戸建ての住宅は、その独立性からプライバシーや生活の自由度を追求できる魅力がありますが、それと同時に泥棒の侵入など防犯面の対策も自分自身で考える必要があります。
しかし、すべての戸建てが一律で危険というわけではなく、「こんな家が狙われる」というように「狙われやすい家」があることが分かっています。
本記事では「戸建ての防犯におけるリスクとその対策」「各種の防犯グッズの効果的な使用方法」そして「リフォームを通じた防犯対策」まで、戸建ての防犯対策のポイントを幅広く詳しく解説していきます。
安全な暮らしのための知識をしっかりと身につけ、日々の生活に役立ててください。
監修者 海沼 仁(カイヌマ ヒロシ)
【経歴】
ウスイホーム株式会社 取締役。
大学時代は不動産評価論を専攻。
卒業後、1997年にウスイホーム株式会社入社。売買仲介部門の新人賞を受賞。
2001年、新店の上大岡店店長に就任。以降、各店店長を歴任。特に新店舗の立ち上げを得意とし、後にエリアマネージャーに抜擢される。
2012年より取締役に就任。主に横浜、湘南エリアでの商圏拡大に尽力している。
地域貢献活動にも力を入れ、2021年には創業45周年を機に、SDGs推進に取り組む「ウスイグループSDGs宣言」を制定。
地域密着型営業で築き上げてきた不動産業界のキャリアと実績から、顧客の信頼も厚く、幅広い人脈を持つ。著名人・有名人からの相談や紹介も多い。
【資格】
宅地建物取引士
CPM(米国不動産経営管理士)
日本RSP協会 不動産仲介士 試験問題監修委員
【戸建て防犯】こんな家は狙われる?!
同じ「戸建て」でも、実は立地や条件などで狙われやすい家があるとされています。まずは狙われやすい理由・原因から見ていきましょう。
狙われやすい戸建て①木が多い・高い塀など死角が多い
泥棒は「目撃されるリスク」を最大限に警戒します。外構沿いにそって植えられている高い生垣や樹木、ブロック塀や目隠し用フェンスがある住宅は、以下のような理由から「狙われやすい家」になるといわれているのです。
- 樹木やフェンスに隠れられ、周囲が侵入者の存在に気が付きにくい。
- 死角に隠れながら窓を割るなどの作業ができるため、侵入作業がしやすい。
- 高い樹木や塀は侵入・逃走経路(手段)にもなりうる。
外構沿いの樹木や塀は、それらを伝って出入りしやすいケースが多く、侵入・逃走経路(手段)にもなりえるのです。
狙われやすい戸建て②窓やドアの防犯対策が甘い
令和4年警視庁の調査(※1)によると、戸建てへの侵入経路としてもっとも多いのが窓(53.5%)、次いで玄関などのドア(21.3%)となっています。
また、侵入手法で多いのはピッキングなどではなく、うっかりミスや油断などによって起こる無施錠・無締り(51.2%)であることが指摘されています。窓や玄関には、十分な対策が必要なのです。
- ここ15年くらいの新築戸建てには、防犯対策として「CPマーク(※2)」の防犯窓ガラスや二重サッシ、防犯性の高い玄関が標準装備されていることが多い。
一方で、それより前に建てられた戸建て住宅の多くに設置されている、一重の窓やサッシはCPマークの窓などと比較すると、防犯性が低いとされる。
- 玄関の鍵も、新しい戸建てではピッキング対策が取られた鍵を標準装備していることが多いが、昔からある玄関の鍵はピッキングなどで鍵をこじ開けやすいという指摘がある。
- 警視庁が行った調査(※2)によると、泥棒の侵入手法で一番多いのが「無施錠(無締り)」とされ、侵入された家の51.2%が、鍵をかけていなかったとされる。
鍵の閉め忘れ、お風呂場やトイレの小窓の無施錠(無締り)も狙われているため、要注意。
※1 参考:侵入窃盗の侵入手口(令和4年)_住まいる防犯110番_警視庁
※2 CPマークとは、窓やドア、鍵などに関する防犯性能の高さを示し、一定の防犯対策基準を満たしている建材とされています。
参考:
狙われやすい戸建て③騒音のあるコンビニ・幹線道路沿い
意外に思う方が多いのですが、コンビニや幹線道路など人通りが多かったり、騒音のある通り沿いの家も、以下のような理由から狙われやすい家になるとされています。
