
断熱リフォームをすることで、夏の暑さと冬の寒さを和らげ、快適で健康的な室内空間の実現が可能です。窓や壁・床下・天井・屋根などの断熱により、室内は外気の影響を受けにくくなります。温度が安定した部屋になるため、冷暖房効率が良くなり光熱費の節約という嬉しいメリットも考えられるでしょう。
そこで今回は、断熱リフォームの具体的な種類や工事方法、費用相場、活用できる補助金制度などについて解説します。住まいの断熱性能を高め、快適な暮らしを手に入れるための参考にしてみてください。
断熱リフォームの種類・方法

断熱リフォームの方法には、建具の追加や入れ替え、断熱材や断熱パネルの施工、断熱塗料の塗装などの方法があります。断熱する箇所により、施工方法が異なるのが断熱リフォームの特徴です。ここでは、断熱リフォームの種類や方法について解説します。
窓の断熱リフォーム
窓の断熱リフォームには、3つの方法があります。
- 内窓(インナーサッシ)の設置:既存の窓の内側にもう一つ窓を設置し、2重の窓にすることで外気温の影響を受けにくくする方法
- ガラス交換:既存の単板ガラスを複層ガラスやLow-Eガラス(※)に変更し、熱の伝導を抑える
- カバー工法:既存の窓を取り外し、既存の窓枠の上に新しい窓枠を設置し、窓を入れ替えます。新しい窓枠を樹脂タイプに、窓ガラスをペアガラスなどにすることで断熱効果を得る方法
窓は熱が最も伝わりやすい場所のため、断熱リフォームが大きな効果を発揮するところです。外気温の影響を受けにくくすることで、冷暖房効率が向上し、光熱費の削減にもつながります。
Low-Eガラスとは 特殊な金属膜が施されており、断熱効果を持つガラスのこと。 |
内壁の断熱リフォーム
内壁の断熱リフォーム特徴は、既存の壁の内側に施工するため、外観を変えずに断熱効果を向上できますが、内壁の解体が必要です。
内断熱工法:内装リフォームと同時に行われることが多く、壁の内部(柱と柱の間)に断熱材を入れる方法です。既存の壁をはがし、内部に断熱材を張り詰めた後、壁を戻す修復作業を行います。 |
内壁断熱は、外壁の施工ができないマンションにも適用可能です。大掛かりな工事になるため、住みながらの工事が難しいケースもあります。
外壁断熱リフォーム
外壁の断熱リフォームは、外壁の外側に断熱材を張るため、住みながらの工事が可能です。
外張り断熱:外壁の外側に断熱材を施工します。窓や扉など開口部以外に隙間がなく、家をくるむように断熱材を貼るため、断熱効果が高く、気密性にも優れています。 |
内断熱に比べて施工費用が高くなる点がデメリットです。また、断熱材を施工した上から、外壁の仕上げ材が必要となるため、外壁の色や素材の変更も可能です。ただし、内断熱工法と比較した場合、工事費は高くなります。
床の断熱リフォーム
床下断熱は、床下に断熱材を施工し、冷気の侵入を防ぐ方法です。床の断熱リフォームには、2つの方法があります。
床下からの施工:床の裏側から、断熱材を施工する方法です。床材を剥がさずに施工できるため、コストを抑えやすいのですが、戸建てなどで床下に作業者が入れる隙間があることが条件です。 床材の下に断熱パネルを設置:フローリングリフォーム時に断熱パネルを敷き込み設置します。床材をはがすため、工事は大掛かりになります。 |
天井の断熱リフォーム
天井の断熱リフォームには、断熱材を天井裏に敷き詰める方法があり、「敷き込み工法」と「吹き込み工法」があります。
敷き込み工法:天井裏の骨組みの間に断熱材を施工する方法です。 吹き込み工法:天井裏に、グラスウールなどの断熱材を吹き込む方法で、梁や柱、狭い場所にも施工が容易です。 |
天井裏に人が入れる場合は、天井板を外さずに施工できますが、天井板を外す場合は、リフォーム費用は高くなります。
屋根の断熱リフォーム
屋根の断熱リフォームは、屋根塗装による断熱と、屋根の葺き替え時に断熱材を設置する方法があります。
断熱塗装:断熱性の高い塗料を使用し、熱の吸収を抑えます。屋根の色を白に近い色にすることで、反射で熱の吸収を抑えることも可能です。 断熱材の設置:屋根の葺き替え時に断熱材を入れ、熱の侵入を防ぎます。 |
断熱性や耐久性が高い塗料は、一般の塗料より価格が高くなる傾向があります。見積もり時に、リフォーム業者に断熱の希望を伝え、適切な塗料を選ぶことが大切です。
断熱リフォームにかかる費用相場

