でも、必ずしも税金が発生するわけではありません。

国が定めた一定の要件を満たすと、税金の負担を軽くするための「特別控除」や「特例」を利用できる場合があります。これらを適用すると、発生した利益から決められた金額を引き算(相殺)できるため、課税対象となる所得が0円になり、結果として税金がかからなくなるケースもあります。

売却益を相殺できる代表的な特例には、次のようなものがあります。

  • マイホームを売却した際:「居住用財産の3,000万円特別控除」
  • 相続した実家を売却した際:「空き家の3,000万円特別控除」
  • 一定の条件を満たす土地を売却した際:「低未利用土地等の100万円特別控除」

たとえば、ご自宅を売却して1,000万円の利益が出たとしても、マイホームの3,000万円特別控除が適用できれば、利益を全額相殺できるため譲渡所得税はかかりません。

控除や特例を利用して税金が0円になる場合でも、制度が自動的に適用されるわけではありません。適用を受けるためには、売却した翌年に必ず確定申告を行う必要があります。

申告を忘れると特例が使えなくなり、本来の税金を納めなければならなくなるため、ご自身のケースで利用できる制度がないか事前に確認し、忘れずに手続きを進めることが大切です。

不動産売却時の税金の計算方法とシミュレーション

不動産を売却する際にかかる税金は、売却して得られた利益と、その不動産を所有していた期間の2つによって大きく変動します。

ここでは、税金計算のベースとなる譲渡所得の基本的な計算方法や、具体的なシミュレーション事例について分かりやすく紹介します。

課税譲渡所得の計算方法(譲渡価格・取得費・譲渡費用)

不動産売却において、売却価格そのものに税金がかかるわけではありません。
税金が課されるのは、売却価格から「購入時の価格」や「売却にかかった費用」を差し引いた、純粋な利益の部分となります。

この税金計算のベースとなる利益のことを「譲渡所得」と呼び、次のような流れで計算を行います。

【ステップ1】譲渡所得(利益)を出す

計算式: 売却価格 -(取得費 + 譲渡費用)= 譲渡所得

ここで使われる「取得費」とは不動産の購入代金などのことであり、「譲渡費用」とは売却時の仲介手数料などの経費を指します。

【ステップ2】特例などの控除を引く

計算式: 譲渡所得 - 特別控除(マイホームの特例など)= 課税譲渡所得

ステップ1で計算した利益から、国が用意している特別控除(マイホーム売却時の3,000万円特別控除など)を差し引いた金額が、最終的に税率を掛け合わせる「課税譲渡所得」となります。

売却を検討する際は、まずご自身の不動産の「取得費」と「譲渡費用」がそれぞれいくらになるかを確認し、この計算の流れに当てはめてみることが大切です。

取得費が不明なケースの計算方法と建物の減価償却

土地や建物を売却して譲渡所得(利益)を計算する際、過去に購入したときの価格や費用である「取得費」をいくら差し引けるかが、税額を決める重要なポイントになります。

しかし、購入から何十年も経っているマイホームや相続した不動産の場合、税金の計算には次のような特有のルールがあるため注意が必要です。

・取得費がわからない場合は「概算取得費(5%)」を利用する

過去の売買契約書や領収書を紛失してしまい、どうしても当時の購入価格がわからない場合は、特例として「売却価格の5%」を概算取得費として計算することができます。

(例:3,000万円で売却した場合、その5%にあたる150万円を取得費とみなします)

注意点として、概算取得費を用いて計算する場合、実際の購入価格よりも低い金額になってしまうケースが多く見られます。

差し引ける取得費が減る分、計算上の利益(譲渡所得)が大きく膨らみ、結果として税金が高額になる可能性があるため注意しましょう。税負担を抑えるためにも、当時の契約書や通帳の記録など、購入価格の目安となる資料をできる限り探しておくことが大切です。

参考:No.3258 取得費が分からないとき|国税庁

・建物を売却する際は「減価償却」の計算が必要になる

一戸建てやマンションなど、建物が含まれる不動産を売却する場合、購入したときの価格をそのまま全額取得費として差し引けるわけではありません。

建物は、築年数が経過するにつれて少しずつ価値が減少していくと考えられています。

そのため、購入代金から、所有していた期間に目減りした価値(減価償却費)を差し引いて、現在の建物の価値を計算し直す必要があります。

【建物の取得費のイメージ】

建物の購入価格 - 減価償却費 = 現在の建物の取得費(税金計算に使える金額)

なお、土地は年数が経っても劣化しないため、減価償却を行う必要はありません。

減価償却の計算は少し複雑に感じるかもしれませんが、不動産会社へ査定を依頼する際にご購入時の資料をお持ちいただければ、おおよその取得費や手取り額の目安を算出することが可能です。ご自身で悩まず、まずは不動産会社へお気軽にご相談ください。

