投資用不動産の売却を検討している場合は、その物件の現在の状況や市場の動き、季節要因などさまざまなことが気になるのではないでしょうか。
売却のタイミング次第で、得られる利益に大きな差が生じてくるため、売却に向いたタイミングを把握することが重要です。
しかし、いつ売却すれば最大の利益を得られるのかの判断は素人には難しいものです。そこで今回は、投資用不動産を高く売るためのタイミングや流れ、考えておくべき売却にかかる費用や税金について解説します。
投資用不動産の売却時期の検討に、ぜひお役立てください。
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目次
【2026年最新】不動産の取引価格は上昇傾向

出典:国土交通省:不動産価格指数の最新確定値(2025年10月・季節調整値)
国土交通省が公表している「不動産価格指数」の最新確定値(2025年10月分・季節調整値)を見ると、不動産市場は依然として上昇トレンドにあることが分かります。
特にマンション指数の上昇は突出しており、2013年頃と比較しても約2倍近い水準で推移しています。一方で、戸建住宅や住宅地に関しては、マンションに比べると緩やかな動きにとどまっているものの上昇傾向です。
しかし、今後の見通しについては慎重な判断が求められます。大きな転換点となりそうなのが、2025年12月に日本銀行が実施した政策金利の引き上げ(0.25%幅)です。
これに伴い、2026年は住宅ローン金利(特に変動金利)の上昇が本格化し、買主の借入能力が低下することで、不動産価格への下押し圧力が強まると予測されています。
価格が下落トレンドに入ってから売り急ぐのではなく、まだ高値で売却できる今のうちに利益を確定させるのも一つの選択肢と言えるでしょう。
【神奈川県の不動産取引価格】新築は高騰続くも、中古市場は下落へ

「首都圏不動産流通市場の動向」(公益財団法人東日本不動産流通機構)をもとにウスイホーム広報チーム作成
全体では上昇傾向にありますが、神奈川県の過去数年の取引データを見ると、新築と中古で市場の動きが明確に分かれ始めています。
【神奈川県 不動産取引価格(成約価格)の推移】 (単位:万円)
| 物件種別 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年 |
| 新築戸建て | 3,539 | 3,871 | 4,103 | 4,037 | 4,296 | 4,608 |
| 中古戸建て | 3,260 | 3,568 | 3,883 | 4,101 | 4,102 | 3,937 |
| 中古マンション | 3,003 | 3,209 | 3,477 | 3,711 | 3,897 | 3,832 |
| 土地 | 2,572 | 2,663 | 3,072 | 3,212 | 3,328 | 3,346 |
出典:「首都圏不動産流通市場の動向」(公益財団法人東日本不動産流通機構)
まず新築戸建てに関しては、資材価格や人件費の高騰を背景に右肩上がりが続いており、2024年の4,296万円から2025年には4,608万円へと急伸しています。
一方で、投資家や売却検討者が注視すべきなのは中古市場の動きです。
中古戸建て・中古マンションともに、2024年を天井に価格が下落に転じました。
中古戸建ては、2024年に4,102万円の高値を記録しましたが、2025年には3,937万円へと下落し、再び4,000万円台を割り込んでいます。
中古マンションも同様に、3,897万円(2024年)から3,832万円(2025年)へと微減しており、中古物件相場に関してはこれまで以上の上昇が期待できるかは不透明です。
2026年以降は売出価格を慎重に見極めなければ、売れ残るリスクが高いと言えます。
投資用不動産を売却する主なメリット

投資用不動産の売却は、単なる資産の処分や撤退ではありません。将来のリスクを回避し、次のステージへと進むための前向きな決断です。ここでは、売却によって得られる具体的なメリットについて解説します。
まとまった現金を確保できる
不動産は資産価値が高い反面、そのままでは日々の支払いや買い物に使うことができません。売却の最大のメリットは、この「流動性の低い資産」を「使い勝手の良い現金」に換えられることです。
