一戸建て

戸建て電気代の平均とは?省エネ住宅やアンペアなど節約術を紹介

公開日: 最終更新日:
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「毎月の電気代が高い…」「他の家庭よりも高い気がする…」など自宅の毎月の電気代が気になっている方も多いでしょう。

また、マンションや賃貸アパートから戸建て(一戸建て※本記事では「戸建て」と呼びます)購入や引っ越しを検討されている方も、戸建ての電気代は気になるところです。

本記事では、戸建て住宅の平均的な電気代、集合住宅と比較した場合の違いや原因について解説。経済産業省や環境省が推進する話題の省エネ住宅や断熱リフォーム、アンペア数などの工夫でできる身近な電気代節約術について紹介します。

監修者 海沼 仁(カイヌマ ヒロシ)

【経歴】
ウスイホーム株式会社 取締役。

大学時代は不動産評価論を専攻。
卒業後、1997年にウスイホーム株式会社入社。売買仲介部門の新人賞を受賞。
2001年、新店の上大岡店店長に就任。以降、各店店長を歴任。特に新店舗の立ち上げを得意とし、後にエリアマネージャーに抜擢される。
2012年より取締役に就任。主に横浜、湘南エリアでの商圏拡大に尽力している。

地域貢献活動にも力を入れ、2021年には創業45周年を機に、SDGs推進に取り組む「ウスイグループSDGs宣言」を制定。
地域密着型営業で築き上げてきた不動産業界のキャリアと実績から、顧客の信頼も厚く、幅広い人脈を持つ。著名人・有名人からの相談や紹介も多い。

【資格】
宅地建物取引士
CPM(米国不動産経営管理士)
日本RSP協会 不動産仲介士 試験問題監修委員

戸建ての平均的な電気代は?

戸建ての平均的な電気代はどれくらいなのでしょうか?まずは、総務省が行った調査による全国の平均的な電気代について解説し、集合住宅との比較や季節、アンペアの違いによる電気代の差について詳しく紹介します。

平均的な1カ月の電気代は10,000円を超えている

総務省統計局の調査電気代1カ月間の平均価格電気代1年間の平均価格
2019年10,825円129,905円
2020年10,670円128,050円
2021年10,317円123,804円
2022年12,678円152,138円

総務省統計局が毎年行っている家計調査によると、戸建てとは限りませんが、一世帯あたりの年間の電気代の平均価格は上記のとおりです。

2021年までは10,000円を超えるものの一定の水準を維持していましたが、2022年に燃料価格の高騰などが一因となり電気代が高騰しています。前年よりも1カ月の平均価格が2,000円以上増え、大きな家計負担になっています。

参考:
1カ月の電気代の平均価格_総務省統計局|家計調査(家計収支編)
1年間の電気代の平均価格_総務省統計局|家計調査(家計収支編)

戸建てと集合住宅では戸建てが3,200円高い

【8月の平均的な家庭の電気代】

クールネット東京の調査戸建住宅集合住宅
1人世帯  8,424円  7,547円
2人世帯12,355円11,302円
3人世帯15,093円12,952円
4人世帯以上16,813円13,584円

実は、世帯人数が同じでも、戸建てと集合住宅では電気代の平均に違いが見られます。

東京都が運営する「クールネット東京(東京都地球温暖化防止活動推進センター)」の調査で分かった、冷房のピーク時期である8月の「戸建て住宅」と「集合住宅(マンションなど)」それぞれの電気代の平均価格は上記のとおりです。

4人世帯以上では、戸建住宅が16,813円、集合住宅は13,584円と、戸建住宅の方が約3,200円ほど高くなっています。

参考:我が家の使用量は多い少ない?2022年1月調べ/ クールネット東京(東京都地球温暖化防止活動推進センター)

冬場は差が大きくなる

【1月の平均的な家庭の電気代】

クールネット東京の調査戸建て住宅集合住宅
1人世帯10,425円  8,143円
2人世帯16,181円11,794円
3人世帯18,603円14,110円
4人世帯以上21,341円13,268円