課税譲渡所得の計算で差し引ける費用(手数料・経費・リフォーム費用)

不動産を売却した際にかかる税金は、売却価格そのものではなく、そこから「取得費」と「譲渡費用」を差し引いた利益(課税譲渡所得)をベースに計算されます。
差し引ける費用を計上することで、税金の負担を適正に抑えることができます。

ここでは、計算時に差し引くことができる費用の代表的な例を見ていきましょう。

取得費(購入時にかかった費用など)

取得費とは、その不動産を取得するためにかかった費用のことです。物件の購入代金だけでなく、次のような経費も含めることができます。

  • 購入時の仲介手数料や印紙代
  • 登記にかかった登録免許税や司法書士への報酬
  • 不動産取得税
  • リフォームや増改築の費用(設備の改良など、建物の価値を高めるための費用)

※なお、建物の取得費は、購入代金やリフォーム費用などの合計から「減価償却費(年月が経つにつれて目減りする価値の分)」を差し引いて計算します。

譲渡費用(売却時にかかった費用)

譲渡費用とは、不動産を売却するために直接かかった費用のことです。

次のようなものが該当します。

  • 売却時の仲介手数料
  • 売買契約書に貼った印紙代
  • 土地を売却するために必要となった測量費や建物の解体費
  • 貸家を売るために借家人に支払った立退料

差し引くことができない費用の例

売却のタイミングで支払ったものであっても、売却のために直接かかった費用ではないとみなされ、経費として差し引けないものもあります。例えば次のような費用です。

  • 新居への引越し費用
  • 住宅ローンの繰り上げ返済手数料や、抵当権抹消の登記費用
  • 通常の維持管理のための修繕費(ハウスクリーニング代や、壊れた設備の修理費など)

取得費や譲渡費用を税金の計算に反映させるためには、支払いを証明する領収書や契約書が必要になります。

「どの費用が計上できるのかわからない」と迷われるケースも多いため、関連しそうな書類は売却準備の段階から捨てずに整理し、大切に保管しておきましょう。

短期・長期譲渡の判定ルールと注意点

短期譲渡か長期譲渡かの判定は、売却した年の1月1日時点での所有期間によって決まります。たとえば、2020年2月に購入した物件を2025年12月に売却した場合、1月1日時点で5年を経過していなければ「短期譲渡所得」扱いとなり、税率が高くなります。

このように、年をまたいで数か月待つだけで税率が半分近くに下がるケースもあるため、売却時期の調整は非常に重要です。特に年末に売却を検討している方は、事前に所有期間と課税区分を必ず確認しましょう。

所有期間ごとの税金シミュレーション事例

不動産の売却益に対する税金は、所有期間に応じて大きく変動します。ここでは、譲渡所得が500万円だった場合を想定し、短期譲渡所得(5年以下)と長期譲渡所得(5年超)での税額の違いを具体的に比較してみましょう。

【ケース1】短期譲渡所得(所有期間5年以下)

所得税:500万円×30.00%=150万円住民税:500万円×9.00%=45万円復興特別所得税:150万円×2.1%=31,500円合計:1,981,500円

【ケース2】長期譲渡所得(所有期間5年超)

所得税:500万円×15.00%=75万円住民税:500万円×5.00%=25万円復興特別所得税:75万円×2.1%=15,750円合計:1,015,750円

このように、所有期間の違いだけで約97万円もの税額差が生じます。節税のためには、事前の計画と売却タイミングの見極めが重要です。

不動産(戸建て・マンション・土地)売却の税金計算シミュレーション

不動産売却でかかる税金は、物件の種類や所有期間、特例が利用できるかどうかによって大きく金額が変わります。

ここでは、実際の取引でもよく見られる一般的な3つのケースについて、具体的にどれくらいの税金がかかるのかをシミュレーションしてみましょう。

【ケース1】マイホーム(一戸建て)を売却した場合

長年暮らした一戸建てを売却し、マイホーム売却時の「3,000万円特別控除」を利用する標準的なケースです。

戸建ての取得費2,800万円(12年分の建物の減価償却費を差し引き済み)
譲渡費用140万円(仲介手数料・測量費など)
売却価格4,000万円
利用特例居住用財産の3,000万円特別控除
所有期間12年(長期譲渡所得)
税率20.315%(長期譲渡所得)
税額合計0円

① 譲渡所得の計算

売却価格-取得費-譲渡費用=譲渡所得

4,000万円-2,800万円-140万円=1,060万円

② 課税譲渡所得と税額の計算

1,060万円-3,000万円(特別控除)=0円

税額:0円

売却によって1,060万円の利益(譲渡所得)が出ていますが、マイホームの特例が適用できるため課税対象は0円となり、譲渡所得税はかかりません。

特例を正しく活用できれば、税負担を大幅に軽減できることがわかります。

【ケース2】居住用マンションを売却した場合(短期譲渡)

