戸建てを購入して、快適に住み続けるためには適切なタイミングで行うメンテナンスが必要です。
新築戸建て・中古戸建てどちらを購入する場合でも、家の寿命について知ることで、最適なメンテナンス時期や戸建ての状態にあった工事を選択でき、メンテナンスを行うための費用の準備も行えるでしょう。
本記事では戸建てのメンテナンスの時期や費用を計画できるように、木造や鉄筋コンクリートの戸建て住宅の寿命から、維持費用、効果的なメンテナンス方法までを解説します。
戸建て購入を検討している方、現在戸建てに住んでいてメンテナンスを考えている方は、ぜひお役立てください。
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戸建てには寿命・耐用年数がある?何年住める?
戸建て住宅には、一般的に寿命や耐用年数と呼ばれる期間があります。実は、この2つは異なる意味をもっているため、違いを解説します。また、戸建て住宅の構造による寿命の違いも見ていきましょう。
寿命と耐用年数の違い
家は一生の買い物といいますが、木造の戸建て、鉄筋の戸建ても、ある程度の年数を過ぎると家の耐久性が落ちたり、住宅設備が壊れたりする「寿命」を迎えます。
金融機関などでは、「木造住宅の耐用年数は22年」「鉄筋コンクリートの耐用年数は47年」という基準を設けており、これらの「耐用年数」を家の寿命ととらえている方が少なくありません。
しかし、金融機関などが用いる「耐用年数」は、住宅の強度や耐久性の寿命を算出しているのではありません。
ここでいう耐久年数とは、金融機関などが家の価値を査定をする際の評価基準として用いる税法上定められた「法定耐用年数」であり、実際の「家の寿命」とは異なるのです。
家の寿命は、建物のメンテナンスや修繕の頻度によって大きく変わり、適切な管理により大幅に延長することが可能です。
たとえば、神奈川県が公開したデータによると、昭和25年(1950年)以前に建てられた戸建て住宅が、いまも約37,000戸現存しています(※)。
近年の戸建て住宅の建築技術や建材の性能は高くなっているため、昭和25年ごろの戸建て以上に、定期的なメンテナンスを行えば、戸建ての寿命を延ばし長く住むことができるととらえることができるでしょう。
※参考資料 神奈川県の住生活をめぐる状況について_神奈川県住宅計画課
木造戸建て住宅の寿命と特徴
木造住宅の寿命は、一般的に30〜40年といわれることが多いですが、適切な時期にメンテナンスやリフォームを行えば、70〜80年と住み続けられ、家の寿命を大きく伸ばすことができます。
【木造住宅の特徴】
- 自然素材であるため、住まいの環境に優しい
- 木は呼吸するといわれるように、湿気の多い日本での調湿性などに優れている
- 火災に弱いイメージがありますが、近年は、防火構造をもつ木造住宅も多く、安全性が向上
木造戸建ての寿命を延ばすためには、「外壁や屋根の点検・塗装」、木材部や家全体の「防蟻」「防腐」「防湿」などの対策が重要です。
適切なメンテナンスを行うことで、木造住宅は長く住み続けられる家になるのです。
鉄筋コンクリート戸建て住宅の寿命と特徴
鉄筋コンクリート住宅の寿命は、50〜60年とされていますが、適切なメンテナンスを行うことで90〜100年もの長寿命を維持できる可能性があるといわれています。
【鉄筋コンクリート戸建ての特徴】
- 構造が堅牢
- 耐久性や耐震性に優れおり、地震などの自然災害に対する安全性が高い
- 遮音性や気密性が高い
鉄筋であっても錆びには弱く強度が下がるため、定期的な点検と適切なメンテナンスが不可欠です。鉄筋の点検や塗装、防水・防錆などの定期的な建物診断を行うことで、劣化の進行を早期に把握し、長期的に建物の健全性を維持できるでしょう。
寿命から考える木造・鉄筋戸建ての比較・選び方
家の耐久性は、長く住むためだけでなく、資産価値にも直結します。家を選ぶときには、鉄筋コンクリートと木造のどちらの住宅を選べばいいのでしょうか。
一般的に、鉄筋コンクリート戸建ては木造戸建てよりも寿命が長いのが特徴ですが、建築費用やメンテナンスの費用は、木造戸建てに比べて高くなる傾向にあります。
寿命が鉄筋に比べて短いとされる木造戸建ても、近年は耐久性や耐震性が大きく向上しているため、長く住み続けることは可能です。
また、戸建てを購入するということは、その家や土地に長く住むことが前提になるため、長期的な住まい選びの要素として住環境についても十分に考慮する必要があります。
