土地売却では一般的に司法書士に登記などの手続きを依頼します。
しかし、初めての不動産売却では「何をしてもらい、費用はいくらかかるのか」「売主と買主のどちらが払うのか」などわかりにくい部分も多いでしょう。
土地売却に伴う登記には、いくつかの種類があり、誰が費用を負担するかは手続きの内容によって異なります。
そこでこの記事では、土地売却時の司法書士費用の相場や負担者、司法書士に依頼するメリットと、決済当日の流れまでをわかりやすく解説します。
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目次
土地売却時の司法書士費用の相場

土地売却で売主が負担する司法書士費用は、必要な登記の種類によって変わります。
まずは、どのような費用が発生するのか、相場はどれくらいかを確認しましょう。
司法書士費用の内訳
司法書士費用とは、法務局への申請をはじめとする専門的な登記手続きを、司法書士に代理で依頼する際に発生する費用です。
主な内訳は次のとおりです。
| 費用の種類 | 内容 |
| 司法書士報酬 | 手続きや書類確認などの代理業務への報酬 |
| 登録免許税 | 登記申請時に国へ納める税金 |
| 証明書取得費用 | 登記事項証明書や住民票などの取得費 |
| 実費 | 郵送費や交通費など |
見積もりを確認する際は、司法書士報酬と登録免許税・実費が明確に区分されているかをチェックすることが重要です。
総額のみが記載されている場合、どの費用にいくらかかっているのか把握しにくくなります。
一方で、内訳が明示されていれば費用の妥当性を判断しやすく、複数の司法書士事務所を比較する際にも役立つでしょう。
なお、司法書士報酬は事務所ごとに設定額が異なります。
これに対し、登録免許税は法律で定められた税金であり、依頼先によって金額が変わることはありません。
抵当権抹消登記の費用相場
抵当権とは、住宅ローンを融資した金融機関が担保として土地や建物に設定する権利です。
抵当権が残った状態でも所有権移転登記は可能ですが、一般的な不動産売買では、買主へ抵当権のない状態で引き渡す必要があります。
そのため、売却時には住宅ローンを完済したうえで、抵当権抹消登記を行うのが通常です。
抵当権抹消登記の費用目安は次のとおりです。
| 項目 | 費用の目安 |
| 登録免許税 | 不動産1個につき1,000円 |
| 司法書士報酬 | 1万~2万円程度 |
| 証明書取得費・郵送費など | 数千円程度 |
抵当権抹消登記では、不動産1個につき登録免許税が1,000円かかります。
土地1筆のみであれば登録免許税は1,000円です。土地と建物の両方が対象となる場合は2,000円となり、不動産の数に応じて費用が増加します。
住所変更登記・氏名変更登記の費用相場
登記簿上の住所や氏名が現在の情報と異なる場合は、売却時の本人確認を適切に行うため、住所変更登記または氏名変更登記が必要となります。
費用の目安は次のとおりです。
| 項目 | 費用の目安 |
| 登録免許税 | 不動産1個につき1,000円 |
| 司法書士報酬 | 1万~2万円程度 |
| 住民票・戸籍附票などの取得費 | 数百円~数千円程度 |
登記簿上の住所や氏名と現在の情報が一致していない場合は、所有権移転登記の前提として変更登記が必要になります。
これらの手続きは、引き渡し日(決済日)に行う所有権移転登記とあわせて進めるケースが一般的です。
一方で、長期間所有している土地では、転居や結婚などによる変更内容が登記簿へ反映されていないことも少なくありません。
そのため、売却を検討し始めた段階で登記事項証明書(登記簿謄本)を確認し、住所や氏名に変更がないか確認しておくと安心です。
事前に状況を把握しておけば、決済直前の手続き漏れやスケジュールの遅延を防ぎやすくなります。
相続登記がまだの場合の費用相場
相続した土地を売却する際は、亡くなった方の名義のままでは手続きを進められません。まずは相続人名義へ変更するための相続登記が必要です。
相続登記を司法書士へ依頼する場合、報酬の目安は6万〜15万円程度となります。