家族の増加などの理由で、購入したマイホーム(マンション)を5年以内の短期間で売却して住み替えるケースです。新居で「住宅ローン控除」を利用するため、今回はあえて「3,000万円特別控除」を使わない一般的な例として計算します。

(※税法上、売却時の3,000万円特別控除と、購入時の住宅ローン控除は原則として併用できません)

マンションの取得費3,000万円(4年分の建物の減価償却費を差し引き済み)
譲渡費用120万円(仲介手数料など)
売却価格3,500万円
利用特例なし(住宅ローン控除の利用を優先するため)
所有期間4年(短期譲渡所得)
税率39.63%(短期譲渡所得)
税額合計1,505,900円

① 譲渡所得の計算

3,500万円-3,000万円-120万円=380万円

② 課税譲渡所得と税額の計算

課税譲渡所得:380万円

税額:380万円×39.63%=1,505,900円(※100円未満切り捨て)

所有期間が5年以下の短期譲渡所得に該当するため、39.63%の高い税率が適用されます。

今回の例のように380万円の利益に対して約150万円の税金が発生しても、「新居の住宅ローン控除」による減税額の方が大きければ、トータルでお得になるケースは少なくありません。住み替えの際は、どちらの制度を使うべきか事前にシミュレーションしておくことが大切です。

【ケース3】取得費が不明な通常の土地を売却した場合

過去に自身で購入した土地であるものの、売買契約書を紛失してしまい当時の購入金額がわからないため、「概算取得費(売却価格の5%)」を適用して売却するケースです。

土地の取得費不明(概算取得費:75万円)
譲渡費用60万円(仲介手数料・測量費など)
売却価格1,500万円
利用特例なし(一般的な土地の売却)
所有期間25年(長期譲渡所得)
税率20.315%(長期譲渡所得)
税額合計2,772,900円(100円未満切り捨て)

① 取得費と譲渡所得の計算

概算取得費の計算:1,500万円×5%=75万円

譲渡所得の計算:1,500万円-75万円-60万円=1,365万円

② 課税譲渡所得と税額の計算

課税譲渡所得:1,365万円

税額:1,365万円×20.315%=2,772,900円(100円未満切り捨て)

実際の購入価格が不明な場合、法律上のルールによって売却価格の5%(今回は75万円)しか経費として認められません。そのため税法上の利益が1,365万円まで大きく膨らんでしまい、長期譲渡所得であっても税額が高くなります。

ご自身で購入された土地であっても、購入時の売買契約書や領収書などの資料を紛失してしまうと税負担が増える可能性があるため、売却の準備段階でできる限り探しておくようにしましょう。

参考記事:土地売却時にできる節税対策とは?売却時の税金シミュレーションも紹介

不動産売却時に活用できる節税方法

不動産の売却に伴い発生する税金には、控除や特例などの節税策がいくつか用意されています。条件を満たせば、税額を大幅に軽減できる可能性があるため、事前に制度の内容を理解し、適用可否を確認しておきましょう。

居住用財産の3,000万円特別控除

居住用不動産を売却した際に活用できる「3,000万円特別控除」は、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度です。売却益が3,000万円以内であれば、実質的に税金がかからないケースもあります。

この制度を適用するには、以下の条件をすべて満たす必要があります。

  • 売却した不動産が、本人または配偶者・家族が実際に居住していた「居住用財産」であること
  • 売却の相手が、配偶者・親・子などの「特別な関係者」でないこと
  • 譲渡の年の翌年に「確定申告」を行うこと(申告しなければ控除は適用されない)

また、この控除は他の特例と併用できない場合もあるため、事前に適用関係を確認することが重要です。マイホームの売却時に最も使われている制度の1つであり、適用できれば大きな節税効果が期待できます。

参考:No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁

所有期間10年以上の不動産売却に対する軽減税率の特例

マイホーム(居住用財産)を長く所有してから売却する場合、税金の負担をさらに軽くできる制度があります。それが「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」です。

売却した年の1月1日時点でマイホームの所有期間が10年を超えている場合、一定の要件を満たすと、通常の長期譲渡所得よりもさらに低い税率が計算に用いられます。

・軽減される税率の仕組み

通常、所有期間が5年を超える「長期譲渡所得」の税率は約20%(20.315%)ですが、この特例を利用すると、譲渡所得(利益)のうち6,000万円以下の部分については、税率が約14%(14.21%)まで引き下げられます。

・3,000万円特別控除との併用が可能

この特例の大きなメリットは、前述の「居住用財産の3,000万円特別控除」と一緒に利用できる点です。

売却益から3,000万円を差し引いたうえで、さらに残った利益に対してこの低い税率をかけられるため、税額を大きく抑える効果が期待できます。

参考:No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例|国税庁

相続不動産に適用できる取得費加算の特例

相続で取得した不動産を売却する場合に利用できるのが「取得費加算の特例」です。相続税の一部を不動産の取得費に加算でき、結果として譲渡所得を圧縮し、課税額を抑えられる仕組みです。