家の寿命を考えるときは、駅からの距離(遠い場合はバス路線があるか)、学校やスーパーの有無といった利便性、街の雰囲気や治安といった住環境についても合わせて考えることがポイントになるのです。
家の寿命とは、住環境も含めた住みやすい家であり、上手にメンテナンスしながら快適に住み続けられる期間と言い換えることができるでしょう。
おすすめ記事:【プロ監修】注文住宅と分譲・建売住宅どっちがいい?違い・価格費用
戸建ての寿命を伸ばすためのメンテナンス法と維持費用
戸建ての寿命を最大限に伸ばすためには、適切なメンテナンスが不可欠です。定期的に行うべきメンテナンスの主な箇所とそれにかかる費用、さらにはメンテナンス費用を節約する方法を紹介します。
※メンテナンスする箇所や期間、費用などは、一般的な木造戸建て(4人家族向け3LDK。延べ床面積30坪)の代表的な事例です。戸建ての状況や環境などによって変わるため、目安として参考にしましょう。
また、必要がない大きな家具や粗大ごみを処分することでフローリンクの歪みなどを避けることが可能です。
参考サイト:不用品回収・粗大ゴミ回収の片付け侍
定期的に行うべきメンテナンス主な箇所と維持費用
戸建て住宅の長寿命化と快適さを保つためには、以下のような定期的なメンテナンスを適切に行うことが大切です。家の寿命を延ばし、快適な住環境を維持できます。一般的な維持費用とともに解説します。
- 外壁と屋根の定期的なメンテナンス
10〜15年に一度。費用は約100万円~150万円前後 - 白アリ被害の予防対策
10年に一度。費用は約15万円~25万円前後 - 雨どいの掃除や補修
雨水の流れをスムーズにし、雨漏りなどを防ぐ。掃除で2万円前後、交換は対応範囲によって10~30万円前後 - 住宅設備(給湯器・お風呂やトイレ、24時間換気システムなど)の点検・交換
必要に応じて修理や交換(10〜15年)を行う。給湯器の交換は15〜20万円前後 - 水回り(配管・排水など)の点検・洗浄など
漏れや詰まり予防のための早期発見。高圧洗浄などのメンテナンスが一般的。一般的な高圧洗浄で2~3万円前後
それぞれの内容について、順番に解説します。
1. 屋根や外壁の定期的なメンテナンス
屋根と外壁は、常に直射日光や、雨風にさらされているため、劣化が進みやすい部分です。ひび割れ・塗装の剥がれ・チョーキング(※)などのサインがみられた場合、早期に修繕する必要があります。
【屋根】
屋根は家を守る大切な役割をもっていますが、直射日光による熱や紫外線などによるダメージを受け続けているため、劣化が起こりやすい部分です。劣化箇所からの雨水の侵入は水漏れを引き起こし、壁や柱、床を傷めます。
【外壁】
外壁の劣化は断熱性が低下したり、外壁にできたヒビ・劣化したコーキング(シーリング※)の隙間などから雨水などが入り込むと、結露や内部構造の損傷の原因になります。
屋根と外壁を定期的にメンテナンスすることは、戸建ての寿命を高めるのに不可欠といえるでしょう。
※チョーキング・・・屋根や外壁の塗装の劣化により、白く粉をふくような現象
※コーキング(シーリング)・・・外壁と窓枠との隙間を埋めるためのゴム状の部分
おすすめ記事:戸建て外壁塗装の実例デザイン9選|メンテナンス時期・期間・費用
2. 白アリ被害の予防対策
白アリは、家屋の基礎の木材や柱を食べてボロボロにしてしまい、家の強度を低下させる大きな原因になります。
ここ20年前後に建てられた新築戸建てでは、新築の時点で白アリを予防するための「防蟻シート」が床下に設置されていることが多いです。しかし、防蟻シートの寿命は10年前後といわれているため、定期的な張り替えのメンテナンスが必須なのです。
防蟻シートと並行して行いたい、自分でできる白アリ予防策を紹介します。
- 家の周辺に木材を置かないようにする。不用意に置いた木材が白アリのエサになるのを防ぐ
- 白アリは湿った環境を好むため、床下や家の中の風通しをよくする
- 水漏れや雨漏りで湿った木材が白アリを引き寄せるため、水漏れは迅速に修理を行う
- 市販されている防除剤や木材防腐剤を使用して、防蟻対策を取ることも効果的
3. 雨どいの掃除や補修
雨どいの詰まりは雨水を流れにくくし、外壁や周囲に雨水が漏れだすようになります。詰まった雨どい付近の外壁などには、定期的に水がしたたり多くの湿気を含むため、劣化する可能性が高まります。