- 侵入する際に立つ音や、侵入口となるガラスを割る音などが、車や人の行き来の騒音に紛れるため、作業しやすい。
- 人通りが少ない住宅街では見慣れない人とすれ違うと、印象に残ったり警戒する一方、人通りが多い場所では地域外の見慣れない人がいるのが当たり前のため、警戒されにくく、侵入や逃走がしやすくなる。
狙われやすい戸建て④留守が多い家
日本の共働き世帯は、7割を超えたとされています(※)。パートやフルタイム、在宅ワーク、両親との同居など働き方や状況に違いはありますが、多くの家庭で日中留守になる家が増えているといえるでしょう。
一般的に「留守」の家は、泥棒にとっては狙いやすいとされていますが、その中でも狙われやすい家の特徴を見ていきましょう。
- 共働きの家では出勤前に洗濯ものを干し、帰宅後に取り入れることを習慣化していることが多い。洗濯物の干し場が通りから見えるようなケースでは、留守にする時間帯や曜日などのパターンが知られやすく狙われやすくなるとされる。
- 夫婦ともに帰宅時間が遅く家の明かりがついていないような場合、留守が一目瞭然に…。毎日、同じ時間帯に明かりがつくのも、留守をする時間帯を知らせることにつながります。
参考※:
【戸建て防犯】すぐできる対策とポイント
先ほど狙われやすい家の特徴をお伝えしましたが、そのような家で取るべき防犯対策の中でも、自分たちですぐできる対策とポイントを解説します。
防犯対策①家の周りの見通しをよくする
最初に取り掛かりたい対策は、家の周りの見通しをよくすることです。
- 樹木の剪定・伐採を行う
家を囲むように茂った樹木は伐採や剪定を行いましょう。樹木はあってもよいので、木々の隙間を多くして見通しを確保し、人が隠れる死角を減らすことが重要です。
- センサーライト・防犯じゃり・防犯カメラの設置
実際に、目隠しフェンスやブロック塀、多くの樹木などで見通しが悪い場合は、「人を感知して点灯するセンサーライト」や「踏むと大きな音がする防犯じゃり」「侵入犯を撮影する防犯カメラ」などの設置を検討しましょう。
防犯グッズについては、この後の章で詳しく紹介します。
防犯対策②窓やドアの防犯対策を考える
窓や玄関窓や玄関・勝手口の防犯対策があまりできていない場合は、ホームセンターなどで購入できる「補助錠」や「防犯フィルム」などを設置しましょう。
また、窓の下に、物を入れるコンテナや物置、エアコンの室外機などがあると、安定した足場になってしまい侵入を手助けすることにもつながります。できる限り、窓の下には足場になるような物を置かないようにしましょう。
防犯対策③生活パターンを知られない
出勤前に洗濯物を干したい場合は、生活パターンを知られないような工夫をしましょう。
たとえば、洗濯物は外から見えにくい2階のベランダの低い位置に干したり、室内の日当たりのいい部屋に干すといった対策がおすすめです。将来的には、サンルーム(天井や壁から太陽光を取り込める小部屋)などのリフォームを検討するのもよいでしょう。
帰宅時間を分かりにくくするためには、設定した時間に電源のON/OFFを切り替えるデジタルタイマーや、スマホで電源のON/OFFを操作できるスマートプラグなどの設置がおすすめです。
防犯対策④侵入まで5分以上かかるようにする
財団法人都市防犯研究センター(平成21年度解散)による元泥棒に対する調査によると、侵入するまでに5分以上かかるような防犯対策を目指せば、68%の泥棒が侵入をあきらめることが分かりました。
<侵入をあきらめる時間に対する、元泥棒への調査>
- 侵入まで2分かかるとあきらめる:17%
- 侵入まで2〜5分かかるとあきらめる:51%
これまでに挙げたような対策で、侵入まで5分以上かかる家を目指しましょう。
もしも今すぐに上記のような対策が取れない場合も、小窓も含めすべての窓やドアの施錠を徹底する、窓や玄関に「防犯対策中」といったシールを貼るなど「防犯意識の高さ」をアピールすることも、防犯対策のひとつになるでしょう。
泥棒に「ここの家は侵入が難しそうだ」と思わせる対策を取ることが重要です。
参考:防犯性能の基準_住まいる防犯110番_警視庁
【戸建て防犯】今すぐ自分でできるおすすめ対策グッズ
