相続税対策として不動産の購入を検討しているものの、「なぜ節税につながるの?」「失敗することはない?」と疑問や不安を感じる方もいるでしょう。
不動産は現金とは相続税評価の方法が異なり、賃貸での活用や小規模宅地等の特例によって、評価額を抑えられることがあります。
一方、節税効果だけで不動産を選ぶと、賃貸経営や将来の売却、遺産分割などのリスクにも注意が必要です。
また、一定の貸付用不動産については、2027年から新しい評価ルールが適用されます。
本記事では、不動産が相続税対策になる仕組みやメリット・デメリット、購入前の注意点をわかりやすく解説します。
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目次
不動産が相続税対策になる3つの仕組み

不動産が相続税対策になるといわれる理由には、現金との評価方法の違いや、賃貸による評価額の軽減、小規模宅地等の特例があります。
ここでは、「評価方法」「賃貸」「特例」という3つの仕組みを順番に見ていきましょう。
現金より不動産のほうが相続税評価額を抑えやすい
相続税は、相続した財産の価額を基に計算します。
現金は基本的にその金額、預貯金は原則として預入残高などが評価の基準です。
一方、土地や建物は、相続税を計算するためのルールに基づいて評価するため、実際の売買価格より相続税評価額が低くなるケースがあります。
主な財産の評価方法は、以下のとおりです。
| 財産 | 相続税評価の基本的な考え方 |
| 現金・預貯金 | 現金はその金額、預貯金は預入残高などを基に評価 |
| 土地 | 路線価方式または倍率方式で評価 |
| 建物 | 固定資産税評価額を基に評価 |
土地の評価方法の一つである路線価方式は、道路ごとに設定された路線価を基に土地の面積や形状などを考慮して評価する方法です。
路線価は、地価公示価格等を基にした価格の80%程度を目途に設定されています。
路線価が設定されていない地域では、固定資産税評価額に国税局長が定める一定の倍率を乗じる「倍率方式」で評価します。
建物の相続税評価額は、原則として固定資産税評価額を基に評価します。
ただし、一定の居住用の区分所有財産では、固定資産税評価額などに区分所有補正率を反映して評価します。
このように、不動産は購入価格や市場で取引される価格をそのまま相続税評価額とするわけではありません。
そのため、一般的に不動産は、購入に充てた現金よりも相続税評価額が低くなり、相続財産全体の評価額を抑える効果が期待できます。
ただし、不動産を購入すれば必ず評価額が下がるわけではありません。
購入価格や物件の状況などによって異なるため、相続税対策では購入前に評価額を確認することが重要です。
賃貸すると土地・建物の評価額をさらに抑えられる
所有する土地にアパートなどを建てて賃貸すると、土地や建物の相続税評価額をさらに抑えられます。
これは、入居者がいる賃貸不動産は、所有者が自由に利用できないことを考慮して評価されるためです。
賃貸用の建物が建っている土地は「貸家建付地」として、自分で利用する土地(自用地)よりも低く評価されます。
具体的には、自用地としての評価額から、借地権割合・借家権割合・賃貸割合を基に算出した金額を差し引く仕組みです。
建物についても、賃貸している場合の評価は「貸家」です。
固定資産税評価額から、借家権割合と賃貸割合を基に算出した金額を差し引くため、自分で使用する建物より評価額が低くなります。
このように、アパートなどの賃貸不動産では、土地と建物の両方で相続税評価額を抑えられるため、相続税対策につながります。
小規模宅地等の特例で土地の評価額をさらに減額できる
不動産を活用した相続税対策では、条件を満たすことで相続税評価額を段階的に抑えられます。
| 段階 | 仕組み |
| ①不動産として評価 | 現金を不動産に替えると、土地は路線価方式など、建物は固定資産税評価額を基に評価 |
| ②賃貸による評価減 | アパートなどを賃貸すると、土地は貸家建付地、建物は貸家として評価 |
| ③特例による減額 | 一定の要件を満たす土地には「小規模宅地等の特例」を適用 |
③の小規模宅地等の特例では、アパートの敷地が「貸付事業用宅地等」に該当する場合、200㎡までの部分について評価額を50%減額できます。
アパートの敷地を例に、特例の対象となる敷地全体が200㎡以内で、その他の適用要件も満たすものとして、②から③へ評価額が下がる流れを見てみましょう。
| 自用地としての評価額:5,000万円 ↓賃貸して貸家建付地として評価 (前提条件:借地権割合60%・借家権割合30%・賃貸割合100%) 5,000万円×(1-借地権割合60%×借家権割合30%×賃貸割合100%) =4,100万円 ↓小規模宅地等の特例(貸付事業用宅地等)を適用 4,100万円×50% =2,050万円 |
この例では、不動産として評価した土地を賃貸することで評価額が下がり、特例の適用によってさらに減額されています。
ただし、実際の評価額や特例を利用できるかどうかは、土地の状況や賃貸割合、特例の要件などによって異なります。
不動産を活用した相続税対策のメリット・デメリット