この制度の概要と条件は以下の通りです。

  • 相続税を実際に納付していることが前提となる
  • 不動産の売却が「相続税の申告期限(相続開始から10か月以内)」の翌日から3年以内に行われていること
  • 加算できる金額は、納付した相続税額や相続財産の割合に応じて決まる
  • 取得費を増やせるため、課税譲渡所得を小さくできる効果がある

特例を利用することで税負担を大きく軽減できる可能性があるため、相続後に不動産を売却する予定がある方は、早めに検討しておくことをおすすめします。

参考:No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例|国税庁

買換え特例による課税繰延べ制度

「買換え特例」は、一定の条件を満たした場合に、不動産売却で発生した譲渡所得への課税を将来に繰り延べできる制度です。主に自宅を売却して新しい住まいに買い替えるケースで利用されます。

制度のポイントは以下の通りです。

  • 課税が「免除」されるのではなく「将来に繰り延べ」される制度
  • 新しく取得する不動産の用途や床面積、取得時期、価格などに厳密な条件がある
  • 売却した不動産の所有期間が10年以上であることなど、利用にあたっての要件が多い
  • 将来的に新しい不動産を売却する際に、繰り延べた課税が再び発生する
  • 条件に合わなければ特例は適用されないため、事前に専門家に確認することが重要

長期的な税負担を考えると必ずしも有利になるとは限らないため、制度を利用する際には売却後のライフプランも含めて判断することが求められます。

参考:No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例|国税庁

売却益が出た年の節税対策に「ふるさと納税」を活用する

不動産を売却してまとまった利益(譲渡所得)が出た年は、ふるさと納税をより有効に活用できるチャンスです。ふるさと納税の控除上限額はその年の所得によって決まるため、売却益に応じて寄付できる金額が引き上げられます。

主な特徴や注意点は次のとおりです。

  • 売却益が出ると寄付の上限額が上がる

譲渡所得の発生によってその年の総所得が大きくなるため、実質自己負担2,000円のままで、より多くの自治体へ寄付して返礼品を受け取ることが可能になります。

  • 特例(3,000万円特別控除など)を利用する場合は要注意

    寄付の上限額は「特例の控除を差し引いたあとの所得」をベースに計算されます。そのため、特例の適用によって課税譲渡所得が0円になった場合は、上限額のアップはありません。
    ふるさと納税を活用する際は、給与所得などに加え「特例控除後の売却益」がいくらになるかを正確に把握することが大切です。

ポータルサイトのシミュレーションツールなどを活用しながら、その年の12月末までに計画的に進めるようにしましょう。

参考:No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)|国税庁

不動産売却の税金はいつ払う?

不動産売却で利益が出た場合、その税金は確定申告を通じて納める必要があります。申告や納付の時期を誤ると延滞税などのペナルティが発生するため、流れを正しく理解しておきましょう。

確定申告が必要なケースとは

不動産売却で譲渡所得が発生した場合、原則として確定申告を行わなければなりません。たとえ給与所得者で年末調整を受けている場合でも、不動産売却に伴う所得は別途申告が必要です。

また、税額が軽減される特例を利用する際も、確定申告をしてはじめて控除や特例が適用されます。申告を怠れば、制度を利用できずに余分な税負担が生じることになります。

具体的に確定申告が必要となるのは以下のようなケースです。

  • 不動産売却で利益(譲渡所得)が出た場合
  • 居住用財産の3,000万円特別控除などの特例を利用する場合
  • 損失が出て繰越控除を活用したい場合

つまり、税金を減らしたい場合も含め、多くの売却ケースで申告が必要になる点に注意しましょう。

税金を納付するタイミング

不動産売却に伴う税金の納付は、売却した翌年の3月15日までに行います。

確定申告の提出期限と同じ日であり、申告書の提出と同時に納税する流れになります。

納付が遅れると、本来の税額に加えて延滞税や加算税が課される可能性があり、思わぬ負担が生じることになります。そのため、納付期限を守ることが重要です。

納税資金は売却代金の中から準備するのが一般的ですが、住宅ローンの残債返済や仲介手数料などの支出が重なることも多いため、余裕を持った資金計画を立てる必要があります。売却後は早めに税額の目安を把握し、納付に備えましょう。

不動産売却・確定申告後の税金の支払い方法

納付する税金には主に「所得税(国税)」と「住民税(地方税)」がありますが、それぞれ支払い時期や利用できる納付方法が異なります。

自身のライフスタイルに合わせて、無理なく納付できる方法を選んでみましょう。

・所得税の支払い方法(原則3月15日まで)

所得税は、確定申告の期限と同じ日までに国へ納付します。

主な支払い方法は次のとおりです。

  • 窓口での現金納付… 金融機関や税務署、コンビニなどで支払います。
  • 振替納税:引き落とし日が4月下旬頃のため、少しゆとりを持てます。
  • クレジットカード・スマホアプリ…専用サイトやアプリから24時間決済できます。

