所有しているマンションが空き家になる場合、「売るか貸すか」の判断で迷う方は多いのではないでしょうか。まずは、築年数、住宅ローンの残債、将来住む予定があるかなどを考えてみましょう。
次に、売却と賃貸のそれぞれのメリット・デメリットを比較し、貸す場合の手間や費用なども含めて総合的に検討することで、後悔のない判断につながります。この記事では、「マンションは売るか貸すかのどちらがお得なのか」を考える際のポイントを、わかりやすく解説します。
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目次
マンションは売るか貸すかどちらがお得?

空き家になったマンションを相続したり、転勤でマンションが空いたりした場合は、「売るか貸すか」の判断が必要になります。どちらがお得かは一概にいえないため、さまざまな要素を比較して判断する必要があります。
判断の基本は「今後住む予定があるかどうか」
マンションを売却するか賃貸に出すかを考えるときに、最初に確認すべきことは、「今後、自分や家族が住む予定があるかどうか」です。住むことがない場合は、売却するのが妥当な選択といえます。
一方で、将来再び今のマンションに住む可能性があるなら、賃貸という選択も考えましょう。ただし、賃貸に出したマンションに入居者がいる場合、自分が戻るときにすぐに退去してもらうことは難しく、仮住まいの必要も出てきます。
このような事情を踏まえ、慎重な判断が大切です。
築年数・住宅ローンの有無も判断材料に
マンションの築年数と住宅ローンの有無も、「売るか貸すか」を判断する際の重要なポイントです。たとえば築40年前後の築古のマンションは、思うような金額で売れないことが多いといえます。
一方、賃貸に出す場合も家賃収入は低くなりがちですが、駅近など立地がよければ、納得できる家賃になる可能性もあります。住宅ローンが残っている場合には、売却・賃貸どちらのケースでも金融機関への相談が必須です。
売却する場合に、売却益でローンを完済できない場合は、自己資金で完済するか、ローンの借り換えなどの対策が必要になります。
売却額・収益性・手間で「損得」を比較しよう
マンションを売るか貸すかを決める際は、「売却額」「収益性」「手間」の3点を比較することがポイントです。売却の場合は、まとまった資金が一括で手に入ります。賃貸の場合は毎月の家賃が収入として得られます。
賃貸にしたい場合は、何年貸せば、売却額になるかを試算してみましょう。そのうえで、管理の手間や空室リスク、修繕費や管理費などのコストも含めて、「どっちが得か」を見極めていきましょう。
参考記事:マンション売却で儲かった理由とは?成功の秘訣・税金対策を解説!
売るvs貸す、どちらが儲かる?

売るか貸すかで迷ったときは、最終的な「手取り額」を比較すると判断しやすくなります。「売却額」と「賃貸の家賃額」を知りたい場合は、不動産会社に相談がおすすめです。
◆売却の場合は実質の手取り額を計算
<計算手順>
- 売却額の予測(仮に3,000万円)から、仲介手数料などの諸費用(仮に150万円)を差し引く
- 利益が出た場合は譲渡所得税を計算する(仮に100万円)
- 「売却価格-諸費用-税金」に当てはめて手元に残る額を計算する
| 3,000万円-150万円-100万円=(手取り)2,750万円 |
◆賃貸に出す場合は、年間の手取り額から考える
年間の家賃収入と諸経費から、年間の手取りを計算してみましょう
仮)諸経費:50万円(修繕積立金など36万円・固定資産税9万円・火災保険など5万円)
| (家賃)15万円×12か月=180万円-(諸経費)50万円=(手取り)130万円/年 |
賃貸の場合、手取りは1年間で130万円となるため、10年間で1,300万円、20年で2,600万円となります。ただし、空室リスクや修繕費はこの計算に含まれていない点に注意が必要です。双方を比較して、自分にとってどちらが有利かを検討しましょう。
マンションを売るメリット・デメリット

マンションを売ると、まとまった資金が手元に入りますが、将来的に住めなくなりますし、売却には費用がかかるなどの注意点もあります。売却のメリットとデメリットを見ていきましょう。
売るメリット
マンションを売る最大のメリットには、以下のようなものがあります。
- 売却代金が一括で手に入る:新しい家の購入費用や生活資金、住宅ローンの残債の返済などに充てられる
- 維持コストが不要になる:管理費や修繕積立金、固定資産税、火災保険など
- 設備の修繕の手間がなくなる:設備の修繕やメンテナンスが不要になる
- 精神的な負担が軽減される:管理費や固定資産税などの住居コストが負担になっていた場合など
売るデメリット・注意点
マンションを売却する際のデメリットと注意点も押さえておきましょう。
- 売却益が出た場合は譲渡所得税がかかる:自宅なら「3,000万円の特別控除」が適用されるケースがある
- 売却までに時間がかかる:売りに出してすぐ売れるわけではない
- ローンの残債が売却額を上回ると自己資金で完済か借り換えが必要
引っ越しなどで急いで売却したい場合は、早めに不動産会社への相談をおすすめします。
売らない方がよいケース
マンションを売らない方がよいケースもあります。
- 転勤から帰ってきたら、再び住む場合
- 将来、子どもや家族が住む可能性がある場合
売却してしまうと、同じ物件を再度購入するのは難しいといえます。将来的にそのマンションを活用する予定がある場合は、売却ではなく「貸す」「空き家で保有する」なども検討の余地があります。
時期がわかっている場合、期限をつけて貸せるかを不動産会社に相談してみましょう。
マンションを貸すメリット・デメリット