不動産を活用した相続税対策には、評価額を抑えられるだけでなく、家賃収入を得られるなどのメリットがあります。
一方で、賃貸経営や遺産分割に関するリスクもあります。メリットとデメリットの両面を確認しておきましょう。
不動産を活用した相続税対策のメリット
不動産を活用した相続税対策の主なメリットは、以下のとおりです。
| メリット | ポイント |
| 相続税評価額を抑えやすい | 現金とは評価方法が異なり、相続税評価額を抑えられる |
| 賃貸による評価減がある | 土地は貸家建付地、建物は貸家として評価される |
| 特例による減額を受けられる | 要件を満たす土地には小規模宅地等の特例を利用できる |
| 家賃収入を得られる | 継続的な収入を期待できる |
不動産は、相続税対策と資産活用を両立できる点が大きなメリットです。
特に土地は、不動産としての評価に加え、賃貸や特例による評価減も期待できます。
また、賃貸不動産は相続までの間に家賃収入を得られ、相続後は賃貸を続けるほか、売却する選択肢もあります。
不動産を活用した相続税対策のデメリット
一方、不動産は相続税評価額を抑えられても、資産そのものの価値が高まるとは限りません。主なデメリットは以下のとおりです。
| デメリット | ポイント |
| すぐに現金化しにくい | 売却には買主を探す期間や手続きが必要 |
| 賃貸経営にリスクがある | 空室によって想定した家賃収入を得られないことがある |
| 維持・管理に費用がかかる | 管理費や修繕費、固定資産税などがかかる |
| 相続人で分けにくい | 現金のように均等な分割が難しい |
| 資産価値が下がる可能性がある | 市場の変化や地域の需要低下によって価格が下落することがある |
注意したいのは、「節税効果だけを見て不動産を購入しないこと」です。
相続税を抑えられても、空室が続いて家賃収入が減ったり、多額の修繕費がかかったりするほか、希望する価格で売却できない可能性もあります。
相続税対策として不動産を購入する際の注意点

不動産による相続税対策は、評価額を抑えることだけを目的にすると、思わぬ損失や相続後のトラブルにつながるおそれがあります。
購入する際は、税金だけでなく、収益性や資産価値、相続後のことまで考えて検討しましょう。
節税効果だけでなく収益性や資産価値も確認する
相続税評価額を抑えられても、購入した不動産の収益性が低かったり、資産価値が下がったりすれば、資産全体では不利益になる可能性があります。
特に賃貸不動産を購入する場合は、次の点を確認しましょう。
- 立地や周辺の賃貸需要
- 想定される家賃収入や利回り
- 管理費や修繕費などの維持コスト
- 将来的な資産価値
- 売却する場合の売りやすさ
たとえば、想定より空室が多ければ十分な家賃収入を得られません。
また、予想以上の修繕費や、市場の変化・地域の需要低下による資産価値の下落にも注意が必要です。
相続税の節税額だけでなく、保有中の収益性や将来の売却まで見据えて物件を選びましょう。
相続後の管理や遺産分割まで考える
賃貸不動産を購入する際は、相続が発生した後に誰が管理・運用するのかも考えておく必要があります。
アパートなどの賃貸経営では、相続後も入居者への対応や建物の修繕、家賃の管理などが必要です。
管理会社へ委託する方法もありますが、その場合は管理費用がかかります。
また、不動産は現金のように相続人で分けることが難しい財産です。
複数の相続人で共有すると、管理方法や将来の売却をめぐって意見が分かれる可能性もあります。
相続税の負担だけでなく、誰が不動産を相続するのか、賃貸経営を続けるのか、将来売却するのかまで家族で話し合っておきましょう。
貸付用不動産は取得時期と最新の評価ルールを確認する
相続税対策として貸付用不動産を購入する場合は、取得時期にも注意が必要です。
2026年度(令和8年度)の税制改正では、課税時期前5年以内に対価を伴う取引で取得・新築した一定の貸付用不動産について、評価方法を見直すこととされています。
つまり、2027年1月1日以後の相続などでは、相続前5年以内に対価を伴う取引で取得・新築した一定の貸付用不動産は、原則として相続時の通常の取引価額に相当する金額で評価されます。
課税上の弊害がない場合は、取得価額を基に地価変動などを考慮して計算した価額の80%相当額で評価できるとされています。
そのため、改正前に取得・新築した物件でも、相続開始時点で取得等から5年以内であれば、新しい評価方法の対象となる場合があります。
ただし、一定の経過措置も設けられているため、個別の取り扱いについては確認が必要です。
なお、小規模宅地等の特例には、貸付事業を始めた時期に関する「3年」のルールが別にあります。
相続税対策として不動産を購入する際は、最新の評価ルールを確認しておきましょう。
税務と不動産の両面から専門家に相談する
不動産を活用した相続税対策では、税額だけでなく、収益性や資産価値、相続後の活用方法まで考える必要があります。
また、相続対策には不動産の購入や賃貸のほか、生前贈与や法人化なども検討の対象です。
資産の総額や種類、相続人の構成、家族の希望などによって、適した相続税対策は異なります。
税務面では、相続税への影響や特例を利用できるか、納税資金を確保できるかなどを税理士に確認しましょう。
不動産面では、立地や賃貸需要、収益性、資産価値、将来の売却可能性などを不動産会社へ相談できます。
不動産の購入に多くの現金を使うと、相続税を支払うための資金が不足するケースもあります。
税務と不動産の両面から検討し、家族に合った対策を選びましょう。
相続税対策として不動産を検討するならウスイホームへ