・住民税の支払い方法

住民税は確定申告の内容をもとに自治体が計算するため、自分で申告時に支払う必要はありません。納付方法には「普通徴収」と「特別徴収」の2種類があり、どちらにするか自分で選ぶことができます。

普通徴収(納付書を使って自分で支払う)
売却した翌年の5月〜6月頃にご自宅へ届く納付書を使い、原則として年4回に分けて支払います。

金融機関やコンビニの窓口へ持参して現金で支払うほか、多くの自治体でクレジットカードやスマホ決済アプリでの支払いにも対応しています。

特別徴収(毎月の給与から天引き)
会社員の方などの場合、お勤め先の給与から天引き(年12回に分割)される形で、売却翌年の6月から翌々年の5月にかけて毎月少しずつ差し引かれます。

【状況別】相続・親の不動産・贈与・離婚(財産分与)による不動産売却時の税金

不動産の売却は、ご自身のマイホームを住み替えるケースだけでなく、相続や離婚など、ご家庭の状況によって背景が大きく異なります。状況が変われば、適用される税金のルールや注意すべき点も変わってきます。 ここでは、それぞれのケースに応じた税金の仕組みや注意点について解説します。

相続した不動産(空き家)の売却シミュレーションと利用できる特例控除

親から相続した実家や土地を売却する際は、以下のような税金の優遇措置(特例)を利用できる場合があります。

・空き家の3,000万円特別控除

被相続人(亡くなった親)が一人で暮らしていた古い家屋などを売却する場合、一定の耐震要件などを満たすと、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度です。
現行の税制において2027年(令和9年)12月31日までの売却が対象となっています。

2024年(令和6年)の税制改正により、相続人が3人以上の場合は控除額の上限が1人あたり2,000万円となっているため、注意が必要です。

参考:No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁

・相続税の取得費加算の特例

不動産を相続する際に相続税を納付している場合、支払った相続税の一部を取得費に加算し、譲渡所得を低く抑えることができる制度です(相続開始から3年10か月以内の売却などの要件があります)。

「空き家の3,000万円特別控除」と「相続税の取得費加算の特例」は、同じ不動産に対して重複して適用することはできません。

どちらを適用するのがご自身にとって一番メリットがあるのか、以下のシミュレーションを参考に慎重に検討することが大切です。 

参考:No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例|国税庁

【シミュレーション①:空き家の3,000万円特別控除】

ここからは、「空き家の3,000万円特別控除」や「相続税の取得費加算の特例」を利用して不動産を売却する場合の税金シミュレーションをご紹介します。

相続人の取得費不明(概算取得費:売却価格の5%にあたる150万円)
譲渡費用50万円(仲介手数料・測量費など)
売却価格3,000万円
利用特例空き家の3,000万円特別控除
所有期間10年(5年超のため長期譲渡所得税率を適用/親の所有期間を引き継ぐ)
税率20.315%(長期譲渡所得)

①譲渡所得の計算

3,000万円-150万円(概算取得費)-50万円(譲渡費用)=2,800万円

②特例を適用した場合の税額

2,800万円の利益を全額控除できるため、税金はかかりません。

※空き家の3,000万円特別控除を適用するためには、確定申告が必要になります。

③空き家の特例を使わない場合

2,800万円×20.315%(長期譲渡所得)=税額合計:5,688,200円

このように相続不動産の売却は特例の効果が非常に大きいため、ご自身のケースで利用できる制度がないか、早めに確認しておきましょう。

【シミュレーション②:相続税の取得費加算の特例】

続いて、「相続税の取得費加算の特例」のシミュレーションもみてみましょう。

空き家の特例の適用が難しい場合でも、相続税を納めていれば、こちらの制度を利用して税負担を抑えられる可能性があります。

相続人の取得費2,000万円
譲渡費用200万円(仲介手数料・印紙代など)
売却価格4,000万円
利用特例相続税の取得費加算の特例
所有期間10年(5年超のため長期譲渡所得税率を適用/親の所有期間を引き継ぐ)
税率20.315%(長期譲渡所得)

(※)取得費に加算できる金額の計算式:

自身が支払った相続税総額600万円 ×(売却した土地の相続税評価額3,000万円 / 自身が相続した財産の総額6,000万円)= 300万円

①譲渡所得の計算

4,000万円-(2,000万円+300万円)-200万円=1,500万円

②特例を適用した場合の税額

1,500万円×20.315%=税額合計:3,047,200円

取得費加算の特例を適用するためには、確定申告が必要になります。また、本特例は相続開始のあった日の翌日から起算して3年10か月以内に不動産を売却(譲渡)した場合にのみ適用可能です。

