資産運用の不動産物件を個人から法人へ移すための売却を行うと、節税効果や相続対策、経営効率の向上など、多くのメリットが考えられます。しかし一方で、会計処理や人事・労務などの管理の手間やコストが発生します。法人化の手続きにかかる費用も伴うため、慎重な判断をしなくてはなりません。
本記事では、不動産を個人から法人に売却する際の方法や、手続きの注意点について詳しく解説します。最適な不動産管理の選択をするための参考として、ぜひお役立てください。
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不動産の名義を個人から法人に移すメリット
不動産の名義を個人から法人に移すことには、節税効果や金融機関からの融資条件の改善などのメリットがあります。まずは、法人化による主なメリットをご紹介します。
法人化による節税効果
法人に不動産を移す最大のメリットは、個人の所得税率よりも低い法人税が適用される点です。
個人の所得税は累進課税で、所得が高くなるほど税率も上がり、実効税率は5~45%です。一方、法人税の実効税率は29.74%となっているため、不動産収益が高額であれば、法人化することで大きな節税効果が期待できるといえるでしょう。
そして、法人に移すことで認められる項目が増えるのが経費です。修繕費や保険料などは個人でも経費として処理しますが、法人では、法人の事業に関するもの全般が経費として認められます。そのため、収益から差し引ける経費が増えるのです。また、法人の場合は、事業主の給与や社会保険料の会社負担分も経費となります。
不動産を個人から法人へ移すことで、個人所有よりも多くの節税効果が得られるのです。収益性の高い不動産を所有している場合に検討する価値があります。
相続税対策
個人から法人へ不動産を売却することは、相続税対策としても有効で、大きなメリットがあります。
個人所有の不動産は、相続時にその不動産の評価額に基づき相続税が課税されますが、個人から法人へ移すことで、不動産にかかる相続税を軽減できるのです。
個人所有の不動産では評価額が高い場合は相続税が高額になります。不動産が法人の所有であれば株式の持分として評価されるため、不動産そのものの評価額に比べ相続税は低く抑えられるのです。そのため、相続人の税負担は少なくなります。
会社を引き継ぐという形になるため、資産の引き継ぎがスムーズに行える可能性が高くなります。
個人から法人へ不動産の売却は、税負担軽減のための有効な手法として活用を検討すると良いでしょう。
経費としての利用範囲が広がる
個人から法人へ不動産を移すことで、経費として認められる項目が増えるというメリットは前にも述べましたが、個人の場合は、収益から経費を差し引いたものがすべて所得です。しかし、法人では事業主の給与は経費の扱いになり、事業を行うために必要な車両費やガソリン代など、不動産管理に関連する費用も法人経費として処理できます。
さらに、法人が所有する不動産を社宅として事業者が住む場合は、固定資産税や減価償却費は損金算入することも可能です。ただし、事業主は家賃の支払いをするか、現物の役員報酬を受け取っているとして給与で処理する必要があります。
法人化すると、経費が増えるため利益が圧縮され、税負担が軽減されます。不動産の法人化により、より効率的に税務上の優遇を活用できるのが大きなポイントです。
融資を受けやすくなる
不動産を売却して法人化し、事業の拡大を考えている場合には、銀行からの融資を受けやすくなるというメリットは大きいでしょう。
法人が不動産を所有する場合、銀行からの信用評価が個人よりも高くなる傾向があり、融資審査が柔軟になる可能性があるためです。
法人の方が個人より安定した収益や規模があると評価されるため、融資額や金利などが個人よりも有利な条件になる可能性が高くなります。これにより、事業拡大をすることも可能になります。
不動産の名義を個人から法人に移す際の注意点
不動産を個人から法人へ移す際には、注意するべき点がいくつかあります。手続きにかかる費用や税金、社会保険料の増加、法人住民税などデメリットもあるため慎重に判断していきましょう。
名義変更に費用がかかる
不動産を個人から法人に売却した場合、名義変更にかかる費用が発生します。
売却価格に応じて譲渡所得税や登録免許税が課税されるため、売却額が高いほど税金も増えます。また、所有権移転登記には司法書士費用もかかるため、これらのコストを把握して、資金計画をしっかり立てることが重要です。
個人から法人への売却の前に、費用の見積もりを行い、負担が大きくなりすぎないか確認が必要です。
社会保険料が増える可能性がある
不動産を法人化することで、増加する経費が出てきます。
例えば、法人に不動産を移すと、社会保険の負担が個人よりも高くなるケースがあります。役員報酬が高い場合、社会保険料の負担が増えますが、支払いは給与所得者と法人の折半です。また、法人住民税も発生するため、これらの負担額を調査して事前にシミュレーションして検討することが重要です。
