不動産を相続すると、毎年固定資産税の支払いや維持管理の手間が発生します。遺産分割、住む予定がない空き家の売却など、横浜市で相続した不動産の売却を考えている場合に、知っておきたいことや、考えておきたいポイントについて、プロ監修のもと解説します。
売却を検討する時に役立つ横浜市の全18区の公示価格と土地価格の評価につながる特徴も紹介します。横浜市で不動産相続をして売却を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
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不動産の相続時に考えること|基本となるポイント
不動産は複数の相続人で分割が難しい財産です。スムーズに相続するためのポイントと、売却することになった際の流れを解説します。
相続人全員の同意が必要
相続税の申告期間は、被相続人がなくなってから10カ月間とされています(2024年時点)。約1年もあると感じる人もいるかもしれませんが、不動産を相続する場合は速やかに相続人との間で協議をはじめ、合意を導き出す必要があります。
理由として、不動産を売却して分割するとなった場合や、誰か一人が相続することが決まり不動産の相続登記を行う際には、相続人全員の同意が必要になるためです。
不動産の処分に対して相続人の意見が分かれて合意に時間がかかったり、不動産売却や登記のための資料をそろえる時間も必要です。不動産は売りに出してから売れるまでに、時間がかかるケースもあります。
売却が決まったら考えること
相続した不動産を売却するのは珍しいことではありません。売却してその代金を相続人で分割するという方法は一般的で、不動産を売却して相続税の支払いにあてるケースもあります。
相続した物件が空き家となる場合でも、維持費や固定資産税がかかり続けるため、売却を選択する人も増えています。
売却する場合は、司法書士に依頼して相続登記を行い、不動産会社に売買してもらうのが通常の手順です。相続税など、税金に関しては税理士に相談が必要です。不動産会社によっては、司法書士や税理士対応も含めたトータルサポートを提供しているところもあります。
売却時のポイント
不動産の売却時には、書類の準備などに手間がかかりますが、不動産会社に丸投げするのではなく、不明点を解決しながら納得できる売却を進めていきましょう。不動産会社を見誤ると、売買が進まないこともあるため、実績や対応力を確認してから依頼することが大切です。
<信頼がおける不動産会社選びのポイント3つ>
- 横浜市で売買実績が豊富な不動産会社
- 相続に絡む不動産売買の実績が多い
- 司法書士や税理士など法的手続きも含めたサポート体制がある
しっかりと対応してくれる不動産会社を選び、スムーズな売却を目指しましょう。
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横浜市の特徴と平均公示価格について
ここからは、横浜市で不動産相続をした場合に知っておきたい横浜市の公示価格と、その根拠の一つとなるエリアの特徴を紹介します。
公示価格とは?
公示価格とは、その土地がどれくらいの価値があるのかを知るための基準です。国土交通省土地鑑定委員会が、毎年3月に公示する標準地1㎡の更地の価格をいいます。
ここでいう標準値とは、毎年調査している同じ場所の土地価格をいいます。建物の価格は含まない土地だけの評価額で、調べる際は、相続した土地に最も近い場所の公示価格を参考にします。
相続税や贈与税を考えるときは、毎年国税庁が発表している「相続税路線価」を基準価格として使用するのが一般的です。相続税路線価は、公示価格の約8割程度に設定されているため、本記事で紹介する「公示価格」を参考にする場合は、8割程度に減額した価格で検討するとよいでしょう。
参考として、実際に取引された土地の価格は「実勢価格」といい、価格相場は公示価格の1.1〜1.2倍程度になることが多いです。