相続税対策として不動産を購入する際は、節税効果だけでなく、賃貸需要や収益性、資産価値、将来の売却まで考える必要があります。
ウスイホームは1976年の創業以来、横浜・湘南・横須賀エリアを中心に地域密着で不動産に関するご相談に対応してきました。
不動産の購入・売却はもちろん、土地活用の疑問やお悩みについてもご相談いただけます。
必要に応じて、税理士などの専門家のご紹介も可能です。
相続税対策として不動産の購入や活用をお考えの方は、お気軽にウスイホームへご相談ください。
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不動産による相続税対策は将来まで考えて検討しよう

相続税対策に不動産が活用される理由は、現金と相続税評価の方法が異なることにあります。
賃貸での活用や小規模宅地等の特例によって、相続税評価額を抑えられることがあるためです。
ただし、相続税を抑えることだけを目的に購入すると、空室や維持費、資産価値の低下、遺産分割時のトラブルにつながるおそれがあります。
貸付用不動産については、2027年からの新しい評価ルールにも注意が必要です。
税務と不動産の両面から検討し、家族の希望や相続後の活用まで見据えて、自分に合った相続税対策を進めましょう。
| 監修者 海沼 仁(カイヌマ ヒロシ) ウスイホーム株式会社 代表取締役社長 【経歴】 大学時代は不動産評価論を専攻。 卒業後、1997年にウスイホーム株式会社入社。売買仲介部門の新人賞を受賞。 2001年、新店の上大岡店店長に就任。以降、各店店長を歴任。特に新店舗の立ち上げを得意とし、後にエリアマネージャーに抜擢される。 2012年より取締役に就任。主に横浜、湘南エリアでの商圏拡大に尽力している。 2021年には創業45周年を機に、SDGs推進に取り組む「ウスイグループSDGs宣言」を制定。地域貢献活動にも力を入れている。 2025年4月、ウスイホーム株式会社代表取締役社長に就任。 地域密着型営業で築き上げてきた不動産業界のキャリアと実績から、顧客の信頼も厚く、幅広い人脈を持つ。著名人・有名人からの相談や紹介も多い。 【資格】 宅地建物取引士 CPM(米国不動産経営管理士) 日本RSP協会 不動産仲介士 試験問題監修委員 |
| 執筆者 ウスイホーム株式会社 広報チーム 1976年に神奈川県で創業。お客様と地域の発展のため、横浜・湘南・横須賀エリアで不動産売却のお手伝いをさせて頂いております。長年にわたり蓄積してきた知見を活かし、不動産売却を検討する際に役立つ情報を発信しています。 お問い合わせURL https://www.usui-home.com/contact |