マンションを売却したいものの、「購入時より査定額が大幅に下がっている」「売却損が出そう」と不安を感じている方は少なくありません。
マンション売却で損が出ても、一定の要件を満たせば、給与所得などにかかる所得税・住民税の負担を軽減できる特例を利用できます。
この記事では、マンション売却で売却損が出た場合に利用できる特例や確定申告の方法、売却損をできるだけ抑えるポイントをわかりやすく解説します。
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目次
マンションの売却損とは譲渡所得がマイナスになること

マンションの売却損(譲渡損失)とは、マンションを売却した際の譲渡所得がマイナスになった状態です。
譲渡所得は、次の計算式で求めます。
| 譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用) |
売却損になる例を見てみましょう。
| ■仮条件 売却価格:2,500万円 取得費:2,900万円 購入代金や購入時の諸費用など 譲渡費用:100万円 仲介手数料や印紙税など、売却時にかかった費用 ■譲渡所得の計算 2,500万円-(2,900万円+100万円)=▲500万円となり、500万円の売却損が生じます。 ※実際の譲渡所得の計算では、建物部分の減価償却費相当額を取得費に反映します。 |
マンションの建物部分は築年数の経過に伴って価値が下がりやすいため、購入時より低い価格になる傾向が見られます。
ただし、立地や市況、土地価格などによっては購入時より高く売れるケースも少なくありません。
国土交通省の「令和6年度住宅市場動向調査」でも、取得価格を下回る価格で売却された人が一定数いることを確認できます。

出典:住宅市場動向調査報告書|国土交通省「令和6年度 住宅市場動向調査」
売却損が出ても、一定の条件を満たせば税負担を軽減できる特例を利用できる可能性があります。
まずは、自分のマンションが売却損に該当するか確認しましょう。
マンションの売却損でも確定申告が必要になるケース

売却損が出た場合に、税負担を軽減できる損益通算や繰越控除などの特例を利用するには、期限内に確定申告が必要です。
売却損が出た場合の確定申告の要否は、特例を利用するかどうかによって異なります。
| 売却損が出た場合 | 確定申告 |
| 特例を利用せず、ほかに申告が必要な所得・取引がない | 原則不要 |
| 特例を利用する | 必要 |
| 繰越控除を受ける2年目以降 | 毎年必要 |
マンションの売却損に利用できる2つの特例