③取得費加算の特例を使わない場合

特例を使わなかった場合の譲渡所得は1,800万円となります。

1,800万円×20.315%=税額合計:3,656,700円

このように、支払った相続税の一部を経費(取得費)として計上することで、今回のケースでは約61万円(60万9,500円)もの節税につながりました。

不動産を相続した際は、どの特例を適用するのがご自身にとって一番メリットがあるのか、複数の制度を比較しながら慎重に検討することが大切です。

親の不動産を代わりに売る場合と、贈与された不動産の税金ルール

高齢の親に代わって実家を売却する場合や、生前贈与された不動産を売却する場合には、名義や資金の移動にともなう税金ルールに注意が必要です。

・親の不動産を代わりに売却する場合

不動産の売買契約は名義人である親本人が行うのが原則です。ただし、認知症などで意思能力がないと判断されると売却できない場合があるため、その際は成年後見制度の利用などを検討する必要があります。

また、売却代金は親の財産になるため、お金を子供の口座へ移してしまうと贈与税の対象となる可能性があります。資金管理には十分注意しましょう。

・贈与を受けた不動産を売却する場合

親などから生前贈与で譲り受けた不動産を売却する際、税金計算のベースとなる「所有期間」や「取得費(過去の購入価格)」は、親が所有していた当時のものをそのまま引き継ぎます。

贈与されてすぐに売却した場合でも、親が長く所有していれば「長期譲渡所得」として扱われます。

離婚にともなう財産分与や共同持分の分割売却にかかる税金

離婚時に夫婦で協力して築いた財産を分ける「財産分与」において、不動産の取り扱いには特有の税金ルールがあります。

・不動産を相手に渡す場合(財産分与)

財産分与として不動産を相手に渡す場合、渡した時点の時価で譲渡(売却)したとみなされます。

購入時よりも不動産の価値が上がっている場合、渡した側に譲渡所得税が課されることがあるため注意が必要です。

なお、この時に「マイホームの3,000万円特別控除」を利用して税金を抑えたい場合、婚姻関係中(離婚前)に譲渡してしまうと配偶者間の取引となり、特例が使えなくなります。

必ず離婚が成立した後に財産分与として不動産を譲渡するよう、タイミングに注意しましょう。

参考記事:【専門家監修】離婚時の不動産売却で後悔しない進め方|財産分与・ローン・税金まで解説

・夫婦の共同名義(ペアローンなど)の不動産を売却する場合

 夫婦それぞれの共有持分で登記されている不動産を売却した際は、売却代金を持分比率に応じて分け合います。税金の計算や確定申告も、それぞれの持分に応じて別々に行う必要があります。 利益が出た場合は、夫婦双方が建物の共有持分を持っており、かつそれぞれが要件を満たしていれば、各自で「3,000万円特別控除」を利用できる可能性があります。

住宅ローンが残っている場合の売却と抵当権付き物件の注意点

住宅ローンを返済中の不動産を売却するためには、金融機関の「抵当権」を抹消する必要があります。抵当権を抹消するには、物件を引き渡す日までに住宅ローンを全額一括返済することが条件となります。

・アンダーローンの場合

売却価格がローン残高を上回っている場合は、売却代金を使ってローンを完済できるため、比較的スムーズに手続きを進めることができます。

・オーバーローンの場合

売却価格がローン残高を下回っている場合、売却代金だけではローンを完済できません。不足分は手持ちの自己資金から支払う必要があります。 自己資金での補填が難しい場合は、住み替えローンを利用したり、金融機関と相談して任意売却を検討したりと、早めの対策が大切になります。

また、売却して損失が出た場合には、一定の要件を満たせば「譲渡損失の損益通算・繰越控除」という税金を抑えられる特例を利用できるケースもあります。ローンが残っている家の売却をご検討の際は、手取り額やローンの完済方法について、信頼できる不動産会社へ相談しながら進めると安心です。

【税金】不動産売却後の確定申告の手続きと注意点

不動産を売却したあとの手続きとして、忘れてはならないのが確定申告です。

ここでは、確定申告の手続きに関する注意点を解説します。

税金がかからないケースでも確定申告が必要な理由

特例を利用して税額が0円になる場合、「確定申告は不要」と勘違いされるケースも少なくありません。しかし、実際には税金がかからない場合であっても、確定申告の手続きが必要です。

不動産売却における「3,000万円特別控除」や「長期譲渡所得の軽減税率の特例」などの優遇措置は、「確定申告書を提出すること」が適用の要件となっているためです。

これらの特例は、原則として期限(売却した翌年の2月16日〜3月15日)内に申告することがルールです。万が一遅れてしまった場合でも救済されるケースはありますが、手続きが煩雑になるだけでなく、万が一の書類不備などで特例が否認された場合には、本来の税額に対して重いペナルティが科されるリスクがあります。余計なトラブルを避けるためにも、必ず期限内に申告を行うよう心掛けましょう。