費用は相続人の人数や必要書類の量、遺産分割協議書の作成支援の有無などによって変動します。
相続人が多いケースや権利関係が複雑なケースでは、手続きに時間と費用がかかりやすいため、売却を検討している段階で早めに司法書士へ相談しておくことが大切です。
また、相続登記が完了していなければ売却活動や決済手続きに影響するおそれもあります。
スムーズな売却につなげるためにも、必要書類の収集や手続きを計画的に進めておきましょう。
引き渡し時の立ち会い費用の相場
土地売却の決済日には、売主・買主・仲介を担当する不動産会社・司法書士が同席し、売買代金の受け渡しや登記に必要な書類の確認を行います。
決済は金融機関で実施されることが多く、司法書士は本人確認や提出書類の内容を確認したうえで、所有権移転登記などの手続きを進められる状態かをチェックします。
決済時の立ち会い費用は司法書士報酬に含まれている場合もありますが、別途請求される場合は1万~2万円程度が目安です。
ただし、料金体系は司法書士事務所によって異なるため、立ち会い費用を個別に設定しているケースも見られます。
見積もりを確認する際は、立ち会い費用が司法書士報酬に含まれているのか、それとも別途必要になるのかを事前に確認しておくと安心でしょう。
費用が高くなりやすいケース
司法書士費用は、手続きの内容が複雑になるほど高くなる傾向があります。
例えば、次のようなケースです。
- 相続人が多い
- 土地や建物などの不動産が複数ある
- 登記簿上の住所や氏名の変更履歴が多い
- 過去の相続登記が未了となっている
- 必要書類の収集が複雑で時間を要する
- 共有名義で所有者全員の確認が必要となる
特に相続登記では、相続人の確定や戸籍の収集などに多くの手間がかかるため、早めに準備を進めることが重要です。
また、不動産の数が多い場合や権利関係が複雑な場合は、確認作業や申請手続きの負担が増えることから、費用が加算されるケースも見られます。
見積もりを依頼する際は、どのような作業に費用が発生するのか内訳まで確認しておくと安心でしょう。
不動産売却時の司法書士費用は「売主」「買主」どちらが負担する?

土地売却では、売主と買主で負担する司法書士費用が異なります。どちらが何を負担するのか、あらかじめ確認しておきましょう。
売主・買主それぞれが負担する費用
土地売却に伴う登記費用は、一般的に売主と買主で負担する内容が分かれています。
]売主は売却前に必要となる登記手続きを負担し、買主は不動産の取得に伴う登記費用を負担するのが基本です。
主な負担区分は次のとおりです。
| 負担者 | 主な登記 | 手続き内容 |
| 売主 | 抵当権抹消登記 | 住宅ローンの担保を外す |
| 住所変更登記・氏名変更登記 | 登記簿上の住所・氏名を現在の内容に合わせる | |
| 相続登記 | 亡くなった方の名義から相続人(売主)名義へ変更 | |
| 買主 | 所有権移転登記 | 売主から買主へ名義を移す |
| 抵当権設定登記 | 住宅ローンを利用する際に担保を設定する |
売主側で必要な登記手続きが完了していない場合、土地売却の手続きが進められなくなる可能性があります。
特に、相続登記が未了のケースや住宅ローンが残っているケースでは、売却スケジュールへ影響が及ぶおそれもあります。
手続きを円滑に進めるためにも、売却を検討し始めた段階で必要な登記の有無を確認しておくことが重要です。
費用負担は契約内容で変わる場合もある
民法では、売買契約に関する費用は当事者双方が等しい割合で負担するものと定められています。
ただし、不動産売買の実務では、所有権移転登記にかかる登録免許税や司法書士費用は買主が負担するのが一般的です。
一方、抵当権抹消登記や住所変更登記、氏名変更登記など、売主側の事情によって必要となる登記費用は売主が負担するのが通常とされています。
もっとも、こうした費用負担のルールが法律によって一律に決められているわけではありません。
売買契約の内容によっては、一般的な負担区分と異なる取り決めが行われるケースもあります。
実際の負担区分は売買契約書に明記されるため、契約締結前の段階で不動産会社へ確認しておくと安心でしょう。
司法書士は誰が指定する?