外気温とエアコンの温度設定の差が夏よりも大きい冬場は、戸建て住宅・集合住宅に限らず、電気代が高くなる傾向ですが、戸建てと集合住宅の冬場の電気代を比較していくと、差が大きく開きます。

先ほど紹介した「クールネット東京」の調査によると、暖房の使用がピークとなる1月の電気代の平均価格は戸建て住宅で21,341円、集合住宅では13,268円と、約8,000円の大きな差が生じています。

参考:我が家の使用量は多い少ない?2022年1月調べ/ クールネット東京(東京都地球温暖化防止活動推進センター)

戸建ての電気代が高くなる原因は?

戸建ての電気代が高くなることにはいくつかの原因があります。ここでは「住宅」という視点から、「住宅の気密性の違い」「住構造の違い」「一括受電システムの導入」の3つの原因について解説します。

住宅の気密性の違い

戸建て住宅と集合住宅を比較した場合、一般的に、集合住宅の方が住宅の気密性が高いといわれています。

気密性とは住宅の密閉性の高さのことで、外気の侵入を防いだり、室内の空気を逃さない性能のことをいいます。気密性が高い住宅ほど、冷暖房効率がアップし、電気代の節約につながるのです。

最新の戸建て住宅の気密性は非常に高くなっていますが、少し前の戸建て住宅では、集合住宅と比較すると気密性が劣り、電気代高騰の一因になっていると考えられています。

先ほどの「クールネット東京」の調査で、冬場の電気代に大きな差が出ていたのも、この原因がひとつにあると考えられます。

住構造の違い

住居構造の違いも、戸建て住宅の電気代が高くなる原因のひとつです。

一般的に、集合住宅はすべての部屋や廊下が同じ階にありますが、戸建て住宅は1階と2階など複数階に部屋があり、各階の廊下・2階へいく階段など共有部分も多いため、照明代や冷暖房にかかる電気代が高くなる傾向です。

また、戸建て住宅は集合住宅と比べると窓が多いことも電気代が高くなる原因のひとつになっています。夏場の暑い日差しは窓から入り、冬の温かい室内の空気は窓から出ていくといわれているためです。

アンペア数は戸建てが高くなる傾向

アンペア数月の基本料金(税込み)
10A295.24円
15A442.86円
20A590.48円
30A885.72円
40A1,180.96円
50A1,476.20円
60A1,771.44円
(2023年9月現在)

戸建てと集合住宅に限らずですが、個人住宅向けの電気の基本料金には「アンペア制」と「最低料金制」の2種類の料金制度があります。どちらを採用するかは、電力会社などにより異なります。

  • 最低料金制
    基本となる「最低料金」と使用可能な電力量が最初に決まっている料金制度。「最低料金」に含まれる使用可能電力分を超えた場合に、超過した分の電気使用料金を支払う仕組み。
  • アンペア制
    毎月の「基本料金」が決まっているが、最低料金制のように使用可能な電気料金は含まれておらず、使用した電気量ごとの電気代を基本料金にプラスして支払う料金制度。「アンペア数」の違いとは、エアコン・冷蔵庫・テレビ・ドライヤーなど、一度で同時に使用できる「最大電力量」の違いをいう。

アンペア制の場合、戸建て住宅の電気使用量は多いと考えられていることから、60Aなど高めのアンペア数で契約することが多く、そもそもの基本料金が高くなっていることも、戸建て住宅で電気代が高くなる要因になっています。

参考:電気料金制の種類_関西電力

一括受電システムの集合住宅は電気代が安くなる

戸建て住宅よりも電気代を抑えられるといわれているのが、集合住宅で導入されることがある「一括受電システム」です。

一括受電システムとは、各世帯が電力会社と個別に契約するのではなく、割安になる高圧電力を、集合住宅全体で一括受電するシステム(契約)をいいます。各世帯向けには、集合住宅の敷地内にある変電設備を介して、一般家庭向けに低圧電力に変電した電気を分配する仕組みです。

すべての集合住宅に導入されているわけではありませんが、導入されている場合は、個別に契約するよりも電気代が割安になります。集合住宅だからできる節電方法といえるでしょう。

マンションに負けない省エネ戸建て住宅とは?