まとまった資金を手元に確保することで、子どもの教育資金や自宅のリフォーム費用、あるいは老後のゆとりある生活資金など、ライフイベントに合わせた柔軟な支出が可能になります。
管理の手間や精神的ストレスから解放される
投資用不動産のオーナーにとっては、管理業務は大きな負担になりえます。入居者からのクレーム対応、家賃滞納の督促、共有部分の清掃手配など、その業務は多岐にわたり、精神的なストレスを感じている方も少なくありません。
物件を売却することで、こうした日々の管理業務や、「次はどんなトラブルが起きるだろうか」という不安から完全に解放されます。得られた時間を、趣味やご家族との時間に充てられることは、金銭以上の大きなメリットと言えます。
将来の高額な修繕費や維持コストを回避できる
建物は築年数が経過するにつれ、必ず大規模な修繕が必要になります。特に築10年から15年周期で訪れる外壁塗装や屋上防水、給排水管の交換などは、数百万円単位の費用がかかることも珍しくありません。
昨今の建築資材や人件費の高騰により、修繕コストは年々上昇傾向にあります。こうした高額な出費が発生する直前のタイミングで売却することは、将来のコスト負担を回避し、最終的な投資利益(手残り)を守るための合理的な判断となります。
相続時の遺産分割トラブルを未然に防げる
不動産は物理的に分割することが難しいため、相続時に誰が相続するかで揉める原因になりがちです。特に兄弟姉妹がいる場合、一つの物件を共有名義にしてしまうと、将来の売却や活用に際して全員の合意が必要となり、トラブルになる可能性もあります。
所有者が元気なうちに不動産を売却し、「現金」に変えておくことで、1円単位での公平な遺産分割が可能になります。残された家族のトラブルを防ぎ、円満な相続を実現できる点も売却のメリットの一つでしょう。
参考記事:相続した不動産をスムーズに売却!流れ・税金・注意点まで解説
投資用の不動産を売却する際のおすすめのタイミング7選

投資用不動産の売買は、利益を最大化することが成功といえます。できるだけ高い値段で売買するために、売却のタイミングを考える際にチェックしたい7つの項目をご紹介します。
金利が低い時期
長らく低金利が続いていますが、金利が低い時期は、不動産を売却する際の絶好のタイミングといえます。
金利が低いときは、物件を購入した際のローンの金利負担が少なくなるため、買主にとって買いやすい状況だからです。投資用不動産を購入する投資家にとっては、ローンの返済額が抑えられるため、購入意欲が高くなります。
物件の売却がスムーズに進む可能性が高く、多くの買主が検討する物件であれば、希望価格や高値での売却が期待できるでしょう。
また、今後金利の上昇が見込まれる場合には、本格的に上昇する前に売り抜けるという判断も重要です。
金利動向をしっかりと把握し、売り時を見極めることが大切です。
大きな修繕の前
大規模な修繕の前に物件を売却するのも、賢いタイミングといえます。修繕後の売却の方が、高く売れるのではと考えるかもしれません。しかし、大規模な修繕は高額になることが多く、外壁の塗装や屋根の修繕、設備の取り換えなど、数百万単位の支出が必要となる場合もあります。
物件が、大規模な修繕を必要とする時期が近い場合は、その費用を負担せずに物件を手放せば、コストを大幅に抑えることが可能です。
また、買主は、大規模修繕のタイミングを考えながら購入の判断をします。購入してすぐに修繕が必要な物件は、価格が下がるケースが多いため、早めに売却を進めることがポイントになります。
減価償却終了前
物件の減価償却が終了する前も、重要な売り時のタイミングです。
減価償却は、物件の取得価額を耐用年数で分割して経費として計上できる仕組みです。減価償却ができる物件は、節税ができる物件でもあります。しかし、建物の法定耐用年数が終了すると、減価償却ができなくなるため、経費として計上できなくなります。その結果、所得税や住民税の負担が増えてしまうのです。
減価償却が終了する前の物件は、節税効果が期待できるため、買主には魅力がある物件になります。
市場価格が上昇しているとき
不動産市場が活況で、価格が上昇している時期も、売却タイミングです。市場の需要が高まっていると、物件を購入したい人が増えるため、よい値段で売却できる可能性が高まります。