売却でマイナス(損失)が出た場合の国民健康保険料への影響と減税

不動産を売却して損失(赤字)が出た場合、原則として確定申告の義務はありません。

しかし、確定申告を行うことで税金や保険料の負担を抑えられる可能性があります。

マイホームの売却で一定の条件を満たすと、「譲渡損失の損益通算」などの特例を利用できる場合があります。これは、不動産売却で出た赤字を、給与所得など他の所得から差し引くことができる制度です。

損益通算を行うと、次のようなメリットが期待できます。

国民健康保険料への影響(軽減)

自営業の方や退職された方などが加入する「国民健康保険」の保険料は、前年の所得金額をベースに算出されます。そのため、損益通算によって全体の所得が下がれば、翌年の保険料が安くなるという好影響(軽減)を受けることができます
(※会社の健康保険に加入している会社員の方は、所得が下がっても保険料は変わりません)。

所得税・住民税の軽減(減税)

給与などから引かれていた所得税が還付され、翌年の住民税も安くなる可能性があります。引ききれなかった損失は、最長3年間にわたって翌年以降の所得から差し引くことも可能です。

利益が出たときの特例とは異なり、この「マイナス(損失)が出たときの損益通算の特例」は、法律上、その年の一番最初の申告で適用することが条件となっています。
期限(3月15日)を過ぎてしまっても、それが「初めての確定申告」であれば救済されますが、もし期限前に別の理由(給料や医療費控除など)で先に確定申告を済ませてしまっていると、後から修正してこの特例を追加することは一切できません。

損失が出た場合でも、利用できる制度がないか早急に確認し、忘れずに期限内の確定申告を行うことが極めて大切です。

不動産売却の税金に関するよくある質問

Q1. 不動産売却の税金は分割して支払うことはできる?

A. 所得税は条件付きで2分割(延納)、住民税は4分割(または給与天引きの12分割)での支払いが可能です。
不動産を売却した翌年にかかる税金(譲渡所得税・住民税)は、一時にかかるため高額になりがちです。一括での支払いが厳しい場合、税金の種類ごとに以下の分割方法を選択できます。

所得税(国税)の「延納制度」

確定申告の納付期限(通常3月15日)までに、納めるべき税額の2分の1以上をまず納付すれば、残りの金額の支払いを5月31日まで引き延ばす(延納する)ことができます。ただし、引き延ばした期間(3月16日〜5月31日)に対しては、利子税が日割りで発生するため、資金に余裕があるなら一括払いが無難です。

住民税(地方税)の分割払い

住民税(普通徴収)は、6月に届く納付書を使って一括で支払うこともできますが、標準で年4回(6月・8月・10月・翌年1月)の分割払いが用意されています。また、会社員の方などで給与から天引きする「特別徴収」を選んだ場合は、6月から翌年5月までの12回分割で毎月の給与から差し引かれます。
売却代金をすべて住み替え先への充当やローン返済に使い切ってしまうと、翌年の税金支払いが苦しくなる可能性があります。
必ず納税分をあらかじめ別の口座に残しておきましょう。

Q2. 税金の計算に迷ったら、国税庁のどこに相談すればいい?

A. 国税庁には「ネット(タックスアンサー)」「電話(専用ダイヤル)」「対面(面接相談)」の3つの無料窓口があります。
不動産の税務処理は複雑なため、ご自身の判断だけで進めるのが不安なときは、以下の公式窓口を活用すると良いでしょう。
ネットで手軽に調べる:タックスアンサー

国税庁のウェブサイトにある「タックスアンサー(よくある税の質問)」では、不動産売却(譲渡所得)に関する基本ルールや特例の要件が網羅されています。24時間いつでもスマホやパソコンから確認できます。

参考:タックスアンサー(よくある税の質問)|国税庁

電話で個別に質問する:国税相談専用ダイヤル

全国共通の電話番号「0570-00-5901」へ連絡しましょう。国税局の電話相談センターにつながり、専任の税務相談官に匿名・無料で直接質問ができます。

書類を見せて直接話す:税務署での面接相談

相続などで事実関係や書類が複雑な場合は、所轄の税務署で対面による「面接相談」を受けられます。ただし、完全予約制のため、事前に税務署へ電話して予約を行ってください。

Q3. 高齢の親が名義になっている実家を売る場合、税金や手続きで注意することは?