横浜市全体の平均公示価格
横浜市は首都圏に位置し、交通アクセスが非常に便利で住みやすい街です。観光スポットも多く、教育機関や医療施設も整っているため、世代を問わず人気があります。
そのような横浜市全体の平均公示価格は、245,800円/㎡です。
この公示価格は横浜市全体の平均であるため、地域によって差があります。そこで本記事では横浜市を以下の4つに分けて各区の平均公示価格とその根拠につながるような地域の特徴を解説していきます。
- 北部・・・青葉区・都筑区・北港区・緑区
- 東部・・・鶴見区・神奈川区・西区・中区・南区
- 南部・・・港南区・磯子区・金沢区・栄区・戸塚区
- 西部・・・泉区・瀬谷区・旭区・保土ヶ谷区
本記事は、横浜市が公開した「令和6年 地価公示のあらまし(横浜市分)横浜市都市整備局企画課」で公開した「公示価格」を紹介します。
相続した土地を売却|横浜市 北部エリアの特徴と公示価格
画像:横浜市都筑区センター北からの風景
まず紹介するのは、横浜市北部エリアといわれる、青葉区・都筑区・緑区・港北区は交通の便もよく、東京へのアクセスも便利な地域です。住宅地が広がり、自然豊かな環境と教育施設や商業施設の充実も魅力です。
横浜市 青葉区について
青葉区は、区画整理された住宅地が広がり、田園都市線で渋谷へも約30分でアクセスできる利便性が特徴です。自然環境と都市機能が調和した住みやすい地域のため、30〜50代の現役世代を中心に人気があり、横浜市内でも物件相場が高めとなっています。
青葉区の平均公示価格 312,800円/㎡(上昇率+2.4%)
横浜市 都築区について
都筑区には、ヨーロッパ郊外のような美しい街並みの港北ニュータウンがあります。大型ショッピングセンターのららぽーと横浜、スウェーデン家具のIKEAなど、暮らしに便利なショッピングセンターもあります。横浜市営地下鉄ブルーライン、グリーンラインが通っており横浜市内の通勤通学に利便性が高い街で、土地価格は一定の水準を維持しています。
都筑区の平均公示価格 293,800円/㎡(上昇率+3.3%)
横浜市 緑区について
緑区は緑被率が高く、豊かな自然環境が魅力です。公園や緑地が多く、休日のアウトドアも楽しめるため、子育て世代、アウトドア好きやペットと自然を楽しみたい人、退職後に緑豊かな環境でのんびりと過ごしたい人に人気です。
ます。田園都市線の長津田駅から渋谷まで約45分でアクセスできるため、都内への通勤・通学にも便利です。青葉区などと比べると価格相場は少し下がる印象です。
緑区の平均公示価格 227,200円/㎡ (上昇率+2.3%)
横浜市 港北区について
港北区には東急東横線、横浜市営地下鉄ブルーライン、JR横浜線、相模鉄道線、東海道線新幹線が通っており、交通の利便性が非常に高いエリアのため、平均公示価格は高めで推移しています。
横浜アリーナや日産スタジアムもあり、住民の満足度が高く、住み続けたいという声が多いのも特徴です。
港北区の平均公示価格 331,100 円/㎡(上昇率+3.6%)
相続した土地を売却|横浜市 東部エリアの特徴と公示価格
画像:横浜市西区浅間町から見た横浜市の街並み
鶴見区・神奈川区・西区・中区・南区が横浜市東部エリアといわれます。観光スポットが多く商業施設も充実したエリアで、交通アクセスも良好です。海岸沿いの港の景観と都市機能が融合した魅力もあります。
横浜市 鶴見区について
鶴見区の主要駅である鶴見駅は市境で、隣駅がJR京浜東北線・JR東海道線の川崎駅です。鶴見駅から品川まで約25分、下り方面の横浜駅までも約10分と、東京・横浜へのアクセスがよい街です。一方で下町ということもあってか物件相場は東部エリアの中では比較的低くなっています。
鶴見区の平均公示価格 284,100円/㎡(上昇率+3.1%)
横浜市 神奈川区について
神奈川区は、JR線や東急東横線など都心へのアクセスがよい複数の路線が走っており人気が高く、物件相場は高めの水準を維持しています。