通常、家や不動産は年数が経過すると価値が下がりますが、市場全体の不動産価格の上昇時期であれば、購入時よりも高い値段で売れることもあります。市場が活況なうちに売り時を判断し、行動するのがポイントです。
保有期間が5年を超えたとき
不動産の保有期間が5年を超えると、譲渡所得税の税率が大幅に下がります。これは売買益が出たときに支払う税金の面から考えたときに、重要なポイントです。
具体的には、5年未満の保有期間では、譲渡所得に対して約39.63%の税率が適用されますが、5年を超えると税率は約20.315%になります。この税率の軽減により、売却時に利益が出たときの納税額が大きく変わります。そのため、保有期間が5年を超えたタイミングでの売却が有利です。
【参考】譲渡所得の計算の仕方
売買代金- ( 物件の取得費 + 譲渡費用) =課税譲渡所得金額
※不動産投資物件には基本的に特別控除は適用されない
売却時期を調整し、タイミングを見極めることで、節税効果を活かせます。
引っ越しシーズンの直前
引っ越しシーズン(2〜3月や7〜9月)は、賃貸物件の需要が高まる時期です。投資用不動産を購入して、賃貸に出したいと考える買主にとっては、物件購入に魅力的な時期といえます。この時期は、新生活のスタートや転勤などが重なるため、賃貸物件を探す人が増え、賃貸物件は埋まりやすくなるためです。
物件を売却する側も、この時期を見越して早めに売却活動を始めることで、スムーズな売却が期待できます。
地域の再開発が進んでいるとき
物件がある地域の再開発が進んでいるときは、投資用不動産売却の好機です。再開発によって商業施設や交通網が整備されると、通勤通学や生活の利便性が向上し、そのエリアの人気が高まります。
これに伴い家賃も上昇する傾向にあるため、投資用不動産を購入したいと考える買主が増え、その地域での物件の需要が高まるのです。再開発エリアで不動産を所有している場合、開発が始まる前よりも高い価格での売却が期待できます。
投資用の不動産の売却タイミングを見極めるコツ

まだ明確な売却時期が決まっておらず、「いつかは売りたい」と考えている方もいらっしゃるでしょう。資産価値の低下や売り時を逃すリスクを避けるため、「なぜ、いつごろ売却したいのか」を明確にして、売却タイミングになったらすぐに動きだせる準備をしておきましょう。
逃したくない売却のタイミング見極めるコツは以下のとおりです。
【資金が必要な時期】
資金が必要になる可能性がある場合、売却の準備を整えておくことで、タイミングに合わせてスムーズに売却を進められます。
【維持管理の負担が増えたとき】
修繕費や管理費が大きな負担になり始めた物件は、不動産会社に相談し早めに売却を検討しましょう。
【不動産市場が活況な時期を活かす】
市場が活況で、高値で取引できる時期は売却の好機です。売却しようと考えていない場合でも、一度検討してもいいかもしれません。最も高い利益を得られるかもしれない時期が、市場の活況なのです。
【ローン返済が進んだタイミング】
ローンの残高が減り、オーバーローンではなくなったときが、売却のタイミングです。利益を確保しやすくなります。
【物件種別】投資用不動産の売却戦略

「投資用不動産」と言っても、戸建て・一棟アパート・区分マンションでは、購入を検討するターゲット層も、価格の決まり方も異なります。ここでは、それぞれの物件タイプに合わせた具体的な売却戦略を解説します。
戸建て
①収益物件のまま売却
入居者がいる状態で、そのまま投資用物件(オーナーチェンジ)として売却する方法です。建物が古く法定耐用年数を超えていても、家賃収入がある限り収益価値は評価されるため、リフォーム前提の投資家や現金購入層をターゲットに売却が可能です。ただし、一般的な住宅ローンが利用できないため、マイホーム向けの相場よりは価格が低くなる傾向があります。また買主が限られてしまうため、成約まで時間がかかることは念頭に置いておきましょう。
②更地にして売却(※空き家の場合)
建物が老朽化して価値がない場合、解体して土地として売る方法です。新築用地や駐車場としての需要が見込めるため、買主の幅が広がります。ただし、入居者がいる状態での解体は、借地借家法による立ち退きのハードルが極めて高く、多額の費用と時間がかかるため、基本的には「すでに入居者が退去している場合」に優先して検討すべき選択肢です。
③自己居住用として売却