A. 親の判断能力(認知症リスク)と、売却後の贈与税リスクの2点に注意しましょう。
実家の名義が高齢の親になっている場合、老人ホームの入所資金作りなどを目的に、子供が売却手続きを代行するケースが増えています。不動産を売却する際には以下の2点に注意が必要です。

親の判断能力(認知症リスク)

不動産の売却契約を結べるのは、原則として名義人本人だけです。もし親が認知症などで判断能力(意思能力)を失っている場合、実の子供であっても勝手に実家を売却することはできません。

契約自体が法律上無効となるため、事態が深刻化する前に「成年後見制度」を活用するなどの事前対策が必須となります。
※成年後見人が本人の「実家(居住用不動産)」を売却する際は、家庭裁判所の許可が必要となるため、手続きには一定の期間がかかります。

生前贈与とみなされるリスク(贈与税リスク)

無事に実家が売却できたとしても、売却代金はあくまで名義人である親のものです。そのお金を子供の口座へ一括で移したり、子供の新居購入資金に充てたりすると、税務署から「生前贈与」とみなされ、高額な贈与税を課されるリスクがあります。
なお、親が過去に購入した実家であれば、所有期間や当時の購入価格(取得費)は子供に相続・贈与されるまで親のデータがそのまま引き継がれます。

Q4. 売却と購入を同時に進める住み替えでは、税金や費用はいつ発生する?

A. 仲介手数料は「契約時と引き渡し時に半分ずつ」、印紙税は「それぞれの契約時」に全額発生します。
現在の家を売って、同時に新しい家を買う「住み替え(買い替え)」では、いつ、いくらの現金が必要になるかのスケジュールを把握しておく必要があります。

諸費用の発生タイミング

売却と購入の両方で発生する仲介手数料は、一般的に「売買契約を結んだときに半分」、「物件の引き渡し(決済)を完了したときに残り半分」という形で分割して支払います。一方、契約書に貼付する印紙税は、売却・購入それぞれの売買契約締結時にその全額を支払う(納付する)必要があります。

売却の契約時に相手方(買い主)から受け取る手付金をこれらの費用に充当できる場合もありますが、取引のスタート時点(契約時)からまとまった手持ち現金が必要になる可能性があるため、事前の資金準備が大切です。

代金決済のスケジュール

今の家の売却代金を、次の家の購入頭金やローンの初期費用に充てる場合、「売却の引き渡し日(お金を受け取る日)」を「購入の引き渡し日(お金を支払う日)」と同日、あるいはそれよりも先に設定しなければなりません。

もし、購入の支払いが先になってしまうと、売却代金が入るまでの数週間〜数か月間、一時的に数百万〜数千万円の資金をつなぎ融資や買い替えローンなどで調達しなければならず、余計な金利や手数料が発生してしまいます。

不動産売却の税金に関するご相談はウスイホームへ

不動産売却にかかる税金は、売却価格や所有期間、利用できる特例の有無などによって金額が大きく異なります。そのため、自己判断だけで進めると不安が残りやすいものです。

ウスイホームでは、不動産売却に伴う税金に関する疑問や不安も含めて、専門知識を持つスタッフが丁寧にサポートいたします。控除や特例の適用可否なども踏まえて最適な売却方法をご提案いたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

▼横須賀・湘南・横浜エリアで不動産売却や税金についてのご相談はこちら▼
神奈川の不動産(マンション・アパート・事務所・一戸建て・土地)売却 | ウスイホーム

失敗しない不動産売却のために、税金対策をしっかり準備しよう

不動産売却は人生の大きなイベントの1つであり、税金に関する知識を持たないまま進めると、思わぬ損をしてしまいかねません。譲渡所得の計算方法や、活用できる控除や特例を理解することは不可欠です。

売却を検討する段階から税金の知識を整理し、事前に対策を立てておくことで、余計な出費を抑えながら安心して手続きを進められます。正しい情報を基に、計画的に不動産売却を実現しましょう。

監修者 海沼 仁(カイヌマ ヒロシ)
ウスイホーム株式会社 代表取締役社長

【経歴】
大学時代は不動産評価論を専攻。
卒業後、1997年にウスイホーム株式会社入社。売買仲介部門の新人賞を受賞。
2001年、新店の上大岡店店長に就任。以降、各店店長を歴任。特に新店舗の立ち上げを得意とし、後にエリアマネージャーに抜擢される。
2012年より取締役に就任。主に横浜、湘南エリアでの商圏拡大に尽力している。
2021年には創業45周年を機に、SDGs推進に取り組む「ウスイグループSDGs宣言」を制定。地域貢献活動にも力を入れている。
2025年4月、ウスイホーム株式会社代表取締役社長に就任。

地域密着型営業で築き上げてきた不動産業界のキャリアと実績から、顧客の信頼も厚く、幅広い人脈を持つ。著名人・有名人からの相談や紹介も多い。

【資格】
宅地建物取引士
CPM(米国不動産経営管理士)
日本RSP協会 不動産仲介士 試験問題監修委員
執筆者 ウスイホーム株式会社 広報チーム
1976年に神奈川県で創業。お客様と地域の発展のため、横浜・湘南・横須賀エリアで不動産売却のお手伝いをさせて頂いております。長年にわたり蓄積してきた知見を活かし、不動産売却を検討する際に役立つ情報を発信しています。
お問い合わせURL https://www.usui-home.com/contact

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