ここまで紹介してきたように、戸建て住宅では、電気代の安さでマンションに勝ることはないように考える方もいるかもしれません。しかし、省エネ構造の戸建て住宅や、省エネリフォームを行うことで、電気代を節約することが可能です。「省エネ」戸建て住宅について解説します。

省エネ戸建てのZEHについて

戸建て住宅で省エネを実現するポイントは「ZEH(ゼッチ)」です。「ZEH」とは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」のことで、「net Zero Energy House」の頭文字を取って「ZEH(ゼッチ)」と呼ばれています。

断熱性に優れた建築資材を用いて気密性を高めたり、電気設備の効率化を図ったりすることで使用電力を減らすだけでなく、太陽光発電も導入することで電力を創り出し、消費電力量を年間トータルで実質ゼロにすることを目標としています。

ZEHについては経済産業省資源エネルギー庁も推進している注目の省エネ住宅です。これから戸建て住宅の建築や建売住宅の購入を検討している場合は、検討すべき節電対策といえるでしょう。

参考:新しい省エネの家「ZEH」経済産業省資源エネルギー庁

断熱リフォーム

今ある戸建て住宅でも、省エネ仕様にリフォームすれば、省エネは十分に実現できるでしょう。

代表的な省エネリフォームのひとつが、環境省も推進している「断熱リフォーム」です。気密性を高めるために二重窓にしたり、断熱材を補充するリフォームもあります。人気の断熱リフォームには下記のとおりです。

  • 天井断熱
    天井裏に断熱材を敷き詰めることで、冷暖房効果を高める
  • 床断熱
    床下に断熱材や気流止めを入れることで、冬場の底冷えや冷気の侵入を防ぐ
  • 外壁断熱
    外壁に断熱材を施工しておくことで、気密性を高め、冷暖房効率を高める
  • 浴室断熱
    窓や壁、床などを断熱構造にしたり、ユニットバスを断熱タイプに交換したりして暖気の逃げにくい浴室にする

できる限りいろいろな対策を行うのが理想ですが、その分費用がかかるため、現在、もっとも効率が悪いと思われる箇所からピンポイントで施工するのがおすすめです。予算に合わせた対策を検討してみましょう。

参考事例:17万円でできた窓の断熱リフォーム_ウスイホーム

参考:Cool Choice 環境省

今すぐできる節電対策 5選

現在住んでいる戸建て住宅で今すぐ実践できる節電対策があります。まずはここで紹介する5つの節電対策から試してみましょう。

1 アンペア数を下げる

電気契約がアンペア制なら、アンペア数を見直してみましょう。

アンペア数は、「一度に使用できる最大電力量」であるため、同時にたくさんの電気を使わない工夫で、アンペア数を下げても乗り切ることができるでしょう。

例えば、スマホなどの充電は電気の使用が少ない時間帯に行ったり、電気使用量が多いトースターやドライヤーの使用するタイミングに気をつけるといった工夫が有効です。

現在のアンペア数は毎月届く検針票または自宅のブレーカーで確認できます。

2 夏のエアコンはつけっぱなし?消すほうが節電?

エアコンは、実際の室内温度とエアコンの設定温度の差が大きいときに多くの電力を消費するため、電源を入れた立ち上がり時がもっとも電力を消費するといわれています。

家電メーカーのPanasonicの試算によれば、外気温が36度以上の猛暑日に30分程度外出をするだけなら、つけっぱなしの方が節電効果がある一方で、外気温が30度以下なら室温はそこまで上がらないため、こまめに消す方が節電につながるとしています。