社会保険料が増える可能性がある
不動産を法人化することで、増加する経費が出てきます。
例えば、法人に不動産を移すと、社会保険の負担が個人よりも高くなるケースがあります。役員報酬が高い場合、社会保険料の負担が増えますが、支払いは給与所得者と法人の折半です。また、法人住民税も発生するため、これらの負担額を調査して事前にシミュレーションして検討することが重要です。
赤字でも法人住民税が発生する
法人化した場合は、決算が赤字であっても法人住民税は支払わなくてはなりません。
自社の決算期に毎年決算を行う必要があり、たとえ利益が出なくても「均等割」という最低限の法人住民税を支払わなくてはなりません。また、決算の方法が個人での不動産経営とは異なるのも法人特有です。
法人では、申告のための決算方法や書類作成が複雑なため、税理士に依頼する必要も出てきます。この場合には、費用が発生するため、これらの点も含めて法人化することによりコストの増加を考慮して、個人から法人へ不動産を移すことのメリットを再考する必要も出てくるでしょう。
ローン支払い中の不動産の取り扱い
ローンの残高がある不動産を個人から法人へ移す場合は、金融機関の同意が必要です。法人がローンを引き継ぐのが難しい場合は、売却代金を利用してローンを完済する必要があります。
不動産を移転させる前に金融機関と十分に相談し、ローンの取り扱いについて必ず相談しましょう。金融機関の同意を得ずに名義の変更を行うことは、ローン契約に違反するため行えません。
法人が融資条件を満たさない場合、個人のローンに代わる融資ができない可能性があるため、事前の計画と調整が重要になります。
不動産を個人から法人へ売却する方法
不動産を法人に無償で贈与する方法をとった場合には、贈与、売却、現物出資などの方法があります。それぞれに異なるメリットとデメリットがあり、どの方法が最適かは、かかる費用や節税できる税金、手続きの手間を比較検討して決定しましょう。
贈与による移転
不動産を法人に無償で贈与する方法では、贈与税が発生します。
贈与税の負担が大きくなる場合もあり、法人化のメリットである節税に有利になるとは限りません。
贈与による移転が節税効果をもたらすかどうか、事前にシミュレーションして確認しましょう。贈与を検討する際には、税理士や権利移転に詳しい不動産会社などの専門家に相談することをおすすめします。
売却による移転
不動産を個人から法人へ売却する方法は、よく使われる一般的な手段です。 この際の重要なポイントは、不動産を適正な価格で法人に譲渡することです。 ただし、売却益に対して譲渡所得税がかかるため、税金面の負担を考慮して計画を立てる必要があります。特に税額が大きくなる可能性もあるため、事前に専門家に相談し、シミュレーションを行いましょう。
現物出資による移転
不動産を法人に現物出資するという方法もあります。
売却益が発生しないため、譲渡所得税が加算されないメリットは大きいでしょう。また、贈与税も不要となり、節税効果が期待できます。この場合、出資された不動産は法人の資本金として扱われることになります。
ただし、現物出資による移転は手続きが複雑なため、司法書士や税理士のサポートが必須です。ポイントとなる、不動産の評価や資本金への繰り入れ方法について、事前に専門家に相談して進めることが大切です。
建物だけを移転し土地は個人のまま
建物だけを法人に移し、土地は個人名義のままにしておく方法もあります。
節税効果が期待できる一つの手段です。これは、建物の収益は法人が受け取るため、法人税率が適用されて節税が可能になります。また、建物を法人に移転することで、相続時の税負担を分散させることができます。土地と建物は別個の不動産であるため、土地だけ、建物だけの所有も可能なのです。
ただし、注意点としては、個人の土地の上に法人の建物が建っているため、法人がその土地を借りているとみなされます。税務上「借地権」の認定課税が発生する可能性があり、想定外の税金が課せられることになります。
「土地の無償返還に関する届出書」を税務署に提出することで回避できるため、事前に税理士など専門家のアドバイスを受けて、適切な手続きを進めましょう。
不動産を個人から法人へ移す場合は、複雑な手続きを踏む必要があります。間違いがあった場合は大きなリスクとなるため、必ず専門家のサポートを受けて取り組むことをおすすめします。
法人に不動産を売却する際の評価方法
法人に不動産を売却する際、適正な評価額の設定は重要なポイントです。
不動産を個人から法人へ売却する場合、適正な価格を設定した取引が行われないと、税務署から調査を受ける可能性があります。評価額が安すぎると、贈与とみなされて贈与税が課され、高すぎると譲渡所得税の負担が増えて節税効果が薄れてしまいます。
