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【プロ監修】戸建て住宅の寿命は何年?構造別の違いと長持ちさせる方法を解説

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戸建て住宅の購入や住み替えを検討する際、「戸建ての寿命はどれくらいなんだろう?」と気になる方も多いのではないでしょうか。

木造・鉄骨・鉄筋コンクリートなど構造によって寿命や耐用年数は異なり、水回りや配管の状態も大きく影響します。

そこで今回は、建売住宅や中古戸建ての寿命の目安と劣化のチェックポイント、長持ちさせるメンテナンス方法や、リフォームについて解説します。戸建ての寿命に関する不安を解消し、安心して暮らせる住まいへのサポートをしますので、参考にしてみてください。

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戸建ての寿命はどれくらい?構造別に解説

神奈川県内には1950年以前に建てられた戸建て住宅が、今も約27,700戸存在しており、戸建ての寿命は一概にはいえません。この章では構造ごとの寿命の違いを詳しく解説します。

木造住宅

木造住宅の寿命は一般的に30~40年程度といわれますが、これはあくまでも目安です。実際には、メンテナンスや修繕次第で、80年100年と長く快適に住み続けられるのが、木造住宅の良さでもあります。

ただし、建築時に使用された建材や施工の品質によって、寿命に大きな差がでるのが実状です。建築時の状況の把握が寿命を考えるポイントにもなります。

寿命と勘違いしやすいものに「法定耐用年数は22年」がありますが、これは税務上の減価償却の基準で、実際に住める年数とは異なります。

■木造住宅の寿命に影響するポイント
・施工の品質
・使用された木材や建材
・外壁や屋根の防水・塗装
・定期的な点検・修繕

神奈川県の令和5年データによれば、県内の住宅の約45.5%(約194万戸)が木造住宅です。木造住宅は、適切に管理すれば長く住み続けられる家になるため、人気があるといえるでしょう。

軽量鉄骨・鉄骨住宅

軽量鉄骨・鉄骨住宅の平均寿命は30~50年程度とされています。木造よりも構造的に強度がありますが、サビや腐食に弱いという特徴があります。湿気や結露の影響を受けやすいため、防水対策や換気が欠かせません。

■軽量鉄骨・鉄骨住宅を長寿命化させるポイント
・外壁や鉄部の定期的な塗装
・接合部の点検と補修
・室内外の通気性の確保

鉄骨住宅は構造のシンプルさや接合部の品質によっても寿命が左右されます。長く住むためには、劣化箇所の早期発見と対処が重要となります。

鉄筋コンクリート住宅(RC造)

鉄筋コンクリート住宅(RC造)は、50~60年程度の寿命といわれていますが、適切なメンテナンスを継続すれば90~100年程度住めるケースもあります。耐久性に優れた構造ですが、寿命を維持するにはメンテナンスと修繕が不可欠です。

鉄筋コンクリート住宅の大きな劣化現象には2つあります。一つは、「中性化」と呼ばれるコンクリートの劣化により、鉄筋が腐食する現象と、もう一つは、「クラック(ひび割れ)」により、雨がしみこみ、劣化や耐震性の低下を招く現象です。

■鉄筋コンクリート住宅を長寿命化させるポイント
・外壁や構造体の定期点検・補修
・劣化のきざしが見られたら早めに大規模な修繕

RC造住宅の寿命を延ばすためには、早めのメンテナンスが重要です。

建売住宅の寿命は短い?

「建売住宅=寿命が短い」というイメージを持っている方がいるかもしれませんが、これは誤解といっていいでしょう。

戸建て住宅の寿命は設計や施工の質、使用されている建材の性能に大きく左右されます。丁寧に造られた建売住宅であれば、注文住宅と同程度の耐久性を持つことも十分にあります。