入居者が退去して空き家になった場合、投資用ではなく一般のマイホームとして売却する方法です。立地が良ければ、投資家の利回り計算よりも、実需層の相場価格の方が高くなるケースがあります。リフォームして住みたい層や、土地として探している層などターゲットが広がるため、投資用とマイホーム用の両面から査定を行い、より高く売れるルートを選ぶのが賢明です。
一棟アパート・マンション
①収益物件のまま売却
満室稼働により高い収益性をアピールし、次の投資家へ売却するパターンです。特に一棟アパートやマンションは銀行融資がつくかどうかが価格を左右するため、家賃明細表(レントロール)や修繕履歴を整備しておくことが高値売却の必須条件となります。また、外壁塗装などの大規模修繕が必要になる前のタイミングで売却し、将来のコスト負担を回避するのも有効な戦略です。
②更地として売却
老朽化が著しく修繕が困難な場合の選択肢ですが、売主個人が入居者全員を退去させて更地にするのは、資金的・精神的に非常に困難です。実務的には、建物がある状態(古家付き土地)として、開発業者や買取業者へ売却するのが一般的です。業者は立ち退きリスクを織り込んで価格を提示しますが、トラブルなく現金化する確実な方法と言えます。
区分マンション/ワンルームマンション
①収益物件のまま売却
都心のワンルームマンションなどは、主に投資用として売買されます。安定した賃貸需要があるため流動性は高いですが、管理費や修繕積立金の値上げが続いている物件は、実質利回りが低下するため売却価格に影響します。購入時のような「新築プレミアム」はないため、現在の相場利回りに基づいたシビアな価格設定が求められます。
②自己居住用として売却
ファミリータイプ(2LDKや3LDKなど)の場合、最も高く売れる可能性のある方法です。賃貸中のまま売ると利回りで評価され安くなりがちですが、空室にして居住用として売れば、周辺相場で取引されるため価格が跳ね上がることがあります。そのため、ファミリータイプであれば安易にオーナーチェンジで売らず、退去のタイミングを待ってから居住用に売り出すことも有効です。
投資用不動産売却の流れ

投資用不動産の売却は、戸建て売買と基本的な流れは似ています。まずは、不動産会社に相談し、物件価格を見積もってもらうことから始まりますが、賃貸需要や投資物件特有のポイントを考慮しましょう。
ここからは、投資用不動産の売却の流れを詳しく解説します。
1.不動産の相談と査定書の作成
不動産の売却を検討する際、まずは、不動産会社に物件の査定を依頼し物件の価格を見積もりしてもらいます。
査定では、現地調査を行い、どのくらいの価格で売却できるかを見積もってくれます。この査定は通常無料で行われます。査定の際には、権利書や本人確認書類、図面などの書類が必要になるため、事前に必要なものを確認して準備しましょう。
2.媒介契約の締結
不動産会社に売却の仲介を依頼する際には「媒介契約」を結びます。媒介契約には3種類あり、それぞれに特徴とメリットがあるため、その違いと選ぶ際のポイントを把握しておきましょう。
【専任媒介契約】
・契約した1社の不動産会社にのみ売却を依頼する際の契約だが、自分でも買い手を探せる
・不動産会社は、2週間に1回以上、売却活動の状況を報告する義務がある
ポイント:売却依頼を1社に絞り、集中的に活動してもらいたい場合に適している
【専属専任媒介契約】
・1社の不動産会社にのみ売却を依頼する契約で、自分では買い手を探せない
・不動産会社は、1週間に1度、売却活動の状況を報告する義務がある
ポイント:不動産会社に全面的に依頼し、自分では売却活動は行わない場合に適している
【一般媒介契約】
・複数の不動産会社に同時に売却を依頼できる契約で、自分でも買い手を探せる
・不動産会社からの報告義務はない
ポイント:自分でも積極的に買い手を探したい場合や複数社に依頼する場合に適している。売却活動は広範囲になるが、不動産会社は他社が売買してしまう可能性があるため、売買活動を熱心に行わない可能性がある
これらの中から自分に適した契約を選び、どの媒介契約を結ぶかを決めましょう。
参考記事:【プロ監修】不動産の売却方法を解説!高く、早く売るためのコツから注意点まで徹底網羅
3.売却活動の開始
媒介契約を締結したら、いよいよ売却活動の開始です。以下の流れで進んでいきます。
① 価格設定