マンションを貸せば、毎月家賃収入が得られるのは大きな魅力です。ただし、管理の手間や空室リスクなどのデメリットもあります。マンションを貸す場合のメリットと注意点について、詳しく解説します。
貸すメリット
マンションを貸すメリットは主に3つあります。
- 家賃収入が得られる:家賃が安定した収入源になり、生活資金やローン返済に充てられる
- 将来、住める:手放すわけではないので、将来自分や家族が住む場合に活用できる
- 相続税・節税対策になる:不動産を賃貸に出すことで、相続税評価額が下がり、相続対策としても有効
家賃収入を得ながら、将来の活用に備えられるという点が、手放さず貸すことの大きな利点です。
マンションを貸せば相続税対策に
不動産は他人に貸せば、所有者が自由に使えないと判断されるため、賃貸にすると相続時の評価額が下がる仕組みになっています。現金や空き家で保有するよりも相続税の負担を軽減できる可能性があり、個人が1部屋のみ貸し出していてもこの評価の適用は可能です。
マンションは土地と建物に分けて評価されていますが、賃貸にした場合、相続時の評価額は下記になります。土地は「貸家建付地」として評価され、借地権割合に応じて評価額が圧縮されます(割合は国税庁の路線価図などで確認)。建物は「貸家」として評価され、借家権割合(全国一律30%)と賃貸割合(満室なら100%)を掛けた値で計算し、その家屋の固定資産税評価額から控除して評価します。
適用条件や減税効果は状況によって異なるため、相続を考えて賃貸に出す場合は、早めに税理士などの専門家への相談をおすすめします。
貸すデメリット・注意点
マンションを貸す際には、いくつかのデメリットや注意点があります。
- 維持費や修繕費が発生する:給湯器やトイレなど、設備の修繕やリフォームは、貸主の費用負担で対応する
- 管理の手間:入居者との契約管理やトラブル対応
- 空室リスク:借主がいないときは家賃収入がゼロになる
- 入居者にすぐに退去してもらえない:契約期間や法律上の制限がある
- 確定申告が必要:不動産収入の確定申告が必要、税理士に依頼すると費用が発生する
賃貸にはメリットだけでなくデメリットもあるため、それらを理解したうえで、管理や収支についてしっかり検討しましょう。
「ローンが残っているマンションを貸す」際の注意点
住宅ローンが残っているマンションを貸す場合には、まず金融機関へ相談する必要があります。多くの住宅ローン契約では、「自己居住用(本人、家族が住むこと)」が前提となっているため、勝手に賃貸に出すと契約違反になります。
通常、住宅ローンの残債がある物件を賃貸にする場合は、住宅ローンから投資用ローンへの切り替えが必要です。ただし、転勤などやむを得ない事情がある場合には、銀行によっては相談に応じてくれるケースもあります。
まずは、金融機関に相談してから、貸すかどうかを検討しましょう。
マンション売却の流れと必要な費用

マンションを売却する際には、不動産会社への査定依頼に始まり、契約・引き渡しまで複数のステップがあります。この章では、売却の具体的な流れと主な費用について解説します。
売却までの流れ
マンション売却の一般的な流れは、以下のとおりです。
- ご相談・査定の依頼:不動産会社に物件の査定を依頼します。
- 物件の調査・査定書作成:現地調査後に、不動産会社が査定額を提示
- 媒介契約の締結:仲介を依頼する不動産会社を選び、媒介契約を結ぶ
- 販売活動の開始:価格決定・広告・内見対応を行いながら買主を探す
- 売却の決定:購入希望者が現れたら条件交渉を行う
- 売買契約の締結:条件が合えば、売買契約を締結し、手付金を受け取る
- 引き渡し・決済:残代金の受け取りと物件の引き渡し、所有権を買主へ移転する
居住している場合、契約から引き渡しまでの1〜3か月ほど猶予があります。その間に、引っ越しを済ませましょう。
参考記事:マンションを売るなら知っておきたい!売却の流れと成功のコツ
売却時にかかる主な費用
マンションを売却する際には、発生する費用は売却代金や状況により異なることに注意が必要です。
- 仲介手数料:不動産会社に支払う成功報酬。
計算式は【売却価格×3%+6万円+消費税】
ただし、売却金額が800万円以下の場合は33万円(税込) - 登記費用:抵当権の抹消登記の登録免許税と司法書士への報酬
- 譲渡所得税:売却益が出た場合に課税される税金
- 印紙税:契約書に貼る印紙の代金
- 引っ越し費用:時期や距離により大きく異なる
※不動産の売却代金には消費税はかからない
これらの費用を見積もることで、手元に残る金額のイメージがつかみやすくなります。
参考記事:マンション売却の手数料・費用とは何?|内訳から節約のポイントまで解説
査定は複数社に依頼するのが鉄則
不動産会社によって、査定額に差が出ることが多いため、マンションを売却する際は、複数の不動産会社に査定を依頼することが鉄則です。これは、不動産会社が中古マンションの売却の得意かどうかや、その地域での実績などが査定額に影響するためです。査定額の高さだけでなく、提案内容や売却活動の内容、相談時の対応とサポート体制も比較して、信頼できる業者を選ぶことが成功の決め手となります。
参考記事:【プロ監修】不動産売却|不動産会社の選び方・見極め方のポイント
マンションを賃貸に出す流れと必要な費用