不動産を評価し設定する際に、基準とするのは時価です。時価には以下の5つの価格と、査定と鑑定評価書の価格があります。公示価格を基に考えた場合、それぞれの価格には違いがありますが、これらを基に、売却額を設定していきます。
・公示価格
・路線価(公示価格の約80%)
・基準地価(公示価格とほぼ同額)
・固定資産税評価額(公示価格の約70%)
・実勢価格
・不動産会社による無料の査定書
・不動産鑑定士による鑑定評価書
不動産鑑定士による評価は、税務署への説明にも強力な根拠となります。しかし、鑑定費用は一般的に20万〜30万円程度かかるため、費用を考慮に入れて適切な評価方法を選ぶと良いでしょう。
不動産を個人から法人に売却する際の税金の取り扱い
個人から法人へ不動産を売却すると、譲渡所得税や消費税、登録免許税などが発生します。税金は不動産の評価額によっては、高額になりますので、事前にしっかり確認・計算し、適切な対策を講じましょう。
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譲渡所得税
不動産を売却する際、土地には消費税がかかりませんが、建物部分に対しては消費税がかかります。これは、土地は消費の対象にならないため非課税となるためです。個人から法人へ建物を売却した場合、建物に対してのみ消費税が発生します。
買主となる法人が消費税を負担するため、売却価格の計算は消費税分を含めて計画する必要があります。
消費税を含む税金については事前に専門家に相談しましょう。税務署の調査で間違いを指摘され思わぬ税金がかかることのないよう、税金処理について適切な対応をとることが大切です。
登録免許税と不動産取得税
不動産を法人に売却する際、登録免許税と不動産取得税が発生します。登録免許税は、登記を変更する際にかかる税金で、不動産の評価額に応じて計算され、売買の際の税率は2%です。売主は登録を依頼した司法書士からの請求書で支払いますが、司法書士は登記の際に法務局に納めます。
また、不動産取得税は、不動産を取得した際に都道府県に支払う地方税です。法人が不動産を取得すると、固定資産評価額に基づいて課税されます。税額は4%です。取得費用に組み込んでおく必要があります。不動産取得後6か月〜1年半程度で届く「納税通知書」で納付します。
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不動産を個人から法人へ売却する際には、複雑な手続きや税務上のリスクを回避するため、専門的な知識が必要です。売却時の評価方法や税金の取り扱いの誤りは、大きなトラブルにつながります。重要な手続きを含むからこそ、地域密着型で豊富な実績を持つウスイホームにお任せください。
ウスイホームは、横須賀・横浜・湘南エリアで長年にわたり不動産売却から、購入、リフォーム、資産運用、相続対策にいたるまでをトータルでサポートするワンストップサービスを提供しています。
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不動産を個人から法人へ移す計画はプロに相談が必須
個人所有の不動産を法人に売却する際には、節税や相続対策といったメリットが期待できますが、同時に税金や手続きの費用が発生するデメリットもあります。
法人設立費用や税務リスクをしっかりシミュレーションし、損得を見極めることが大切です。専門家との相談を通じて、最適な方法を選ぶことが非常に重要といえます。
法人化に詳しい不動産会社や税理士にまず相談することで、安心して最適な方法を選択できるでしょう。
監修者 海沼 仁(カイヌマ ヒロシ) 【経歴】 ウスイホーム株式会社 取締役。 大学時代は不動産評価論を専攻。 卒業後、1997年にウスイホーム株式会社入社。売買仲介部門の新人賞を受賞。 2001年、新店の上大岡店店長に就任。以降、各店店長を歴任。特に新店舗の立ち上げを得意とし、後にエリアマネージャーに抜擢される。 2012年より取締役に就任。主に横浜、湘南エリアでの商圏拡大に尽力している。 地域貢献活動にも力を入れ、2021年には創業45周年を機に、SDGs推進に取り組む「ウスイグループSDGs宣言」を制定。 地域密着型営業で築き上げてきた不動産業界のキャリアと実績から、顧客の信頼も厚く、幅広い人脈を持つ。著名人・有名人からの相談や紹介も多い。 【資格】 宅地建物取引士 CPM(米国不動産経営管理士) 日本RSP協会 不動産仲介士 試験問題監修委員 |
執筆者 ウスイホーム株式会社 広報チーム 1976年に神奈川県で創業。お客様と地域の発展のため、住宅に係わるあらゆるお手伝いをさせて頂いております。長年にわたり蓄積してきた知見を活かし、新築戸建てや中古戸建てを検討・購入する際に役立つ最新情報を発信しています。 お問い合わせURL https://www.usui-home.com/contact |