桜の名所の三ツ沢公園、隣接するニッパツ三ツ沢球技場ではサッカーのJリーグや、ラグビーのリーグワンの試合が開催され、本格的なプロスポーツを気軽に観戦できる環境です。
神奈川区の平均公示価格 300,700円/㎡(上昇率+4.0%)
横浜市 西区について
西区は横浜市内の中心地で、日本で4番目の乗降客数を誇る横浜駅がある区です。文化芸術施設やみなとみらい21地区などの魅力的なエリアも含まれており、物件相場は横浜市内でも高めになっています。都市機能と文化的な魅力が融合した人気の地域です。
西区の平均公示価格 334,800円/㎡(上昇率+4.7%)
横浜市 中区について
中区は元町中華街や映画で話題の「あぶない刑事」のロケ地でも有名で、横浜を代表するイメージの街並みが特徴です。中区内にある主要駅から横浜駅までは電車で10分前後の立地も重なり、不動産相場が高額です。
中区の平均公示価格 377,700円/㎡ (上昇率+2.6%)
横浜市 南区について
南区は大岡川沿いの桜のプロムナードが有名です。区内を走る横浜市営地下鉄ブルーラインや京浜急行線の各駅から、横浜駅まで10〜15分前後でアクセス可能と利便性が高い街です。便利な交通網と美しい景観が地域の魅力になっています。
南区の平均公示価格 230,400円/㎡(上昇率+2.3%)
相続した土地を売却|横浜市 南部エリアの特徴と公示価格
画像:横浜市金沢区から見える街並みと海
金沢区・戸塚区・港南区・磯子区・栄区が横浜市南部エリアといわれます。自然豊かで落ち着いた住宅地が広がる地域です。交通の便も良好で通勤や通学にも便利なエリアで人気があります。
横浜市 金沢区について
金沢区は横浜市の最南端に位置し、横浜・八景島シーパラダイスがあるように海に近いのが特徴です。三井アウトレットパーク、コストコなど、自然・遊び・暮らしが融合した人気のあるエリアです。
金沢八景駅から横浜駅まで快速特急または特急で約20分ほどですが、距離的に少し離れることからか、平均公示価格はやや抑えられた水準で推移している様子です。
金沢区の平均公示価格 185,900円/㎡ (上昇率+2.3%)
横浜市 戸塚区について
戸塚区にある戸塚駅や東戸塚駅は、駅前開発で大型ショッピングセンターができ暮らしの利便性が上がっています。JR東海道線、JR横須賀線で横浜や東京方面へ1本でアクセス可能という恵まれた立地のため、南部エリアの中では少し高めの傾向です。
戸塚区の平均公示価格 204,700円/㎡ (上昇率+1.9%)
横浜市 港南区について
港南区の主要駅である上大岡駅には、商業施設や駅前の商店街が充実しており、買い物に不便を感じることはほぼないといえるかもしれません。JR線港南台駅、横浜市営地下鉄ブルーライン上永谷駅もあるため、横浜市内や都内へのアクセスがよく、地価は安定して下がりにくい傾向です。
港南区の平均公示価格 209,000円/㎡ (上昇率+2.5%)
横浜市 磯子区について
磯子区は南北に長く、根岸湾に向かう沿岸部と丘陵地が広がる多様な地形が特徴です。昭和初期に工業地帯として発展した背景がありますが、釣りができるエリア、古くからある落ち着いた住宅街、自然豊かな公園が多く、海や自然を感じながらゆったりと暮らせるエリアとして人気があります。平均公示価格も一定の水準を維持しています。
磯子区の平均公示価格 195,100円/㎡ (上昇率+2.3%)
横浜市 栄区について
栄区は緑が多く、横浜市内でも自然豊かなエリアです。JR根岸線本郷台駅から横浜へは約25分。横浜横須賀道路の日野インターや港南インターも近いため、車での通勤やお出かけも便利です。
南部エリアの中では横浜駅や都内から距離が少し離れることもあってか、平均公示価格はやや低めの傾向です。
栄区の平均公示価格 177,000円/㎡ (上昇率+1.8%)
相続した土地を売却|横浜市 西部エリアの特徴と公示価格
画像:横浜市保土ヶ谷区の街並み