不動産会社と相談し、市場の相場や物件の状態などを総合的に判断して販売価格を決めます。高ければよいというわけではなく、価格は売却スピードに影響するため、慎重な検討が必要です。
② 広告活動
不動産会社はレインズや自社のウェブサイト、不動産ポータルサイトを活用して物件を広く広告します。専任媒介契約または専属専任媒介契約の場合、レインズへの登録が義務付けられています。
③ 内覧対応
購入希望者が現れ、内覧の希望があれば、対応をします。スケジュールを調整して、案内しますが、事前に、物件をきれいに整えておきましょう。
④ 報告と見直し
専任媒介契約・専属専任媒介契約の場合、不動産会社は1週間に1度、売主に状況を報告する義務があります。売買活動状況や買主の反応を見ながら、必要に応じて価格や販売戦略の見直しを行います。
| レインズとは? レインズとは、国土交通大臣の指定を受けた不動産流通機構が運営しているサイトで、不動産業界全体で売主(物件)と買主(物件)を探すネットワークシステムです。 |
参考記事:【プロ監修】不動産の売却方法を解説!高く、早く売るためのコツから注意点まで徹底網羅
4.売買契約の決定・契約
買主が売買を決定すると、不動産会社経由で「購入申込書」が売主に渡されます。この時点では、正式の契約ではないため、まだキャンセルが生じる可能性があります。条件の交渉では、「値引き」や「引き渡し条件」などが含まれるため、売主は不動産会社と相談しながら調整し決定していきましょう。
売主と買主が条件に合意したら、売買契約を行い手付金が支払われます。
その後、双方立ち会いで行うのが「物件の最終確認」です。また、買主が住宅ローンを利用する場合は、この段階で本審査が行われます。万が一、ローンが通らない場合は「ローン特約」により、買主へのペナルティなしで契約がキャンセルになります。
5.残金決済・物件引き渡し
引き渡しは、通常、売買契約が締結された後1か月以内に行うのが通例です。
契約時に定めた日時に売主・買主・不動産会社の担当者、金融機関の担当者、司法書士が集まり、決済と同時に引き渡しが行われます。
引き渡し当日には、買主から手付金を除いた残金が売主に支払われます。入金が確認できたら、所有権移転の手続きを司法書士が進め、物件の鍵が買主に渡され引き渡しの完了です。
6.賃貸人の地位継承通知(賃貸人変更通知書)
賃貸物件で、入居者がいる状態で売買を行った場合は、入居者に物件の所有者が変わったことを通知しなくてはなりません。
この通知は「賃貸人変更通知書」といい、新所有者(買主)と旧所有者(売主)の連名で入居者に送ります。
この通知を送ることで、賃貸契約はそのまま引き継がれ、入居者は引き続き住めます。
家賃の振込み先や契約条件に変更がある場合もこのタイミングで通知するとよいでしょう。
参考記事:【図解】不動産売却の流れとポイント|査定調査~売却まで
7.確定申告
売却が完了した翌年の2月16日から3月15日の間に、確定申告を行います。
売却によって利益(譲渡所得)が出た場合は、その利益に対して所得税と住民税が課税されるため、必ず申告と納税をしなければなりません。
売却して損失(赤字)が出た場合、原則として税金の還付はありませんが、同年に他の不動産譲渡益がある場合は通算が可能です。
詳細な計算が必要になるほか、申告手続きも複雑になることが多いため、税理士に相談するなど早めに準備を進めておきましょう。
参考記事:【図解】不動産売却の流れを7ステップで解説!査定依頼から確定申告、期間まで紹介
投資用不動産の売却に必要な費用や税金について

投資用不動産を売却する際には、諸費用や税金がかかります。主なものをあげておきましょう。
・仲介手数料:不動産会社に支払う手数料
・印紙税:売買契約書に貼付する印紙代
・抵当権抹消費用:抵当権が設定されている場合の抹消手続きにかかる費用(抵当権がない場合は不要)
・譲渡所得税:売却益に課税される税金
・消費税:建物部分に対して課税されるが、土地は非課税
これらの金額を事前に把握しておくことが大切です。
仲介手数料
不動産会社の仲介によって売買契約が成立した際に支払う成功報酬です。売却活動にかかった広告費や営業活動への対価として支払われるもので、一般的には売却にかかる諸費用の中で最も大きな金額を占めます。あくまで成功報酬であるため、売却が成立しなかった場合には支払う必要はありません。