土地売却では、不動産会社や金融機関から司法書士を紹介されることが少なくありません。
買主が住宅ローンを利用する場合は、金融機関が指定する司法書士が所有権移転登記や抵当権設定登記を担当するのが一般的です。
これは、融資の実行と登記手続きを安全かつ確実に進める必要があるためです。
一方、買主が住宅ローンを利用しないケースでは、不動産会社の提携司法書士を紹介されることが多く見られます。
ただし、買主自身が司法書士を選任したり、売主と買主が協議して依頼先を決めたりする場合もあります。
また、売却前に必要となる相続登記や住所変更登記などについては、売主が自ら依頼先を選ぶのが通常です。
依頼先の選定に迷ったときは、不動産会社へ相談すると手続きを円滑に進めやすくなります。
土地売却では司法書士に依頼が必要?依頼しない場合のリスクとは

登記手続きは自分で行える場合もあります。しかし、土地売却では決済や登記のタイミングが非常に重要になるため、司法書士へ依頼するケースが一般的です。
土地売却における司法書士の役割
司法書士は、土地売却に伴う登記手続きを適正かつ円滑に進めるための専門家です。
抵当権抹消登記や所有権移転登記に関する手続きを担うほか、売主・買主の本人確認や意思確認を行い、不動産取引の安全性を支える役割も担います。
主な役割は次のとおりです。
- 売主・買主の本人確認と売却意思の確認
- 登記識別情報(権利証)や必要書類の確認
- 決済当日の立ち会いと登記申請手続き
- 抵当権抹消登記や所有権移転登記に関するサポート
司法書士は、登記手続きだけでなく、不動産取引の安全性を確保する重要な役割を担っています。
決済当日は、司法書士が本人確認や必要書類の確認を行い、登記申請に必要な条件が整っているかを確認します。
その後、売買代金の支払いと物件の引き渡しが行われ、登記申請へと進みます。
権利関係に問題がないかを確認しながら手続きを進めるため、売主・買主ともに安心して取引を進めやすくなるでしょう。
司法書士に依頼するメリット
司法書士に依頼する最大のメリットは、登記手続きのミスや遅延を防ぎながら、安全に土地売却を進められることです。
登記申請では、必要書類や申請内容に不備があると、法務局から補正や再提出を求められる場合があります。
その結果、決済日(引き渡し日)のスケジュールに影響が生じる可能性も否定できません。
また、登記手続きは専門的な知識が求められるため、自分で調べながら進めるには多くの時間と手間を要します。
書類収集や申請内容の確認など、慣れない作業に負担を感じる方も少なくないでしょう。
司法書士へ依頼すると、登記手続きを適切に進められるだけでなく、不動産会社や金融機関との調整も任せられます。
そのため、売主の負担を軽減しながら、円滑かつ確実な取引につなげやすくなります。
自分で登記する場合のリスク
登記手続きを自分で行うこと自体に法律上の問題はありません。
ただし、申請書の作成や必要書類の収集、法務局とのやり取りまで、すべてを自身で進める必要があります。
そのため、手続きに不慣れな場合は想定以上に時間がかかり、決済日までに準備が間に合わないおそれがあります。
具体的なトラブルとして、次のようなケースが挙げられます。
- 書類に不備が見つかり、何度も修正や再提出を求められる
- 法務局への訪問回数が増え、手続き完了までに時間を要する
- 登記手続きの遅れによって、買主や金融機関と予定していた決済日に間に合わなくなる
手続きの遅延が発生すると、買主や金融機関に不安を与え、取引全体へ影響を及ぼす可能性も否定できません。
特に住宅ローンが残っている土地の売却では、決済当日にローン完済と所有権移転に関する手続きを正確に進める必要があります。
費用を抑えられる点は自分で登記するメリットですが、不動産取引の安全性や確実性を重視するのであれば、司法書士への依頼を検討した方が安心といえるでしょう。
司法書士への依頼チェックリスト
土地売却時に、次の条件に1つでも当てはまる場合は、最初から司法書士へ依頼することをおすすめします。
| チェック | 土地の状況 | 司法書士に依頼すべき理由 |
| □ | 住宅ローンが残っている | 売却代金の受領と同時に、抵当権抹消登記を確実に進める必要があるため |
| □ | 相続した土地を売却する | 戸籍収集や相続登記など、専門的な手続きが必要になるため |
| □ | 登記簿上の住所・氏名が現在と異なる | 住民票や戸籍などを用いて、同一人物であることを証明しなければならないため |
| □ | 共有名義になっている | 共有者全員の同意や必要書類の準備が求められるため |
| □ | 初めて土地売却を行う | 手続き上のミスや認識違いによるトラブルを防ぎやすくなるため |
これらのケースでは手続きが複雑になりやすいため、司法書士へ依頼したほうが安全かつ円滑に進めやすくなります。
特に、相続登記や抵当権抹消登記が必要な場合は、書類収集や申請手続きに多くの手間がかかります。
自分で対応できないわけではありませんが、準備不足や書類不備によって決済スケジュールへ影響が及ぶおそれもあります。
少しでも不安を感じる場合は、早めに不動産会社へ相談しておくと安心です。
状況に応じて信頼できる司法書士を紹介してもらえるため、手続きをスムーズに進めやすくなるでしょう。
