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【専門家監修】不動産売却にかかる税金とは?種類・計算方法・節税対策をわかりやすく解説

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不動産を売却すると、譲渡によって利益が出た場合に「譲渡所得税」などの税金が発生します。しかし、その金額や課税のタイミング、計算方法は物件の種類や所有期間などの条件によって大きく異なります。

本記事では、不動産売却時にかかる税金の種類や計算方法、控除や特例による節税のポイントまでをわかりやすく解説します。基礎知識をしっかり押さえ、損をしない売却を実現しましょう。

不動産の売却に必要な税金とは?

不動産を売却する際には、複数の税金が関わってきます。ここでは代表的な4つの税金について、その内容や計算方法、課税のタイミングなどを詳しく解説します。

譲渡所得税(所得税・住民税)

不動産売却で利益が出た場合に課されるのが「譲渡所得税」です。これは、譲渡によって得た所得に対して課税されるもので、所得税と住民税で構成されています。

税率は「所有期間」によって大きく異なり、5年以下なら「短期譲渡」、5年を超えると「長期譲渡」と区分され、税負担に差が出ます。

所有期間所得税住民税合計税率(概算)
5年以下(短期譲渡)30%9%39%
5年超(長期譲渡)15%5%20%

※実際には、これらの税率に加えて「復興特別所得税(所得税額の2.1%)」が別途加算されます。詳細は後述します。

たとえば、同じ1,000万円の譲渡所得があっても、短期と長期で2倍近い税負担の差が生じることがあります。売却するタイミングによって税額が大きく変わるため、事前に所有期間を確認しておきましょう。

復興特別所得税

復興特別所得税は、2011年の東日本大震災の復興財源として創設された税金で、2037年までの期間限定で課されます。

この税金は、所得税に上乗せされる形で徴収され、税額の2.1%が追加されます。たとえば、長期譲渡所得の所得税率が15%の場合、復興特別所得税として15%の2.1%(=0.315%)が加算され、合計で15.315%になります。

譲渡所得税を計算する際には、この復興特別所得税も含めて合算する必要がありますので、見落とさないように注意が必要です。

登録免許税

登録免許税は、不動産の登記に関わる税金です。売却により所有者が変わる際に、新しい所有者名義に変更する手続きが必要で、その際に登録免許税が課されます。

この税額は、不動産の固定資産評価額に一定の税率(原則2.0%など)をかけて算出されます。評価額が高いほど税額も高くなりますが、条件によっては軽減措置が適用されるケースもあります。

売主側が登記変更に関わる費用を負担することは少ないものの、相続登記や離婚に伴う財産分与などで売主が登記を行う必要がある場合は、登録免許税の負担が発生することがあります。

印紙税

印紙税は、不動産売買契約書などの「課税文書」を作成する際に課される税金です。不動産売買においては、売買契約書に貼付する収入印紙によって納税します。

印紙税の金額は契約金額に応じて異なり、たとえば1,000万円超〜5,000万円以下の不動産を売買する場合、印紙税額は1万円(軽減措置適用時)となります。なお、電子契約で契約書を交わした場合は、印紙税が非課税となるのが大きなメリットです。

通常は買主・売主のいずれかが印紙を貼り付けますが、契約の性質上、買主側が負担するケースが多いです。事前に取り決めをしておくことで、トラブルを防ぐことができます。

不動産売却時の税金シミュレーション

不動産を売却する際の税額は、譲渡所得の金額と所有期間によって大きく変動します。ここでは、課税対象となる譲渡所得の計算方法や、具体的なシミュレーション事例などを紹介します。

課税譲渡所得の求め方(譲渡価格・取得費・譲渡費用)

不動産売却で発生する税金は、「譲渡所得」に対して課税されます。譲渡所得とは、売却価格から「取得費」と「譲渡費用」を差し引いた金額です。具体的には、以下のように計算されます。

譲渡所得=売却価格−(取得費+譲渡費用)

取得費には、不動産の購入代金や仲介手数料、登録免許税などが含まれますが、建物の場合は減価償却による控除が必要です。

一方、譲渡費用には、売却時の仲介手数料や測量費、広告費などが該当します。もし取得費が不明な場合には、売却価格の5%を取得費とする「概算取得費」で計算することも可能です。これは特に相続などで取得金額がわからないケースでよく使われますが、結果として課税所得が多くなりやすい点には注意が必要です。

短期・長期譲渡の判定ルールと注意点

短期譲渡か長期譲渡かの判定は、売却した年の1月1日時点での所有期間によって決まります。たとえば、2020年2月に購入した物件を2025年12月に売却した場合、1月1日時点で5年を経過していなければ「短期譲渡所得」扱いとなり、税率が高くなります。

このように、年をまたいで数か月待つだけで税率が半分近くに下がるケースもあるため、売却時期の調整は非常に重要です。特に年末に売却を検討している方は、事前に所有期間と課税区分を必ず確認しましょう。