金額の上限は法律で定められており、売却価格が400万円を超える場合は「売買価格×3%+6万円+消費税」という速算式で算出されます。支払いのタイミングについては、売買契約の締結時と、物件の引き渡し(決済)時の2回に分けて、半額ずつ支払うのが通例となっています。
印紙税
不動産の売買契約書を作成する際に課される国税で、郵便局などで購入した収入印紙を契約書に貼付し、消印することで納税したとみなされます。契約書に記載された売買金額によって税額が段階的に定められており、売主と買主が契約書を1通ずつ保管する場合は、双方がそれぞれの印紙代を負担します。
税額については、租税特別措置法による軽減措置が設けられています(令和9年3月31日まで)。たとえば、契約金額が1,000万円を超え5,000万円以下の場合、本則の税率は2万円ですが、軽減措置により1万円となります。契約金額によって税額が変わるため、事前に確認しておきましょう。
抵当権抹消費用
売却する物件にローンが残っている場合、物件の引き渡しと同時に残債を完済し、金融機関が設定している抵当権を抹消する手続きが必要です。この手続きにかかる「登録免許税(国への税金)」と、手続きを代行する司法書士への報酬を合わせたものが抵当権抹消費用となります。
登録免許税は不動産1個につき1,000円(土地と建物なら合計2,000円)と安価ですが、司法書士への依頼報酬が別途発生します。一般的なケースであれば、総額で2万円から3万円程度が費用の目安となります。
譲渡所得税
不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合に課される、所得税と住民税の総称です。売却金額から、その物件を購入した際の費用(取得費)や売却にかかった経費(譲渡費用)を差し引いて利益を算出しますが、投資用物件の場合は減価償却費を考慮して取得費を計算する必要があるため、専門的な知識が求められます。
税率は物件の所有期間によって大きく異なり、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超える「長期譲渡」の場合は約20%ですが、5年以下の「短期譲渡」の場合は約40%となります。原則として投資用不動産の売却損は給与所得等と相殺できませんが、同年に他の不動産売却益がある場合は、損益通算(内部通算)を行うために確定申告が必要です。
消費税
不動産売却における消費税には、大きく分けて売却に伴う諸費用にかかるものと、建物の売却価格にかかるものの2種類があります。仲介手数料や司法書士依頼費用などには消費税が課されるため、資金計画に含めておく必要があります。
また、売主が課税事業者(法人や一定規模以上の個人事業主)である場合、投資用物件の建物部分の売却価格に対して消費税が課税されます。この場合、買主から受け取った消費税分はあくまで預かり金であるため、翌年の確定申告で国に納税する義務が生じます。
土地の売買については、個人・法人を問わず非課税となります。
参考記事:
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投資用不動産を高く売るための5つのポイント

投資用不動産を高く売るためには、タイミングの他に、考慮すべきポイントがあります。以下の3つのポイントを検討することで、売却価格を引き上げられる可能性があります。
①数社に査定を依頼する
物件の価格を見積もる査定は、複数の不動産会社に依頼しましょう。
会社ごとに評価が異なるのが通常で、最適な売却価格を見極めるための、比較材料となります。
②投資用物件に強い不動産会社を選ぶ
投資用不動産の売買は、通常の住まいと異なり専門的な知識や経験が必要です。
それ以外に、投資物件を数多く取り扱っている不動産会社は、投資用物件を探しているお客さんも多いため、スムーズな売却につながる可能性が高くなります。
③外国人投資家を対象にする
日本の不動産市場に関心を持つ外国人投資家も多く、都心部や観光地の物件では、外国人の購入需要が高まっています。
④満室(高稼働)状態で売る
投資用不動産では、家賃収入が最大化された満室状態の方が評価が高まり、高値売却が期待できます。
空室があるなら可能な限り入居者を付け、収益性を高めてから売り出すと良いでしょう。
⑤必要に応じて修繕をしておく