防犯対策グッズは、ホームセンターでも購入が可能です。戸建て住宅に使える自分で取り付けもできる防犯対策グッズを紹介します。
防犯グッズ①防犯カメラ・センサーライト
戸建て住宅の防犯対策には「防犯カメラ」と「センサーライト」が効果的です。
- 防犯カメラ
万が一の侵入時に犯人を撮影し、行動を記録するものです。画像データは本体内のSDカードに記録するのが一般的ですが、クラウド上に残せるタイプもあります。
泥棒に防犯カメラ本体を壊された場合も、クラウド保存であればデータが残っている可能性が高くなります。多くの場合クラウド保存は有料サービスになりますが、もしもの時のために検討しましょう。 - センサーライト
人の動きを感知すると自動で点灯し、自動で消灯するライトです。「たったこれだけで防犯対策になるの?」と疑問に思うかもしれませんが、泥棒は「目撃」されることを一番に嫌うため、暗闇に潜むことができないセンサーライトも一定の効果を発揮します。
防犯カメラやセンサーライトの取り付けは自分でも可能ですが、難しい場合はリフォームを扱うハウスメーカーや不動産会社、リフォーム会社に取り付けを依頼することも可能です。
防犯グッズ②防犯補助錠・防犯フィルム
防犯補助錠や防犯フィルムは基本的なアイテムですが、「侵入まで5分以上かかる家」という目的には、非常に有効です。
- 玄関の補助錠/防犯補助錠
玄関に付ける防犯補助錠には、主に「外付けタイプ(外出時用)」と「内付けタイプ(在宅用・就寝時用)」の2つの種類があります。 玄関に複数の鍵があることで侵入に時間がかかり、侵入を防げる可能性が高まります。 - 窓の補助錠/防犯補助錠
窓からの侵入が窓の防犯補助錠は、引き違い戸でサッシと窓枠を利用してつっぱるように設置するタイプや、窓の上部に取り付けてロックするタイプなどがあります。 - 防犯フィルム
窓ガラスを割れにくくする特殊なフィルムで、窓全面に張り付けます。ガラスを割れにくくすることで、侵入までにかかる時間を増やし防犯効果が期待できます。
玄関、窓の補助錠は自分で取り付け可能な点も魅力です。防犯フィルムに関しては、きれいに貼りつけるのが難しいことがあるため、リフォームを扱うハウスメーカーや不動産会社、リフォーム会社に相談するのもよいでしょう。
防犯グッズ③デジタルタイマー・スマートプラグ
設定した時間に電源がON/OFFを切り替えることができるデジタルタイマーもおすすめです。
デジタルタイマーが進化したのが、コンセントと家電プラグの間に設置するだけで、スマホのアプリから、電源のON/OFFを操作できるスマートプラグです。
電気スタンドやテレビなどでうまく活用すれば、家が無人でも電気やテレビがつくため、防犯対策につながるでしょう。
防犯グッズ④防犯じゃり
「防犯じゃり」は、戸建て住宅の敷地や玄関先に敷き詰めて使用します。塀などから庭へ侵入した時に、通常の石などと比べ「がしゃがしゃ」と大きな音がするのが特徴です。
家の人が留守の場合も、周囲に音が聞こえるため、泥棒としては「避けたい家」につながります。
設置は簡単で玄関周りや窓の下、裏庭などに均等に敷き詰めるだけでOK。じゃりの種類やメーカーによって鳴る音や音量が異なるので、効果を考慮して選びましょう。
敷き詰める作業自体は簡単ですが、重さなどで自分で対応が難しい場合は、リフォームを扱うハウスメーカーや不動産会社、リフォーム会社でも対応が可能です。
▼事例紹介▼
外構じゃり敷きの事例_ウスイホーム
【戸建て防犯】リフォーム対策と事例紹介
戸建て住宅の安全を高めるための防犯リフォームの事例を紹介します。侵入を防ぐ根本的な対策を見ていきましょう。
※リフォームは住宅・土地の条件や設備の種類などによって、費用や内容が異なります。本記事での内容はひとつの事例として参考にし、詳細は依頼する際に詳しく確認しましょう。
防犯リフォーム①2重サッシ(防犯合わせガラス)
窓への防犯対策で導入したいのが 2重サッシとも呼ばれる「防犯合わせガラス」です。
防犯合わせガラスとは、一般的に、2枚のガラスの間に強靭な特殊なフィルムを挟んであり、ガラスが割れてもフィルムは破れず侵入を防ぐような仕組みになっています。