マンションを貸す場合にも、事前の準備から契約・管理までの流れや費用を把握しておく必要があります。賃貸運用の基本的な手順と必要な費用について解説します。
賃貸運用の手順
マンションを賃貸に出す際の一般的な手順は、以下のとおりです。
- 不動産会社を選び、仲介を依頼:賃貸の実績がある、誠実な不動産会社を選ぶ。複数社に相談し、対応や条件などを比較するのがおすすめ。
- 契約形態を決める:契約は2種類ある。「普通賃貸借契約」は更新可能で、「定期賃貸借契約」は期間満了時に退去してもらえる。将来の住み替え予定がある場合は「定期賃貸借契約」が安心。
- 入居者募集:家賃・条件を決めて募集を開始。不動産会社が広告や内見対応を行う
- 賃貸契約・管理開始:入居希望者と賃貸契約を締結。家賃の受け取り、管理業務の開始。不動産会社への委託が可能なケースもある。
賃貸時にかかる費用
マンションを賃貸に出す際には、以下のような費用が発生します。
| 費用項目 | 内容 |
| 管理委託費 | 管理を委託した場合に支払う。家賃の3~5%程度が目安 |
| 修繕費・リフォーム費用 | 内装や設備の修繕費 |
| 仲介手数料 | 入居者を仲介した不動産会社へ支払う。通常家賃1か月分+税 |
| 火災保険(建物) | 貸主として契約が必要 |
| 固定資産税 | 所有者が支払うため貸主負担 |
| 共益費・修繕積立金 | 所有者が支払うため貸主負担 |
| ローン切り替え費用 | 住宅ローンから投資用ローンへ変更する場合、切り替えの手数料や金利の見直しがある |
これらの費用を把握し、収益のバランスを検討しましょう。
管理の手間は外部委託も可能
賃貸中のマンションの管理は自分で行うことも可能ですが、遠方に住んでいる場合や、修繕や入居者対応が負担になる場合は、管理業務を不動産会社に委託するのがおすすめです。管理手数料はかかりますが、手間を大幅に軽減できるメリットがあります。
マンションの活用で迷ったらウスイホームへ

マンションを「売るか貸すか」で迷ったときは、横浜・湘南・横須賀エリアに根ざし、信頼と実績のあるウスイホームにご相談ください。1976年創業のウスイホームは、地域密着の不動産会社として、売却と賃貸、双方に精通しています。物件の状況やお客様のライフプランに応じて客観的なご提案が可能です。
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マンションは売るか貸すか、判断に迷ったら不動産会社に相談を

マンションを売るか貸すかの判断は、将来住む予定や築年数、ローンの残債、家賃収入の見込みなどで大きく変わることを解説しました。将来を考え、売却による一括の資金か、賃貸にして収益化かを比較しましょう。
判断に迷ったときは、不動産会社に相談して査定の依頼がおすすめです。売却額・収益性・手間を、しっかり検討することが損をしないポイントです。専門家のアドバイスを受けながら賢く選択しましょう。
| 監修者 海沼 仁(カイヌマ ヒロシ) ウスイホーム株式会社 代表取締役社長 【経歴】 大学時代は不動産評価論を専攻。 卒業後、1997年にウスイホーム株式会社入社。売買仲介部門の新人賞を受賞。 2001年、新店の上大岡店店長に就任。以降、各店店長を歴任。特に新店舗の立ち上げを得意とし、後にエリアマネージャーに抜擢される。 2012年より取締役に就任。主に横浜、湘南エリアでの商圏拡大に尽力している。 2021年には創業45周年を機に、SDGs推進に取り組む「ウスイグループSDGs宣言」を制定。地域貢献活動にも力を入れている。 2025年4月、ウスイホーム株式会社代表取締役社長に就任。 地域密着型営業で築き上げてきた不動産業界のキャリアと実績から、顧客の信頼も厚く、幅広い人脈を持つ。著名人・有名人からの相談や紹介も多い。 【資格】 宅地建物取引士 CPM(米国不動産経営管理士) 日本RSP協会 不動産仲介士 試験問題監修委員 |
| 執筆者 ウスイホーム株式会社 広報チーム 1976年に神奈川県で創業。横浜・湘南・横須賀エリアでマンション売却のお手伝いをさせて頂いております。長年にわたり蓄積してきた知見を活かし、マンション売却を検討する際に役立つ情報を発信しています。 お問い合わせURL https://www.usui-home.com/contact |