管理状態の悪さや設備の不具合は、買主の印象を下げ、購入後のコスト懸念から大幅な値下げ交渉の材料とされてしまいます。
大規模な改修は不要ですが、雨漏りや共用部の清掃など最低限の修繕を行い、不安要素を取り除いておくことが高値売却成功の鍵です。
これらのポイントを抑えて、効果的な売却活動を進めましょう。
▼ウスイホームの社員が本音で教える、不動産を高く売る方法(動画)▼
必見!不動産、高く売る方法はどっち!?【不動産投資/投資/税金/不動産売却】
投資用不動産の売却で失敗しないための注意点

「所有期間5年」のカウントミスによる重税
不動産を売却して利益が出た場合にかかる税金は、その物件を所有していた期間によって大きく異なります。
所有期間が5年を超える長期譲渡であれば税率は約20%で済みますが、5年以下の短期譲渡では約40%となり、納税額が倍近くに跳ね上がってしまいます。
注意が必要なのは、この5年という期間の計算方法です。単に購入日から5年経過すればよいわけではなく、「売却した年の1月1日時点」で5年を超えている必要があります。
そのため、実期間では5年経っていても、税制上の判定で短期とみなされ、想定外の重税が課される場合もあります。
投資用不動産がサブリース契約中である
空室対策として有効なサブリース(一括借り上げ)ですが、売却時には不利に働くケースが大半です。
まず、サブリース手数料の分だけ収益性が低くなるため、投資家から値下げを要求されたり、金融機関の融資がつきにくくなったりする傾向があります。
また、売却のために契約を解除しようとしても、借地借家法により借主が守られているため容易ではありません。高
額な違約金の請求や立ち退き交渉が難航することもあり、こうした権利関係の複雑さが売却の足かせになることがあります。
入居者に関するリスクがある
投資用不動産の売却では、建物だけでなく、どのような入居者が住んでいるかも重要な評価対象となります。
家賃滞納の常習者がいたり、近隣トラブルが頻発していたりする場合、物件の資産価値は著しく低下し、金融機関の融資審査でもマイナス評価となります。
さらに、こうした不都合な事実を隠して売却を行うと、引き渡し後に買主から「契約不適合責任」を問われるリスクがあります。
損害賠償請求や契約解除に発展する恐れもあるため、レントロール(家賃明細表)の内容や入居者の状況については、正確に開示することが求められます。
ローン残債が売却額を上回る「オーバーローン」になっている
売却想定価格よりもローンの残債が多い状態を「オーバーローン」と呼びます。
通常、不動産を売却するには抵当権を抹消する必要がありますが、金融機関はローンの全額完済がない限り、原則として抵当権の抹消に応じません。
そのため、売却代金だけで残債を返済しきれない場合は、不足分を手持ちの現金で補填する必要があります。も
し自己資金での補填が難しい場合は、金融機関との合意のもとで「任意売却」を行うことになりますが、信用情報への影響などデメリットも伴うため、慎重な判断が必要です。
価格が相場より高い
投資用不動産において相場とかけ離れた価格設定は逆効果となります。
投資家は物件の利回り(収益性)をシビアに判断するため、相場より価格が高く利回りが低い物件は、検討の対象から外されてしまう可能性が高くなります。
また、長期間売れずに市場に残り続けると、何か問題がある物件ではないかと敬遠され、かえって買主が遠のく悪循環に陥ります。
特に金利が上昇傾向にある局面では、投資家が求める利回り水準も高くなるため、市場動向を見極めた適正な価格設定が重要です。
投資用不動産売却に関するよくある質問

投資用不動産が売れないときにはどうすればいい?
最も効果的なのは売出価格の見直しです。投資家は価格そのものより利回りを重視するため、金利上昇局面にある現在は、市場の相場に合わせて利回りが見劣りしない水準まで価格を修正することが、成約への一番の近道となります。
また、融資のつきにくさが原因なら、家賃明細表(レントロール)や修繕履歴を整備して銀行評価を高める工夫も有効です。
それでも売れない場合は、不動産会社による「買取」へ切り替えるのも手です。
価格は仲介による売却価格よりも下がる可能性がありますが、確実かつ早期に現金化できるため、選択肢の一つとして検討しましょう。
投資用の不動産売却時に消費税はかかる?