購入時には、基礎・外壁・配管などの施工の丁寧さや、設備や建材の品質を確認しましょう。さらに、住宅の品質を客観的に評価する制度もあります。

  • 住宅性能表示制度:構造や劣化対策の性能を評価
  • 劣化対策等級:劣化しにくさを等級で示す
  • 長期優良住宅:国が認定した、長く良好に使える住宅

購入を検討する住宅がこれらの評価を受けていれば、どのような評価か確認がおすすめです。購入への安心感が得られます。

参考記事:建売住宅とは? 注文住宅や分譲住宅との違い、メリットやデメリットまで解説

購入時にチェックができる戸建ての寿命を左右する要因

戸建て住宅の寿命には、構造だけでなく、建材や施工の質、環境条件など、さまざまな要因が影響します。購入時に確認できる、寿命に影響するポイントを解説します。

使用する建材や構造

戸建ての寿命は、使用されている建材や構造によって大きく左右されます。通常、木造住宅の場合、使われる木材の種類により耐久性に差がでます。以下は主な木材の特徴です。

■代表的な木材と特徴
・ヒノキ:高い耐久性と防虫・抗菌性を持ち、水にも強い
・杉:加工しやすく軽い強度はヒノキよりも低い
・ベイマツ:杉よりも強度が高いが、ヤニがでる
・無垢材:調湿作用があり自然の強さを持つ
・集成材:加工しやすいが、接着剤部分の劣化リスクがある

構造だけでなく、建材の品質や選定が戸建ての寿命に直結するといえるでしょう。

施工品質と建築時の管理体制

戸建て住宅の寿命には、施工の品質と現場の管理体制も大きく影響します。いい建材を使っても、職人の技術が不十分であれば、本来の性能を発揮できないからです。また、施工中に工程や品質管理がしっかり行われているかも重要です。

■建築時のポイント
・職人の施工技術と仕上がりを確認
・建築会社の管理体制と実績をチェック
・第三者機関による検査の有無(住宅性能表示制度など)

信頼と実績がある施工会社を選ぶことで、将来的な劣化リスクを抑えることができます。

立地や自然環境の影響

戸建ての寿命には、立地や自然環境が大きな影響を与えます。注意したい要因は以下になります。

▼注意したい環境要因
・海沿い:塩害による金属部の腐食が進みやすい
・湿気が多い:木材の劣化が早まる可能性が高い
・日当たり、風通しがよい:湿気・結露の防止に効果的
・地盤の強弱:基礎のひび割れや建物の傾きに直結する

立地条件を把握し、それに応じたメンテナンスを行うことで、住宅の寿命を延ばすことができます。

定期的なメンテナンスの有無

戸建て住宅の寿命を延ばすには、定期的なメンテナンスが非常に重要です。これにより、雨水や紫外線による劣化や経年の劣化を防止できます。

▼主なメンテナンスポイント
・外壁・屋根の塗装(10~15年ごとが目安)
・給排水管や設備機器の点検・交換(漏水の防止など)
・室内外の定期点検(破損や故障)

こまめに家をケアすることが、戸建て住宅の長寿命化につながります。

建築基準法や法制度

戸建て住宅の寿命を考えるうえで、建築基準法などの法制度も重要な要素です。古い住宅で、現行の耐震基準に適合していない場合、「住む」ことに対する不安が残るケースも。

▼確認ポイント
・建築確認申請年月日:旧耐震基準やそれ以前の場合は、倒壊や損傷のリスクがある
・耐震改修の必要性:安全性を確保するための検討材料にする

法的な安全性基準への適合状況も確認し、必要に応じて耐震補強などを検討しましょう。

寿命を縮めやすい劣化箇所とその対策

戸建て住宅は定期的なメンテナンスや修繕を行わなければ、劣化しやすい部分から寿命が縮まります。ここでは、特に劣化しやすい箇所とその対策方法について解説します。

外壁|ひび割れ・塗装の劣化

外壁の劣化は断熱性の低下やひび割れを招きます。モルタルやサイディングの外壁は、およそ10年を目安に塗装やコーキングの再施工などのメンテナンスが必要です。

劣化のサインには、ひび割れやチョーキング(表面に粉がふく現象)があり、放置すると雨水の侵入や外壁内部の腐食につながります。塗料の種類によって耐久年数が異なるため、高性能な塗料を選べば、塗装の周期を延ばすことも可能です。