断熱リフォームの費用は、施工箇所や規模によって大きく異なります。住宅全体のリフォームでは数百万円規模になる一方で、内窓の設置など比較的手軽に行えるリフォームもあります。ここからは、断熱リフォームにかかる費用相場について解説します。
箇所(種類)別費用相場
断熱リフォームの費用は、施工箇所や使用する材料や建具によって異なります。以下に一般的な個所別の費用相場をご紹介します。
施工箇所 | 費用相場 |
壁に断熱材を施工 | 約4,000円~30,000円/平方メートル |
天井の断熱化 | 約4,000円~10,000円/平方メートル |
床下の断熱化 | 約4,000円~10,000円/平方メートル |
内窓(インナーサッシ)の追加 | 約80,000円~300,000円/1か所 |
外壁の断熱塗装 | 約3,000円~5,000円/平方メートル |
屋根の断熱塗装 | 約3,000円~6,000円/平方メートル |
すでにある壁や屋根などを外して工事をする場合や、面積が広い断熱リフォームは、高額になりやすいといえます。比較的手軽にできる窓の断熱は効果が期待できます。大掛かりなリフォームの予定がないけれど、断熱したいという場合は、内窓の追加を検討してはいかがでしょうか。
施工箇所ごとに適切な方法を選択し、費用と効果のバランスを考慮して進めていきましょう。
リフォームの規模による違い
断熱リフォームの費用は、施工範囲の規模によって大きく異なります。家中を断熱する場合は、数百万円の費用がかかるケースも珍しくありません。
また、規模の大きなリフォームは工期も長くなりますが、その分住宅全体の断熱性能が大幅に向上し、長期的な光熱費の削減と気温に左右されない住環境につながります。小規模なリフォームであっても、効果的な箇所を選んで施工すれば、コストを抑えつつ、快適な住まいを実現可能です。
住宅をフルリフォームする際には、今の断熱材の状況を確認し、適切な方法で断熱リフォームを計画することで、将来の快適さを手に入れることができます。
断熱リフォームが必要か調べる方法

断熱リフォームが必要かどうかは、現在の環境や、建築されたときの状況を確認することで判断できます。冬場の結露の発生や、冷暖房の効きが悪いと感じる場合は、断熱性能が不足している可能性があります。必要に応じてリフォームを検討しましょう。
ここからは、断熱リフォームが必要か調べる方法について解説します。
住んでいて体感はどうか
住まいの断熱性能は、日常の体感からも判断できます。以下のような症状がある場合、十分な断熱が施されていない可能性があります。
- 窓や壁のそばは寒く、窓や壁自体が冷たい
- 冬場に結露が発生する
- エアコンの効きが悪い
これらの現象が頻繁に見られる場合は、断熱リフォームを検討しましょう。
図面や建築年を確認
住宅の断熱性能を確認する方法には、建築した時期や建築図面のチェックでの判断があります。
建築図面がある場合は、断熱の仕様が記載されていますので、建築士などの専門家に依頼し確認してもらいましょう。使用されている断熱材の種類や厚みを読み取れます。
また、家の建築年がわかれば、おおよその状況を判断することも可能です。省エネルギー基準が設定され、住宅に断熱が取り入れられ始めたのは1980年からです。以降は、段階的に基準が引き上げられ、徐々に断熱性が向上しています。しかし、1980年以前の住宅は、断熱材がほとんど使用されておらず、断熱性能が低い可能性があります。
築年数が古い場合は、断熱性能の向上を目的としたリフォームを行うことで、快適な住環境を実現できるでしょう。
プロに断熱診断の調査を依頼
図面がない場合やより正確に自宅の断熱性能を把握したい場合は、専門家に依頼して調査をしてもらうとよいでしょう。
調査では、断熱状況を確認するために床下や小屋裏(屋根と天井の隙間、天井裏)に入り実際に目視で確認します。断熱材が使われているかはもちろん、施工状態の確認もできるため、剥がれなど、断熱材の隙間も見つけてもらえます。
プロに断熱診断を依頼することで、より適切なリフォームプランを検討しやすくなります。
断熱リフォームの効果やメリット

断熱リフォームを実施すると、冬は暖かく夏は涼しく過ごせるため、快適な室内環境が実現します。
また、室内の温度が安定することで、ヒートショックや熱中症のリスクの軽減が期待できます。
さらに、冷暖房効率が向上するため省エネになり、年間で数万円の電気代の節約につながることもあります。断熱性能が向上することで結露を防ぎ、カビの発生も軽減するため、住宅の耐久性の向上や、カビの菌が浮遊することによる健康被害も抑えられるでしょう。
断熱リフォームに活用できる補助金