判断に迷う場合は、外出時には冷房を30度と高めの温度設定にしておき、帰宅後に27〜28度くらいの適切な温度に設定し直すなどの工夫をするとよいでしょう。

また、エアコンのフィルターをこまめに掃除することも大切です。Panasonicの調査によると、年間で1万円もの差が出ることもあると指摘しています。

原因のひとつは、フィルターが目詰まりをしていると、冷暖房の空気のはき出しが悪くなり、設定室温に至るまでに余計な時間と電力がかかるためです。こまめな掃除を心がけましょう。

参考:Panasonic|「つけっぱなし運転」はおトク?夏の「エアコン」節電ポイント

3 冬の暖房代を節電するポイント

室内と屋外の気温差が大きい冬は電気代が特に高くなる季節です。暖房代を節約するには、温度設定は少し低めの20〜22度を目安にし、洋服を1枚多く着るなどの工夫を取り入れましょう。

暖房の温かい空気は上昇する性質があるため、エアコンの羽根は下に向けるのがポイント。上にいってしまった空気を循環させるため、冬場でもサーキュレーターの使用が効果的です。

また、熱は窓から逃げるため、カーテンを厚手のものに変えたり、ホームセンターなどにある窓用の「断熱シート」の使用もおすすめです。

4 照明代もこまめに対策

蛍光灯シーリングライトLEDシーリングライト
電気代4,447円(年間)  2,223円(年間)
寿命6,000時間40,000時間
電気使用量    136KWh(年間)        68KWh(年間)
引用元:クール・ネット東京|冬の省エネ

家庭の電力で使用量が多いもののひとつは「照明」です。中でも、白熱電球は電気代がかさみます。

節約効果を目指すなら、電球交換のタイミングでLED照明への切り替えを検討しましょう。白熱電球よりも消費電力が低いとされる蛍光灯でも、LEDのシーリングライトに換えるだけで上記のような節約効果が期待できるとの指摘があります。

LED照明へ切り替える際に気をつけたいのが、お風呂場などの密閉された電気器具や断熱材使用器具など、一部の電気器具でLED照明が使用できない点です。はじめてLED照明へ交換する場合は、ホームセンターや家電量販店に相談することをおすすめします。

参考動画:【いっしょに不動産(ウスイホーム)】年25万円の節約術!電気代値上げから家計を守る

5 待機時消費電力(待機電力)も節電しよう

関東電気保安協会によると、待機電力は家庭の全消費電力量の5.1%に相当すると指摘してます。主電源を消したり、使わないときのコンセントを抜くだけで、待機電力分の約49%を節電できるとしているため、積極的に試してみましょう。

たとえば、意外と電気を使うガス給湯器の電源は夜間オフにしたり、エアコンを使わない季節はコンセントからはずしておくのも有効でしょう。エアコンや冷蔵庫は節電家電に買い替えるのも節電効果が期待できます。

常にコンセントから抜くのが面倒な場合は、オンオフのスイッチがついている延長コードを活用するのもおすすめです。ひとつひとつは小さなことかもしれませんが、節電しようという意識が、大きな効果につながっていくでしょう。

参考:待機時消費電力とは?関東電気保安協会

電気代の節約はできることから始めよう

一般的に戸建て住宅は集合住宅よりも電気代が高くなる傾向ですが、「ZEH」と呼ばれる省エネ戸建て住宅や省エネリフォームによって、戸建て住宅でも電気代を抑える効果が期待できる時代になっています。

アンペア数を下げる、夏や冬のエアコンの使い方を工夫するなど、今すぐできる節電対策もおすすめです。本記事を参考にして、戸建ての電気代についてできることから見直してみましょう。

こちらの記事もおすすめです。

参考サイト:「夏の自宅の湿気・暑さに関する意識調査2023」結果を発表 | digmar

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執筆者 ウスイホーム株式会社 広報チーム
1976年に神奈川県で創業。お客様と地域の発展のため、住宅に係わるあらゆるお手伝いをさせて頂いております。長年にわたり蓄積してきた知見を活かし、新築戸建てや中古戸建てを検討・購入する際に役立つ最新情報を発信しています。
お問い合わせURL https://www.usui-home.com/contact