所有期間ごとの税金シミュレーション事例

不動産の売却益に対する税金は、所有期間に応じて大きく変動します。ここでは、譲渡所得が500万円だった場合を想定し、短期譲渡所得(5年以下)と長期譲渡所得(5年超)での税額の違いを具体的に比較してみましょう。

【ケース1】短期譲渡所得(所有期間5年以下)

所得税:500万円×30.00%=150万円
住民税:500万円×9.00%=45万円
復興特別所得税:150万円×2.1%=31,500円
合計:1,981,500円

【ケース2】長期譲渡所得(所有期間5年超)

所得税:500万円×15.00%=75万円
住民税:500万円×5.00%=25万円
復興特別所得税:75万円×2.1%=15,750円
合計:1,015,750円

このように、所有期間の違いだけで約97万円もの税額差が生じます。節税のためには、事前の計画と売却タイミングの見極めが重要です。

不動産売却時に活用できる節税方法

不動産の売却に伴い発生する税金には、控除や特例などの節税策がいくつか用意されています。条件を満たせば、税額を大幅に軽減できる可能性があるため、事前に制度の内容を理解し、適用可否を確認しておきましょう。

居住用財産の3,000万円特別控除

居住用不動産を売却した際に活用できる「3,000万円特別控除」は、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度です。売却益が3,000万円以内であれば、実質的に税金がかからないケースもあります。

この制度を適用するには、以下の条件をすべて満たす必要があります。

  • 売却した不動産が、本人または配偶者・家族が実際に居住していた「居住用財産」であること
  • 売却の相手が、配偶者・親・子などの「特別な関係者」でないこと
  • 譲渡の年の翌年に「確定申告」を行うこと(申告しなければ控除は適用されない)

また、この控除は他の特例と併用できない場合もあるため、事前に適用関係を確認することが重要です。マイホームの売却時に最も使われている制度の1つであり、適用できれば大きな節税効果が期待できます。

相続不動産に適用できる取得費加算の特例

相続で取得した不動産を売却する場合に利用できるのが「取得費加算の特例」です。相続税の一部を不動産の取得費に加算でき、結果として譲渡所得を圧縮し、課税額を抑えられる仕組みです。

この制度の概要と条件は以下の通りです。

  • 相続税を実際に納付していることが前提となる
  • 不動産の売却が「相続税の申告期限(相続開始から10か月以内)」の翌日から3年以内に行われていること
  • 加算できる金額は、納付した相続税額や相続財産の割合に応じて決まる
  • 取得費を増やせるため、課税譲渡所得を小さくできる効果がある

特例を利用することで税負担を大きく軽減できる可能性があるため、相続後に不動産を売却する予定がある方は、早めに検討しておくことをおすすめします。

買換え特例による課税繰延べ制度

「買換え特例」は、一定の条件を満たした場合に、不動産売却で発生した譲渡所得への課税を将来に繰り延べできる制度です。主に自宅を売却して新しい住まいに買い替えるケースで利用されます。

制度のポイントは以下の通りです。

  • 課税が「免除」されるのではなく「将来に繰り延べ」される制度
  • 新しく取得する不動産の用途や床面積、取得時期、価格などに厳密な条件がある
  • 売却した不動産の所有期間が10年以上であることなど、利用にあたっての要件が多い
  • 将来的に新しい不動産を売却する際に、繰り延べた課税が再び発生する
  • 条件に合わなければ特例は適用されないため、事前に専門家に確認することが重要

長期的な税負担を考えると必ずしも有利になるとは限らないため、制度を利用する際には売却後のライフプランも含めて判断することが求められます。

不動産売却の税金はいつ払う?

不動産売却で利益が出た場合、その税金は確定申告を通じて納める必要があります。申告や納付の時期を誤ると延滞税などのペナルティが発生するため、流れを正しく理解しておきましょう。

確定申告が必要なケースとは

不動産売却で譲渡所得が発生した場合、原則として確定申告を行わなければなりません。たとえ給与所得者で年末調整を受けている場合でも、不動産売却に伴う所得は別途申告が必要です。

また、税額が軽減される特例を利用する際も、確定申告をしてはじめて控除や特例が適用されます。申告を怠れば、制度を利用できずに余分な税負担が生じることになります。

具体的に確定申告が必要となるのは以下のようなケースです。

  • 不動産売却で利益(譲渡所得)が出た場合
  • 居住用財産の3,000万円特別控除などの特例を利用する場合
  • 損失が出て繰越控除を活用したい場合

つまり、税金を減らしたい場合も含め、多くの売却ケースで申告が必要になる点に注意しましょう。

税金を納付するタイミング

不動産売却に伴う税金の納付は、売却した翌年の3月15日までに行います。確定申告の提出期限と同じ日であり、申告書の提出と同時に納税する流れになります。

納付が遅れると、本来の税額に加えて延滞税や加算税が課される可能性があり、思わぬ負担が生じることになります。そのため、納付期限を守ることが重要です。

納税資金は売却代金の中から準備するのが一般的ですが、住宅ローンの残債返済や仲介手数料などの支出が重なることも多いため、余裕を持った資金計画を立てる必要があります。売却後は早めに税額の目安を把握し、納付に備えましょう。

不動産売却で税金がかからないケースとは?