「防犯合わせガラス」へのリフォームは、既存の窓枠を活用できたり、家の中から工事ができるなど、比較的工期も早く小規模な工事で終わることが多いです。
既存の窓に内側からもう1枚窓を設置して防寒・防音対策もできるような2重サッシもあります。費用や工期など異なるため、希望に合った窓を選びましょう。
▼リフォーム事例紹介▼
防犯リフォーム②シャッターの取り付け
「シャッター」のない窓がある場合は、シャッターの取り付けを検討しましょう。
シャッターの取り付けが難しい出窓などには、「防犯面格子」という窓全体を覆うフェンスを設置することも有効です。
防犯合わせガラスと合わせてリフォームすることで、窓が割られにくくなり防犯効果が期待できるでしょう。
防犯リフォーム③玄関や玄関の鍵
玄関は普段出入りする場所でもあり、防犯の要ともいえる場所です。古いタイプの鍵や、ガラスの入った玄関ドアの場合は、最新の防犯機能を備えた玄関へのリフォームを検討しましょう。
ドア全体の工事が難しい場合は、ドアの鍵だけを交換することも可能です。防犯性の高い最新式のディンプルキーにするなど、ピッキング対策を行いましょう。
▼リフォーム事例紹介▼
防犯リフォーム④外構工事
外構のリフォームとは、一般的に、庭や外回りを防犯に配慮したものに変更するようなリフォームを指します。侵入しにくい家だと思わせるための、外構のリフォームの主なポイントは以下の通りです。
<外構工事のポイント>
- 見通しを考慮したフェンス
- 死角を作る植え込みや樹木の伐採
- 夜間の照明やセンサーライト・防犯カメラの設置
- 防犯じゃりの敷き詰め
- 車庫やカーポートも侵入や車の盗難を防ぐつくりに
<防犯を意識したフェンスの高さや密度>
- これから目隠しフェンスを設置する場合は、防犯を考えたフェンスの高さを検討しましょう。たとえば、室内で座っているところは外から見えにくいが、侵入者が立っていると目立つくらいの高さです。
条件によって異なりますが、150〜160cmくらいまでの高さが、ひとつの目安になるでしょう。 - フェンス目の密度にも、防犯を意識した選び方を取り入れましょう。目隠しという目的がある場合も、一部で隙間をもたせるなど「泥棒が隠れにくいフェンス」という視点を含めて検討することをおすすめします。
▼リフォーム事例紹介▼
セコムなどセキュリティー会社に申し込む
セコムなどのセキュリティ会社への申し込みも検討してみましょう。
セコムの場合、家を出る際に、セコムが設置した機器に専用キーを差し込むと、セコムのセンターへ「留守」になったことが通知されます。
このとき、窓などに無施錠の箇所があれば、その場で家人に対して「施錠確認」を行うようなアナウンスが流れるため、施錠忘れも予防することができます。
留守中は、泥棒などの怪しい動きをセンターで検知すると、即座に家人へ状況確認の電話連絡が入ります。泥棒の可能性を確認したときは、セコムの警備員が急行して家屋の安全を確認してくれます。
セコムに加入した家だけに配られる「セコム」シールを玄関や窓に貼ることも、泥棒に対する抑止力になるでしょう。
初期費用や月額費用は必要ですが、防犯の専門的なサービスを受けられるため、安心への投資と考えれば検討する価値は高いといえるでしょう。
戸建て住宅の防犯対策は外構と玄関・窓がポイント
戸建て防犯対策のポイントは、家の外構のフェンスや樹木、玄関や窓がポイントであることが分かりました。
泥棒に狙われやすい家や条件を知れば、防犯に向けた対策を取ることができます。ここでのポイントをふまえ、自分にあった戸建ての防犯配策を講じて大切な家や財産を守っていきましょう。
湘南エリアの戸建て情報をお探しの方は下記よりご覧ください。
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執筆者 ウスイホーム株式会社 広報チーム
1976年に神奈川県で創業。お客様と地域の発展のため、住宅に係わるあらゆるお手伝いをさせて頂いております。長年にわたり蓄積してきた知見を活かし、新築戸建てや中古戸建てを検討・購入する際に役立つ最新情報を発信しています。
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