不動産売却における消費税は、土地か建物か、売主が課税事業者かどうかによって扱いが異なります。
まず、土地の売却については、消費される性質のものではないため、個人・法人を問わず非課税となります。
一方、建物については消費税の課税対象となりますが、売主が一般的な個人(免税事業者)であれば、原則として消費税はかかりません。
ただし、売主が法人や、前々年の課税売上高が1,000万円を超える個人事業主(課税事業者)である場合は、建物の売却価格に対して消費税が課税されます。
この場合、買主から受け取った消費税分はあくまで預かり金となるため、売却した翌年の確定申告時期に、所定の手続きを経て国に納税する義務が生じます。
売却して赤字が出た場合、給与所得と損益通算できる?
売却による赤字(譲渡損失)は、給与所得や事業所得と損益通算することはできません。
不動産所得(毎月の家賃収入)の赤字は給与と通算して節税できますが、売却損益(譲渡所得)は他の所得と完全に切り離して計算する「分離課税」というルールが適用されます。
売却損が出たから、確定申告で税金が戻ってくるということは、投資用不動産に関しては原則ありません(※自宅の買い替え特例などを除く)。
損切りをする際は、節税効果を期待せず、手残りのキャッシュフローだけで判断する必要があります。
入居者がいる投資用不動産でも売却できる?
入居者がいる場合でも売却は可能です。投資用不動産においては、入居者がいる状態(オーナーチェンジ)の方が好まれる傾向にあります。
買主にとって、入居者が決まるまで家賃が入らない空室物件はリスクです。
しかし、入居者がいれば購入翌月から確実に家賃収入が入るため、銀行の融資審査も通りやすくなります。
売却にあたって入居者の承諾や許可は必要なく、賃貸借契約の内容(敷金や契約期間など)を、そのまま新しいオーナーへ引き継ぐ形で売却します。
築年数が古い投資用不動産でも売却できる?
築30年、40年といった築古物件でも売却は可能ですが、築浅物件のように融資を活用した購入層を狙うのは難しくなります。
そのため、現時点で家賃収入があるなら高利回り物件として、現金で購入できる投資家や再生販売を行う不動産業者をターゲットに絞るのが効果的です。
また、建物の老朽化が進み評価額がゼロに近い場合は、古家付き土地として売り出す方法もあります。
立地条件さえ良ければ、将来のアパート用地や戸建て用地としての土地の資産価値で評価されるためです。
雨漏りや設備の不具合といったリスク情報を正直に開示し、それを価格に織り込めば、築年数を問わず買主を見つけることは可能です。
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ウスイホームは、横須賀・湘南・横浜エリアで1976年の創業以来、地域の市場動向に精通している不動産会社です。
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| 監修者 海沼 仁(カイヌマ ヒロシ) ウスイホーム株式会社 代表取締役社長 【経歴】 大学時代は不動産評価論を専攻。 卒業後、1997年にウスイホーム株式会社入社。売買仲介部門の新人賞を受賞。 2001年、新店の上大岡店店長に就任。以降、各店店長を歴任。特に新店舗の立ち上げを得意とし、後にエリアマネージャーに抜擢される。 2012年より取締役に就任。主に横浜、湘南エリアでの商圏拡大に尽力している。 2021年には創業45周年を機に、SDGs推進に取り組む「ウスイグループSDGs宣言」を制定。地域貢献活動にも力を入れている。 2025年4月、ウスイホーム株式会社代表取締役社長に就任。 地域密着型営業で築き上げてきた不動産業界のキャリアと実績から、顧客の信頼も厚く、幅広い人脈を持つ。著名人・有名人からの相談や紹介も多い。 【資格】 宅地建物取引士 CPM(米国不動産経営管理士) 日本RSP協会 不動産仲介士 試験問題監修委員 |
| 執筆者 ウスイホーム株式会社 広報チーム 1976年に神奈川県で創業。お客様と地域の発展のため、横浜・湘南・横須賀エリアで不動産売却のお手伝いをさせて頂いております。長年にわたり蓄積してきた知見を活かし、不動産売却を検討する際に役立つ情報を発信しています。 お問い合わせURL https://www.usui-home.com/contact |