マンションの売却で損失が出た場合には、一定の条件を満たすことで、特例を利用できる可能性があります。ここでは、代表的な2つの特例を取り上げます。
なお、いずれの特例も、2026年度税制改正によって適用期限が2027年12月31日まで延長されています。
譲渡損失の損益通算と繰越控除とは
譲渡損失の特例とは、マイホーム(居住用財産)を売却して売却損(譲渡損失)が生じた場合に、一定の条件を満たすことで税負担を軽減できる制度です。
通常、土地や建物の譲渡で生じた損失は、給与所得などほかの所得と相殺(損益通算)できません。
しかし、居住用財産については一定の要件を満たす場合に限り、損益通算や繰越控除を受けられます。
また、その年に控除しきれなかった損失は、翌年以降3年間にわたり繰り越して控除が可能です。
利用できる特例は、「マイホームを買換えた場合の譲渡損失の特例」と、「特定のマイホームの譲渡損失の特例」の2種類です。
それぞれ適用要件や対象者、控除対象となる損失の考え方が異なるため、まずは違いの確認が必要です。
【譲渡損失の特例の比較表】
| 比較項目 | 買換えた場合 | ローン残債がある場合 |
| 買換え | 必要 | 要件ではない |
| 住宅ローン | 新居購入に一定の要件あり | 売却時にローン残高があることが条件 |
| 控除対象 | 譲渡損失額 | 譲渡損失と「住宅ローン残高-売却価格」のいずれか少ない額 |
| 繰越控除 | あり | あり |
どちらも適用要件が細かく定められているため、まずは違いを確認し、自分に当てはまる特例を把握しましょう。
次に、それぞれの特例について詳しく解説していきます。
マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の特例
「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」(以下、マイホームを買換えた場合の譲渡損失の特例)は、マイホームを売却して買換えた場合に利用できる制度です。
一定の要件を満たせば、この特例を利用できます。
主な要件は次のとおりです。
- 売却したマイホームを一定期間以上所有している
- 所定の期間内に新居を取得し、居住する
- 新居の床面積が50㎡以上
- 新居に返済期間10年以上の住宅ローンがある
買換え先の住宅や住宅ローンの要件、取得・居住の時期など、適用には細かな条件が定められています。
特例の利用を検討している場合は、事前に適用要件を確認しておきましょう。
住宅ローンが残る場合の譲渡損失の特例
「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」(以下、住宅ローンが残る場合の譲渡損失の特例)は、住宅ローンが残るマイホームをローン残高より低い価格で売却し、譲渡損失が生じた場合に利用できる制度です。
一定の要件を満たせば、新たなマイホームへ買い換えない場合でも、この特例を利用できます。買換えをしないこと自体は適用の必須条件ではありません。
主な要件は次のとおりです。
- 売却したマイホームに返済期間10年以上の住宅ローンが残っている
- 売却価格が住宅ローン残高を下回る
- 売却した年の1月1日に所有期間が5年を超えている
- 売却したマイホームに居住していた
このほかにも適用要件が定められているため、利用を検討している場合は、事前に適用要件を確認しておきましょう。
譲渡損失の損益通算・繰越控除の計算例
ここでは、損益通算と繰越控除の流れを簡単な例で見てみましょう。
【仮条件】※減価償却は考慮していません
- 購入価格:4,000万円
- 売却価格:3,500万円
- 譲渡損失:500万円(4,000万円-3,500万円)
- 給与所得:300万円
| 【マイホームを買換えた場合の譲渡損失の特例】 適用要件を満たしていれば、譲渡損失500万円のうち、その年の給与所得300万円と損益通算できます。さらに、その年に控除しきれなかった200万円は、翌年以降3年間を限度に、各年の所得から順次控除できます。 |
| 【住宅ローンが残る場合の譲渡損失の特例】 住宅ローン残高が3,700万円だったとすると、住宅ローン残高と売却価格の差額は200万円です。この特例では、譲渡損失が500万円でも、損益通算や繰越控除の対象となる上限は200万円となります。 |
このように、どちらの特例を利用するかによって、控除対象となる譲渡損失額の考え方が異なります。
なお、300万円や200万円がそのまま還付されるわけではありません。
損益通算や繰越控除は所得から控除されるため、実際の還付額は適用される税率や、源泉徴収された税額などによって異なります。
特例を利用するときの注意点
譲渡損失の特例を利用するには、確定申告が必要です。
また、損失を翌年以降へ繰り越す場合は、最初の年だけでなく、繰越控除を受ける年も継続して確定申告を行う必要があります。
さらに、どちらの特例にも所有期間や住宅ローンなどの要件があり、買換え特例では新居の床面積や取得・入居時期についても条件が定められています。
要件を満たしていないと適用できないため、不明な点がある場合は税務署や税理士へ確認しましょう。
売却益に利用できる特例との違い
譲渡損失の特例は、売却で損失が出た場合の税負担を軽減する制度です。
一方、「3,000万円特別控除」や「軽減税率の特例」などは、売却益が出た場合に、その利益に対する税負担を抑える仕組みです。
売却損と売却益では利用できる特例が異なるため、混同しないよう注意しましょう。
なお、「マイホームを買換えた場合の譲渡損失の特例」は、住宅ローン控除との併用が可能です。
マンション売却損が出たときの確定申告

マンションを売却して損失が出た場合、特例を利用するには確定申告が必要です。
スムーズに手続きを進めるためにも、事前に必要書類や申告の流れを確認しておきましょう。
必要書類
確定申告で譲渡損失の特例を利用する際は、確定申告書や譲渡所得の内訳書に加え、居住用財産の譲渡損失の金額の明細書、損益通算・繰越控除の対象額を計算する書類などを提出します。
買換え特例では買換資産の取得日や床面積を確認できる書類、申告時点で新居に入居していない場合は入居予定年月日などを記載した書類も必要です。
住宅ローンが残る場合の特例では、売買契約日の前日時点の住宅ローン残高を確認できる書類なども提出します。
主な必要書類は次のとおりです。
| 書類 | 内容 |
| 確定申告書 | 所得税の申告書 |
| 譲渡所得の内訳書 | 売却内容や譲渡所得(損失)を記載 |
| 売買契約書の写し | 購入時・売却時の契約書 |
| 売却時の費用の領収書 | 仲介手数料、売買契約書の印紙税など譲渡費用の確認 |
| 取得時の費用の領収書 | 仲介手数料・登記費用など取得費の確認 |
| 登記事項証明書など | 所有期間や適用要件の確認 |
| 住宅ローン残高証明書 | ※住宅ローンが残る場合の譲渡損失の特例を利用の場合に必要 |
売買契約書を紛失した場合は、取得費の証明が難しくなります。
手元にない場合は、通帳や住宅ローンの契約書など金額が確認できる資料を探し、仲介した不動産会社や金融機関で再発行や代替資料を用意できないか確認しましょう。
申告の流れ
マンションを売却した翌年の確定申告期間中(原則2月16日~3月15日)に申告する必要があります。
譲渡損失の特例を利用する場合は、次の流れで手続きを進めてください。
| 手順 | 内容 |
| 【STEP1】譲渡損失を計算 | 売却価格や取得費、譲渡費用をもとに譲渡損失を計算する |
| 【STEP2】必要書類を準備 | 確定申告に必要な書類をそろえる |
| 【STEP3】申告書を作成 | 確定申告書や譲渡所得の内訳書を作成する |
| 【STEP4】税務署へ提出 | 確定申告期間内に税務署へ提出する(税務署へ持参・郵送・e-Tax) |
| 【STEP5】翌年以降も確定申告を行う | 損益通算を受け、控除しきれない損失は翌年以降の繰越控除を利用する |
書類の不備があると特例を受けられない場合もあるため、提出前に内容をよく確認しましょう。
なお、繰越控除は、売却した年分の確定申告を行った場合に利用できます。
翌年以降も控除を受ける年ごとに確定申告を忘れないようにしましょう。
マンション売却の売却損をできるだけ抑えるポイント