断熱リフォームに、国や自治体の補助金制度を活用することで、費用を軽減できます。2025年には以下のような補助制度が利用可能です。
補助制度名称 | 補助額 | 概要 |
先進的窓リノベ事業 | 最大200万円 | 断熱性能の高い窓への改修に対する補助 |
子育てグリーン住宅支援事業 | 最大60万円(工事3つ) 最大40万円(工事2つ) | 子育て世帯や若年夫婦世帯を対象に、断熱改修の費用を一部補助 |
既存住宅における断熱リフォーム支援事業 | 戸建て最大120万円 マンション最大15~20万円 | 「トータル断熱」「居間だけ断熱」の2種の工事が対象 |
各自治体の独自制度(※) 参考例)横浜市 令和6年度 「省エネ住宅住替え補助制度」 | 最大150万円 | 子育て世帯等や若年夫婦世帯対象(49歳以下)、省エネ住宅等への住替え費用の補助 |
※:各自治体の独自制度は自治体ごとに補助内容が異なるため、詳細は自治体の公式サイトで確認してください。
補助金以外には、断熱リフォームをした場合の固定資産税の控除などの減税制度もあるため、上手に活用して負担を減らしましょう。
断熱リフォームで失敗しないためのポイント3つ

断熱リフォームを成功させるためには、リフォーム業者選び・費用管理・資材選びが重要です。以下の3つのポイント押さえて、より良い施工につなげましょう。
- 施工会社選び:実績や口コミを確認し、断熱リフォームが得意な業者を選ぶ
- 見積もりの比較:3社程度に見積もりを依頼し、費用と施工内容を比較して納得できる業者を選定
- 使用する断熱材の選定:断熱性能や耐久性、コストを考慮し、施工会社に十分な説明を受けて選ぶ
これらのポイントを納得できるものにすることで、後悔のない、満足できる断熱リフォームを実現できるでしょう。
断熱リフォームをご検討中の方はウスイホームにご相談を

断熱リフォームをお考えなら、ウスイホームへお気軽にご相談ください。1976年に創業し、横浜・湘南・横須賀エリアに密着してリフォーム・リノベーションを手掛けてきました。
経験豊富なスタッフの専任担当制で、相談からアフターサービスまで一貫対応するため、安心してお任せいただけます。
補助金の活用アドバイスや資金計画、不動産売却の相談まで総合的にサポートすることも可能です。断熱リフォームで快適な住まいを作る第一歩として、ぜひウスイホームにご相談ください。
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横浜・湘南・横須賀のリフォーム・リノベーション | ウスイホーム
断熱リフォームで快適な住まいを手に入れよう

冬は暖かく夏は涼しい住まいを実現できる、断熱リフォームについて解説しました。断熱リフォームにより、住まいの「快適性」「省エネ」「耐久性」「健康への安心感」が大幅にアップします。
補助金を活用することでコストを抑えながら工事を進めることも可能です。省エネが注目されている今がリフォームのチャンス。自宅の断熱性能を見直し、快適な住環境を手に入れる第一歩を踏み出しましょう。
まずは信頼できる経験豊富なリフォーム業者に相談し、最適なリフォーム計画を立てることから始めてみてください。
監修者 海沼 仁(カイヌマ ヒロシ) 【経歴】 ウスイホーム株式会社 取締役。 大学時代は不動産評価論を専攻。 卒業後、1997年にウスイホーム株式会社入社。売買仲介部門の新人賞を受賞。 2001年、新店の上大岡店店長に就任。以降、各店店長を歴任。特に新店舗の立ち上げを得意とし、後にエリアマネージャーに抜擢される。 2012年より取締役に就任。主に横浜、湘南エリアでの商圏拡大に尽力している。 地域貢献活動にも力を入れ、2021年には創業45周年を機に、SDGs推進に取り組む「ウスイグループSDGs宣言」を制定。 地域密着型営業で築き上げてきた不動産業界のキャリアと実績から、顧客の信頼も厚く、幅広い人脈を持つ。著名人・有名人からの相談や紹介も多い。 【資格】 宅地建物取引士 CPM(米国不動産経営管理士) 日本RSP協会 不動産仲介士 試験問題監修委員 |
執筆者 ウスイホーム株式会社 広報チーム 1976年に神奈川県で創業。お客様と地域の発展のため、住宅に係わるあらゆるお手伝いをさせて頂いております。長年にわたり蓄積してきた知見を活かし、新築戸建てや中古戸建てを検討・購入する際に役立つ最新情報を発信しています。 お問い合わせURL https://www.usui-home.com/contact |