不動産を売却した場合でも、必ずしも税金が発生するわけではありません。譲渡所得の有無や取引の性質、特例の活用状況によっては課税されないケースもあります。ここでは代表的な3つのケースを紹介します。

譲渡益が出ない(損益ゼロ・赤字)ケース

不動産を売却したとき、譲渡価格が取得費や売却にかかった諸費用を下回った場合、譲渡所得はゼロもしくはマイナスとなります。この場合には課税されません。

たとえば、購入時より売却価格が安い場合や、仲介手数料や登記費用などの諸経費を差し引くことで赤字になった場合が該当します。赤字、つまり譲渡損失が発生した場合には、給与所得や他の不動産所得と損益通算ができる可能性があります。

ただし、損益通算や繰越控除を活用するためには確定申告が必須です。単に譲渡益が出ていない場合は課税されませんが、損失を有効に活かすなら確定申告を忘れないようにしましょう。

相続や贈与に該当する非課税取引のケース

不動産の所有権が移転しても、それが売買ではなく相続や贈与によるものであれば、譲渡所得税は発生しません。これは、相続や贈与は「対価を得ていない」ため、所得とみなされないからです。

ただし、譲渡所得税はかからなくても、別の税制が適用されます。具体的には、相続の場合は相続税、贈与の場合は贈与税が課される可能性があります。たとえば、親から子へ不動産を贈与するケースでは、時価評価額に基づき贈与税が発生します。

つまり、相続や贈与は譲渡税制とは別枠で課税が行われるため、「譲渡所得税がかからない=税金が一切不要」というわけではありません。税負担の有無を正しく理解することが大切です。

特例適用によって課税されない自宅売却のケース

自宅を売却する際に「居住用財産の3,000万円特別控除」などの特例を利用できれば、譲渡所得が発生しても結果的に課税がゼロになるケースがあります。たとえば、譲渡益が2,500万円であれば、この控除を使うことで全額控除され、課税対象額はゼロになります。

ただし、特例の適用には要件があります。居住実態があること、売却先が親子や配偶者などの特別関係者でないこと、確定申告を行うことなどが必須条件です。申告を忘れると特例は受けられません。

このように、適用条件を満たしたうえで正しく手続きを行えば、課税を免れることが可能です。売却前に特例の有無を確認しておくことが、無駄な税負担を避けるポイントとなります。

不動産売却の税金に関するご相談はウスイホームへ

不動産売却にかかる税金は、売却価格や所有期間、利用できる特例の有無などによって金額が大きく異なります。そのため、自己判断だけで進めると不安が残りやすいものです。

ウスイホームでは、不動産売却に伴う税金に関する疑問や不安も含めて、専門知識を持つスタッフが丁寧にサポートいたします。控除や特例の適用可否なども踏まえて最適な売却方法をご提案いたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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失敗しない不動産売却のために、税金対策をしっかり準備しよう

不動産売却は人生の大きなイベントの1つであり、税金に関する知識を持たないまま進めると、思わぬ損をしてしまいかねません。譲渡所得の計算方法や、活用できる控除や特例を理解することは不可欠です。

売却を検討する段階から税金の知識を整理し、事前に対策を立てておくことで、余計な出費を抑えながら安心して手続きを進められます。正しい情報を基に、計画的に不動産売却を実現しましょう。

監修者 海沼 仁(カイヌマ ヒロシ)
ウスイホーム株式会社 代表取締役社長

【経歴】
大学時代は不動産評価論を専攻。
卒業後、1997年にウスイホーム株式会社入社。売買仲介部門の新人賞を受賞。
2001年、新店の上大岡店店長に就任。以降、各店店長を歴任。特に新店舗の立ち上げを得意とし、後にエリアマネージャーに抜擢される。
2012年より取締役に就任。主に横浜、湘南エリアでの商圏拡大に尽力している。
2021年には創業45周年を機に、SDGs推進に取り組む「ウスイグループSDGs宣言」を制定。地域貢献活動にも力を入れている。
2025年4月、ウスイホーム株式会社代表取締役社長に就任。

地域密着型営業で築き上げてきた不動産業界のキャリアと実績から、顧客の信頼も厚く、幅広い人脈を持つ。著名人・有名人からの相談や紹介も多い。

【資格】
宅地建物取引士
CPM(米国不動産経営管理士)
日本RSP協会 不動産仲介士 試験問題監修委員
執筆者 ウスイホーム株式会社 広報チーム
1976年に神奈川県で創業。お客様と地域の発展のため、横浜・湘南・横須賀エリアで不動産売却のお手伝いをさせて頂いております。長年にわたり蓄積してきた知見を活かし、不動産売却を検討する際に役立つ情報を発信しています。
お問い合わせURL https://www.usui-home.com/contact