屋根|雨漏り・断熱劣化

屋根は住宅の寿命に非常に大きく影響するため、定期的な点検とメンテナンスが重要です。屋根材によって耐用年数が異なり、以下が目安になります。

  • スレート屋根:10~35年(10~15年ごとの塗装が推奨)
  • 瓦屋根:60年以上(漆喰や棟瓦を15~20年でケア)
  • ガルバリウム鋼板:20~40年(15~20年で塗装)

雨漏りを放置すると、屋根下地や壁や柱の腐食・断熱材の劣化につながります。屋根の劣化がある場合は、カバー工法や葺き替えによる修繕が必要です。

基礎|ひびや白アリの被害

基礎は建物全体を支える重要な部分です。基礎部分にクラック(ひび割れ)が生じると、耐震性が低下する恐れがあります。また、床下に湿気が多い場合は、白アリの被害による木材部の劣化が懸念されます。

建物の安定と耐久性を保つためにも、定期的な床下点検は欠かせません。湿気が多い場合には、換気システムの取り付けや白アリ予防処置も検討が必要でしょう。

配管・水回り|漏水や腐食

配管や水回りは、床下や壁の中を通っているため劣化が見えにくく、トラブルが起きると被害が大きくなる箇所です。

特に、配管の寿命は20~30年程度とされており、築年数の古い家では漏水に注意が必要です。壁や床下など見えない部分で水漏れが発生すると、水道代が高くなるだけでなく、壁材などに深刻なダメージを与えることもあります。

築20年を過ぎたら、専門業者による点検や交換を検討すると安心です。

設備|キッチン・トイレ・給湯器など

キッチン・トイレ・ユニットバスなどの水回り設備の寿命は一般的に15~25年程度です。老朽化が進むと故障や水漏れの原因となるため、早めの交換や修繕が快適に使い続けるためのポイントです。

給湯器の寿命は10~15年ほどで、故障前の交換が理想といえます。費用の目安は10万~20万円程度ですが、エコキュートなどの高性能機種では50万円前後かかることもあります。

住宅全体の快適性を維持するためにも、設備の点検とメンテナンスや交換を意識しておきましょう。

戸建ての寿命を延ばすためにできるメンテナンス

戸建て住宅は、日々の手入れや点検を行うことで寿命を延ばせます。住宅を長く快適に維持するための、具体的なメンテナンス方法をご紹介します。

定期的な清掃・点検・補修

定期的な清掃・点検・補修は、戸建て住宅の寿命を延ばす基本です。特に外壁や屋根の修繕は家全体を守るため、10~15年ごとを目安に行い、劣化を防ぎましょう。メンテナンスにかかる費用に備えて、計画的に修繕積立などを行っておくことが大切です。

また、日々の掃除を適切に行うことで、劣化などの異変に気が付くこともできます。早めに対応し、小さな不具合のうちに修繕を終えると、費用も抑えられます。将来的な修繕計画に役立つため、点検やメンテナンスの記録を残しておくのがおすすめです。

長持ちする素材や工法を選ぶ

住宅を新築する際や、大規模なリフォーム時には、耐久性の高い素材や工法を選ぶことで、住宅の寿命を延ばすことが可能です。

例えば、防腐処理された木材や耐候性の高い外壁材は、湿気や紫外線対策になります。そして、戸建てを長持ちさせるためには、構造を丈夫にして耐震性を高めることも大切です。

また、点検がしやすいように点検口を設けることや、配管類を埋め込んでしまわないなどの工夫が、メンテナンスのしやすさのポイントといえるでしょう。

ホームインスペクションの活用

ホームインスペクション(住宅診断)は、建築士の資格を持つ専門家が、建物の劣化や不具合をチェックするサービスです。

プロでなければわからない部分の劣化や不具合を発見できるため、中古住宅の購入や売却、リフォーム前に活用するのが効果的です。

診断結果に基づいて、必要な修繕や手入れを行うことで、戸建ての寿命を延ばすための対策が可能になります。大きなトラブルを未然に防ぐためにも、早めのインスペクションの活用がおすすめです。

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神奈川のインスペクション(建物状況調査) | ウスイホーム

リフォームで延命できるか?