マンションは売却方法を工夫することで、売却損を少しでも抑えられる可能性があります。
ここでは、売却損をできるだけ少なくするためのポイントを紹介します。
手元に残る金額で判断する
マンションを売却するときは、売却価格だけでなく、最終的に手元へ残る金額で判断しましょう。
仲介手数料や登記費用などの諸費用、住宅ローンの残債を差し引くと、売却価格が高くても手元に残る金額が少なくなる場合があります。
売却価格だけでなく、諸費用を差し引いた手取り額で判断しましょう。
また、査定額の高さだけで不動産会社を選ぶと、売れ残って値下げが必要になるケースもあります。
複数の不動産会社に査定を依頼し、査定額の根拠や売却プランを確認し、納得できる不動産会社に依頼することが大切です。
相場や市場動向を確認する
売却損を抑えるためには、マンションの相場や市場動向の把握が重要です。
同じマンション内や周辺地域の成約価格、売り出し価格などを確認すれば、適正な価格を判断しやすくなります。
また、マンション価格は需要によって変動します。転勤や子どもの進級・進学シーズンとなる2~3月は、住み替え需要が高まる時期です。
不動産会社にアドバイスをもらいながら、市場の動きを踏まえて売却時期を判断することが、売却損を抑えるポイントです。
売却スケジュールに余裕を持つ
売却を急ぐと、成約のために価格を下げざるを得ないケースがあります。
売却スケジュールはできるだけ余裕を持ち、市場の反応を見ながら販売活動を進めましょう。
時間的に余裕があれば、値下げを回避して、希望に近い価格で売却できる可能性が高まります。
住み替えや住宅ローンの返済期限などの予定がある場合は、早めに不動産会社に相談し、余裕を持った売却計画を立てることが納得のいく売却につながります。
マンション売却をお考えならウスイホームへ

マンションを売却する際は、売却価格だけでなく、売却後に手元へ残る金額や税金、住宅ローンの状況まで含めて検討することが大切です。
1976年創業のウスイホームは、横浜・湘南・横須賀エリアに密着した不動産会社です。
豊富な売却実績をもとに、市場動向を踏まえた査定や売却プランをご提案しています。
マンション売却をご検討中の方は、ぜひウスイホームへご相談ください。
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マンション売却損を正しく理解して税負担を抑えよう

マンション売却で売却損が発生しても、一定の要件を満たせば損益通算や繰越控除などの特例を利用でき、税負担を軽減できます。
ただし、特例にはそれぞれ適用要件があり、利用するには確定申告が必要です。
また、相場や市場動向を踏まえて売却を進めることで、売却損をできるだけ抑えられる可能性があります。
後悔のない売却をするためにも、不動産会社へ早めに相談し、余裕を持って自分に合った売却方法を選びましょう。
| 監修者 海沼 仁(カイヌマ ヒロシ) ウスイホーム株式会社 代表取締役社長 【経歴】 大学時代は不動産評価論を専攻。 卒業後、1997年にウスイホーム株式会社入社。売買仲介部門の新人賞を受賞。 2001年、新店の上大岡店店長に就任。以降、各店店長を歴任。特に新店舗の立ち上げを得意とし、後にエリアマネージャーに抜擢される。 2012年より取締役に就任。主に横浜、湘南エリアでの商圏拡大に尽力している。 2021年には創業45周年を機に、SDGs推進に取り組む「ウスイグループSDGs宣言」を制定。地域貢献活動にも力を入れている。 2025年4月、ウスイホーム株式会社代表取締役社長に就任。 地域密着型営業で築き上げてきた不動産業界のキャリアと実績から、顧客の信頼も厚く、幅広い人脈を持つ。著名人・有名人からの相談や紹介も多い。 【資格】 宅地建物取引士 CPM(米国不動産経営管理士) 日本RSP協会 不動産仲介士 試験問題監修委員 |
| 執筆者 ウスイホーム株式会社 広報チーム 1976年に神奈川県で創業。横浜・湘南・横須賀エリアでマンション売却のお手伝いをさせて頂いております。長年にわたり蓄積してきた知見を活かし、マンション売却を検討する際に役立つ情報を発信しています。 お問い合わせURL https://www.usui-home.com/contact |