土地売却時に司法書士へ依頼する流れ

司法書士へ依頼するタイミングや流れを知っておくと、土地売却の準備を安心して進めていけます。ここでは一般的な流れを紹介します。
不動産会社から司法書士を紹介してもらう
土地を売却する際は、決済日に所有権移転登記や抵当権抹消登記などの手続きを行うため、司法書士へ依頼するのが一般的です。
買主が住宅ローンを利用するケースでは、金融機関や不動産会社から紹介された司法書士が登記手続きを担当することが多いでしょう。
ただし、相続した土地を売却する場合は注意が必要です。
相続登記が完了していなければ売却手続きを進められないため、売却活動を始める前、または売却活動と並行して手続きを進める必要があります。
相続登記や住所変更登記を早めに済ませておくことで、その後の売買契約や決済手続きを円滑に進めやすくなります。
懇意にしている司法書士がいない場合は、売却を依頼している不動産会社へ相談するとよいでしょう。
提携先を紹介してもらえれば、必要な登記手続きから売却完了まで一貫してサポートを受けられ、安心して取引を進められます。
必要書類を準備する
司法書士へ登記手続きを依頼する際は、事前に必要書類をそろえておく必要があります。
売買による所有権移転登記では、登記識別情報(権利証)や印鑑証明書、本人確認書類、固定資産評価証明書などの提出を求められるのが一般的です。
売主が準備する主な書類は、次のとおりです。
| 書類 | 主な役割・使い道 |
| 登記識別情報(または権利証) | 土地の所有者であることを証明する書類 |
| 印鑑証明書 | 実印による本人確認に使用する書類 |
| 本人確認書類 | 運転免許証やマイナンバーカードなどによる本人確認 |
| 固定資産評価証明書 | 登録免許税などの計算に使用 |
| 住民票・戸籍関連書類 | 登記簿上の住所や氏名と現在の情報が異なる場合に使用 |
必要書類の内容は、住所変更の有無や相続登記の状況などによって異なるため、早い段階で司法書士へ確認しておくことが重要です。
特に相続した土地を売却する場合は、戸籍謄本や遺産分割協議書など追加書類が必要になることがあります。
準備に時間を要するケースもあるため、売却スケジュールに余裕を持って手続きを進めると安心です。
決済当日の本人確認と手続き
売却の最終日である決済日には、売主・買主・司法書士・不動産会社などの関係者が集まり、代金決済と登記手続きを進めます。一般的な流れは次のとおりです。
| タイミング | 当日の流れ・手続き |
| ①本人・売却意思の確認 | 司法書士が売主・買主の本人確認を行い、売却・購入の意思を確認します。 |
| ②書類の最終確認 | 登記識別情報(権利証)や印鑑証明書、本人確認書類などを確認し、登記申請に必要な書類が揃っているかをチェックします。 |
| ③売買代金の振込・着金確認 | 書類に不備がなければ、買主または金融機関から売主へ売買代金が振り込まれます。売主や関係者が着金を確認した後、次の手続きへ移ります。 |
| ④抵当権抹消書類の確認 | 住宅ローンが残っている場合は、ローン完済後に金融機関から抵当権抹消に必要な書類を受け取ります。 |
| ⑤法務局への登記申請 | すべての確認が完了した後、司法書士が所有権移転登記や抵当権抹消登記などを法務局へ申請します。 |
決済当日は、振込手続きや着金確認のために待機時間が発生する場合もあります。
所要時間は取引内容や金融機関によって異なるものの、1〜2時間程度で終了するケースが一般的です。
また、登記申請後すぐに登記が完了するわけではありません。
法務局での審査や処理が必要となるため、完了までには数日から2週間程度を要することが多く、時期や地域によってはさらに時間がかかる場合もあります。
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| 監修者 海沼 仁(カイヌマ ヒロシ) ウスイホーム株式会社 代表取締役社長 【経歴】 大学時代は不動産評価論を専攻。 卒業後、1997年にウスイホーム株式会社入社。売買仲介部門の新人賞を受賞。 2001年、新店の上大岡店店長に就任。以降、各店店長を歴任。特に新店舗の立ち上げを得意とし、後にエリアマネージャーに抜擢される。 2012年より取締役に就任。主に横浜、湘南エリアでの商圏拡大に尽力している。 2021年には創業45周年を機に、SDGs推進に取り組む「ウスイグループSDGs宣言」を制定。地域貢献活動にも力を入れている。 2025年4月、ウスイホーム株式会社代表取締役社長に就任。 地域密着型営業で築き上げてきた不動産業界のキャリアと実績から、顧客の信頼も厚く、幅広い人脈を持つ。著名人・有名人からの相談や紹介も多い。 【資格】 宅地建物取引士 CPM(米国不動産経営管理士) 日本RSP協会 不動産仲介士 試験問題監修委員 |
| 執筆者 ウスイホーム株式会社 広報チーム 1976年に神奈川県で創業。横浜・湘南・横須賀エリアで多くの方々の土地売却をサポートさせて頂いております。長年にわたり蓄積してきた知見を活かし、土地の売却を検討する際に役立つ情報を発信しています。 お問い合わせURL https://www.usui-home.com/contact |