戸建て住宅は、リフォームによって延命が可能です。劣化や損傷した部分を修繕すれば、住める年数を大きく延ばせます。家の寿命延長に特に効果的なリフォームは、以下になります。

■家の寿命を延ばすリフォーム
・配管の交換:漏水リスクを減らす
・耐震補強:倒壊を防ぎ、居住の安全性を高める
・断熱リフォーム:結露やカビの発生を押さえ、劣化の進行を抑える

建て替えるより費用を抑えられ、快適な住環境を維持できる点もリフォームの大きなメリットです。

長寿命へ向けた住まいの使い方

戸建て住宅を長寿命化するには、日々の過ごし方に少し意識を向けることが大切です。例えば、水回りでは油を流さないことは、排水管の詰まりを防ぐ習慣になります。こまめな掃除は、カビや害虫、劣化の予防だけでなく、劣化のはじまりの小さな異変に気づかせてくれるでしょう。

また、換気や除湿を意識することは、湿気による建材の劣化を防ぐことにもなります。日常の小さな習慣が、住まいの寿命に大きな影響を与えることを意識しましょう。

住宅のメンテナンス・リフォームのご相談ならウスイホームへ

戸建て住宅の点検やメンテナンス、リフォームのご検討の際は、地域密着のウスイホームにぜひご相談ください。1976年創業のウスイホームは、横浜・湘南・横須賀エリアを中心に、不動産仲介から新築、リフォーム、ホームインスペクションまで幅広く対応しています。

長く快適に住み続けるためには、住まいの定期的なチェックと適切な対処が欠かせません。お住まいに関するお悩みがあれば、まずはお気軽にご相談ください。

▼横須賀・湘南・横浜エリアでリフォームについてのご相談はこちら▼

横浜・湘南・横須賀のリフォーム・リノベーション | ウスイホーム

戸建ての寿命を知り、適切なメンテナンスで長く住もう

戸建て住宅の寿命は、構造や建材、施工の質、さらには立地環境によって大きく異なります。木造や鉄骨、鉄筋コンクリートそれぞれに寿命の目安はあるものの、こまめなメンテナンスや適切なリフォームによって、長く快適に住み続けることが可能です。

特に外壁や屋根、配管などの劣化しやすい箇所は、定期的な点検や修繕が欠かせません。日々の清掃や換気といった小さな心がけも、住まいの寿命を延ばすポイントです。今の住まいを少しでも長く、安全に使い続けるために、まずは現状を見直し、必要な対策を行っていきましょう。

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監修者 海沼 仁(カイヌマ ヒロシ)
ウスイホーム株式会社 代表取締役社長

【経歴】
大学時代は不動産評価論を専攻。
卒業後、1997年にウスイホーム株式会社入社。売買仲介部門の新人賞を受賞。
2001年、新店の上大岡店店長に就任。以降、各店店長を歴任。特に新店舗の立ち上げを得意とし、後にエリアマネージャーに抜擢される。
2012年より取締役に就任。主に横浜、湘南エリアでの商圏拡大に尽力している。
2021年には創業45周年を機に、SDGs推進に取り組む「ウスイグループSDGs宣言」を制定。地域貢献活動にも力を入れている。
2025年4月、ウスイホーム株式会社代表取締役社長に就任。

地域密着型営業で築き上げてきた不動産業界のキャリアと実績から、顧客の信頼も厚く、幅広い人脈を持つ。著名人・有名人からの相談や紹介も多い。

【資格】
宅地建物取引士
CPM(米国不動産経営管理士)
日本RSP協会 不動産仲介士 試験問題監修委員
執筆者 ウスイホーム株式会社 広報チーム
1976年に神奈川県で創業。お客様と地域の発展のため、横浜・湘南・横須賀エリアで戸建て購入のお手伝いをさせて頂いております。長年にわたり蓄積してきた知見を活かし、新築戸建てや中古戸建てを購入・検討する際に役立つ情報を発信しています。
お問い合わせURL https://www.usui-home.com/contact