保土ヶ谷区、旭区、瀬谷区、泉区が横浜市西部エリアは、緑豊かな住宅地が広がる地域です。相鉄線が都内へ乗り入れたことで、より暮らしに便利な環境が整い、注目が集まっているエリアといえます。
横浜市 保土ヶ谷区について
保土ヶ谷区は、かつて東海道の宿場町として栄えたエリアで、今も交通アクセスのよさが特徴となっており、公示価格は西部エリアの中ではやや高めの傾向です。JR横須賀線保土ヶ谷駅から横浜駅まで約5分、品川駅へも直通で約30分です。さまざまなイベントが開催される保土ヶ谷公園など緑豊かな環境も魅力です。
保土ヶ谷区の平均公示価格 202,700円/㎡(上昇率+2.9%)
横浜市 旭区について
旭区は、子育て環境が充実しており、ファミリー世帯に人気があります。国内最大級のよこはま動物園ズーラシアでは、日本で珍しい動物を間近に見ることができます。二俣川駅は相鉄線のすべての種別が停まるターミナル駅で、横浜駅、新横浜駅どちらへも特急で13分前後と利便性が高い街です。相鉄線の都内への乗り入れもあり、平均公示価格も一定の水準で推移しています。
旭区の平均公示価格 196,700円/㎡(上昇率+3.0%)
横浜市 瀬谷区について
瀬谷区は、坂が多い横浜市内では珍しく平坦なエリアが多く、自転車ユーザーにも住みやすいエリアです。区内の中心駅である瀬谷駅周辺は都市開発が進められていて、大型スーパーなどが充実しています。米軍基地の跡地には大型テーマパークが開発される予定で注目を集めており、平均公示価格も一定の水準を維持しています。
瀬谷区の平均公示価格 182,000円/㎡ (上昇率+3.2%)
横浜市 泉区について
泉区も、横浜市内では少ない平坦な地形が多いエリアです。泉区内には、横浜市の関内駅〜藤沢市にある湘南台駅までつなぐ横浜市営地下鉄ブルーライン、横浜駅や新横浜駅まで通っている相鉄線(いずみ野線)が乗り入れており、アクセスも良好です。ゆめが丘地区では都市開発が行われ、大型ショッピングモールなどができ暮らしの利便性も高くなっています。
泉区の平均公示価格 207,500円/㎡ (上昇率+2.7%)
横浜市で相続不動産売却時のポイントは信頼できる不動産会社
横浜市で不動産を相続した場合の流れ、売却時に参考になる公示価格と各区の特徴を紹介しました。不動産の相続では動く金額も大きく、難しい決断になることが多いため、信頼できる不動産会社などプロのサポートを受けながら進めることをおすすめします。自分や家族にとってよい結果となるよう、できることからはじめてみましょう。
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監修者 海沼 仁(カイヌマ ヒロシ) 【経歴】 ウスイホーム株式会社 取締役。 大学時代は不動産評価論を専攻。 卒業後、1997年にウスイホーム株式会社入社。売買仲介部門の新人賞を受賞。 2001年、新店の上大岡店店長に就任。以降、各店店長を歴任。特に新店舗の立ち上げを得意とし、後にエリアマネージャーに抜擢される。 2012年より取締役に就任。主に横浜、湘南エリアでの商圏拡大に尽力している。 地域貢献活動にも力を入れ、2021年には創業45周年を機に、SDGs推進に取り組む「ウスイグループSDGs宣言」を制定。 地域密着型営業で築き上げてきた不動産業界のキャリアと実績から、顧客の信頼も厚く、幅広い人脈を持つ。著名人・有名人からの相談や紹介も多い。 【資格】 宅地建物取引士 CPM(米国不動産経営管理士) 日本RSP協会 不動産仲介士 試験問題監修委員 |
執筆者 ウスイホーム株式会社 広報チーム 1976年に神奈川県で創業。お客様と地域の発展のため、住宅に係わるあらゆるお手伝いをさせて頂いております。長年にわたり蓄積してきた知見を活かし、新築戸建てや中古戸建てを検討・購入する際に役立つ最新情報を発信しています。 お問い合わせURL https://www.usui-home.com/contact |