手が届く範囲であれば、雨どいに詰まった落ち葉やゴミを取り除き、水がスムーズに流れるように定期的に掃除を行いましょう。
高所の雨どいの点検や掃除は、戸建てを建てたハウスメーカーや不動産会社に相談し、信頼できる事業者に依頼することをおすすめします。
4. 住宅設備(給湯器・お風呂やトイレ、24時間換気システムなど)の点検・交換
給湯器やキッチンなどの食洗機・コンロ、24時間換気システムなどの住宅設備には寿命があります。
設置から10年前後をひとつの目安としていることが多く、「点検期間」として点検すべき時期が、各設備や説明書などに記載されているのが一般的です。
【主な住宅設備の寿命】
- 給湯器は約10年が寿命とされる
- キッチンのコンロは10~15年、食洗機も約10年が点検や交換の目安
- トイレやお風呂、24時間換気システムなどの住宅設備も10年前後で不具合などが起りやすくなる
住宅設備ではありませんが、新築時や中古購入時に、新しいものを買うことが多い家電も、平均で10年程度が寿命とされています。これらの不具合が同時期に起こることも少なくないため、中長期的な視点で貯金しておくなどして、メンテナンスに備えましょう。
5. 水回り(配管・排水など)の点検・洗浄
キッチンやトイレなどの水回りの設備は、使用頻度が高く水漏れなどの劣化も起こりやすい場所といえますが、長年使用した排水管の劣化やつまりなどが原因になり、予定外の大きな修繕費用が発生することもあります。
排水時に「ゴボゴボ」「ポコポコ」といった音がしたり、流れが遅くなったと感じたら、点検のタイミングかもしれません。
シンク下など普段みない場所も、水漏れがないか定期的に確認しましょう。見えない場所で水の音がしたり、壁や床に水のシミが出ているときは水漏れの可能性があります。
万が一のときは、迅速に修繕を行うことがポイントです。
維持費・メンテナンス費用の節約方法
戸建てのメンテナンスは、まとまった費用がかかりますが、節約方法もあります。早速、確認していきましょう。
- 定期的な点検とメンテナンス
劣化を早期に発見し、大規模な修繕が必要になる前に対処することが大切です。大規模なメンテナンスを防ぎ、中長期的にメンテナンス費用を節約できます。 - 耐久性の高い建材や塗料の選択
新築やリフォームの際には建材や塗料、設備は耐久性を考える視点も重要です。耐久性が高い建材は一般的なものと比べ、費用が高くなる傾向ですが、長い目でみるとメンテナンスの回数やコストを減らせるのが一般的です。 - 適切な保険の加入
戸建ての購入時には火災保険に入るのが一般的ですが、自然災害などにも対応するプランも検討することをおすすめします。
たとえば、「台風によって飛来したもので壁にヒビが入った」など外壁損傷に対して、補修費用が補償されるケースがあります。
これらの方法により、戸建ての維持費用やメンテナンス料を効果的に節約し、住宅を長持ちさせることができます。
戸建ての寿命|リフォームもあり・建て替えとの比較
戸建て住宅の劣化が進んでいる場合、リフォームやリノベーションを行うという方法があります。また、あまりに家の傷み具合が進んでいる場合には、建て替えを検討することもあるでしょう。リフォーム・リノベーションと建て替えのメリットと注意点を見ていきましょう。
※リフォームとリノベーションの違いを明確に区別することは難しいのですが、リフォームは劣化・年数を経た個所を補修・修繕するためのメンテナンスであるのに対し、リノベーションは戸建ての間取りや性能をよりよい状態に改善するためのメンテナンスをいうのが一般的です。
戸建ての寿命|リフォーム・リノベーションのメリットと注意点
建築して年数がたっている戸建て住宅では、住んでいる人の家族構成やライフステージも変化しています。建築当時とは部屋の使い方も変わり、住みにくくなっている場合には、リフォーム・リノベーションはよい選択肢で、家の寿命も延ばせます。
【戸建てリフォーム・リノベーションの主なメリット】
- 劣化・悪化対策として
外壁や屋根のリフォームなど、戸建ての状態の劣化や悪化を予防し家を守る - 機能性の維持・向上
キッチンや浴室などの設備を新しくしたり、耐熱・防音対策など戸建ての快適性が上がる - 耐震性の向上
古い中古戸建ての場合、耐震リフォームを行うことで揺れに強い安全な戸建てに改善できる
【リフォームの注意点】
- 予算
大掛かりなフルリフォームやリノベーションは、300〜500万円など大きな費用がかかることも。必要な工事と費用のバランスを慎重に検討するのが大切 - 施工業者の選定
適切なリフォーム・リノベーションで家の寿命を伸ばすためには、事業者選びも重要。相談に乗ってくれて、事前見積りも明快な事業者を選ぶのが◎
リフォームのデザイン提案はもちろん、寿命の長い建材を教えてくれるなどプロのアドバイスなどがあると、よりよいリフォームにつながります。「目の前の工事費用が安い」だけで選ばず、中長期的な視点で計画しましょう。
戸建ての寿命|建て替えのメリットと注意点
建て替えを計画する大きなメリットは、最新の建築基準で新築できることです。耐震性や断熱性が向上し、安全で快適な住環境を確保できます。建て替えを行う場合のメリットと注意点を確認していきましょう。
【戸建て建て替えの主なメリット】
- カスタマイズの自由度
現在のライフスタイルやニーズに合わせた、間取り、デザインにできる。自分の好みや要望の戸建てに近づく - エネルギー効率の向上
新しい建築技術や建材は、古いものよりもエネルギー効率が良いものが多く、長期的には光熱費の削減になる - 不動産価値の向上
新築物件は不動産としての価値が高く、将来的な売却などの面でもメリットがある
【建て替えの注意点】
- 費用
リフォームと比較して、一般的に費用が高額になる - 仮住まいが必要
現在の家を解体・建て直し・新築をする場合、建て替え工事中に住む仮住まいを探し、引っ越す必要がある。引っ越し費用・仮住まいの家賃が別途発生する
建て替えかフルリフォームどっちがいい?
建て替えかリフォーム・リノベーションのどちらを選ぶかは、戸建ての現状、予算(組めるローン額・貯金額など)、自分や家族のライフプランなど、総合的に考える必要があります。
一般的に、リフォーム・リノベーションの方が建て替えに比べてコストが低く抑えられます。しかし、戸建てに「構造的な課題・リスクがある」「築年数がたっている」といった場合は、建て替えの方が、長期的なメリットが大きくなるケースもあるのです。
最終的には、信頼できる不動産会社や施工業者などの専門家と相談し、総合的な判断が重要になります。これからも長く住める家にするために、将来のことも考えながら計画を進めていきましょう。
おすすめ記事:【プロ監修】戸建ての固定資産税はいくら?目安・計算法・減税措置(戸建てと賃貸の比較)
戸建ての寿命はメンテナンスが鍵
家の寿命やメンテナンスについてご紹介しました。戸建て住宅の寿命は、木造か鉄筋コンクリートかによって異なりますが、どちらであっても、適切なメンテナンスによって大幅に延ばすことが可能です。
家を維持するのにかかる費用を把握して、「いつ頃にこれくらいの費用がかかる」と予測し中長期的に計画を立てておくことが重要です。
リフォーム・リノベーションや建て替えを検討する際には、ローンや戸建ての構造的な課題なども含めた総合的な視点で計画を立て、自分や家族のライフスタイルによりよく合う理想の家を、創り上げていきましょう。
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監修者 海沼 仁(カイヌマ ヒロシ) 【経歴】 ウスイホーム株式会社 取締役。 大学時代は不動産評価論を専攻。 卒業後、1997年にウスイホーム株式会社入社。売買仲介部門の新人賞を受賞。 2001年、新店の上大岡店店長に就任。以降、各店店長を歴任。特に新店舗の立ち上げを得意とし、後にエリアマネージャーに抜擢される。 2012年より取締役に就任。主に横浜、湘南エリアでの商圏拡大に尽力している。 地域貢献活動にも力を入れ、2021年には創業45周年を機に、SDGs推進に取り組む「ウスイグループSDGs宣言」を制定。 地域密着型営業で築き上げてきた不動産業界のキャリアと実績から、顧客の信頼も厚く、幅広い人脈を持つ。著名人・有名人からの相談や紹介も多い。 【資格】 宅地建物取引士 CPM(米国不動産経営管理士) 日本RSP協会 不動産仲介士 試験問題監修委員 |
執筆者 ウスイホーム株式会社 広報チーム 1976年に神奈川県で創業。お客様と地域の発展のため、住宅に係わるあらゆるお手伝いをさせて頂いております。長年にわたり蓄積してきた知見を活かし、新築戸建てや中古戸建てを検討・購入する際に役立つ最新情報を発信しています。 お問い合わせURL https://www.usui-home.com/contact |