
リノベーションとリフォームは、どちらも住宅の修繕や改修をさしますが、違いを明確に説明できる人は少ないかもしれません。
この2つの違いは、工事の規模や費用、目的が異なっていることです。
一般的に、リフォームは修繕と回復が目的の工事をさし、リノベーションは間取り変更など住宅の性能や使い勝手の向上を目的とした大規模な改修をさします。
今回は、リフォームとリノベーションの工事内容の違いを解説し、それぞれの費用相場やメリット・デメリット、費用を抑えるポイントについても紹介します。リノベーションとリフォームの違いを理解し、これからの計画にお役立てください。
目次
リフォームとリノベーションの違いとは?

リフォームとリノベーションはどちらも住宅の工事をさしますが、工事の目的や規模、住宅性能の向上の度合いが異なります。まずは、それぞれの言葉の定義や工事内容の違いについて解説します。
リフォームとは?リノベーションとは?
「リフォーム」は、住宅の老朽化した部分を修繕し、新築時の状態に戻す工事です。経年劣化した設備や内装を交換し修繕することで、見た目や機能を改善します。
<リフォームの例> ・壁紙や床の張り替え、窓・扉の取り換え ・キッチンや浴室、トイレなどの交換 ・外壁や屋根の塗装や補修 |
一方、「リノベーション」は、多くの場合、間取り変更などの構造の改修を伴い、住みやすさや向上を目的にする点が、リフォームとの違いです。
リノベーションは2009年ごろから使われ出した言葉で、「リノベ」と略して使われることもあります。それまでは、住宅をフルに改修する場合は「大規模リフォーム」と呼ばれており、これは今でも使われている言葉です。
<リノベーションの例> ・間取りの変更(壁を取る・スケルトンにして新たに間取りをする) ・給排水管や電気配線の変更 ・断熱性能や耐震の向上 |
「リフォームは原状回復を目的とした工事」、「リノベーションは住まいをより住みやすくする改修」という違いがあります。
工事の規模や住宅性能の向上の違い
「リフォーム」と「リノベーション」では、工事の規模が大幅に違います。
リフォームは部分的な補修や設備交換が中心であるため、修繕工事になることが一般的です。基本的には、老朽化部分を改装や交換して、機能と快適さの維持が目的といえるでしょう。
リノベーションは建物全体に及ぶ大規模で工事期間も長い改修です。構造部分まで工事が及ぶことが多く、間取り変更や設備の交換も含まれるため、施工範囲は広くなります。ライフスタイルに合わせた間取りや性能に改修するため、今まで以上に住みやすい住宅を実現できます。
リフォームは修繕を、リノベーションは改修を主な目的とするところが大きな違いです。
リフォームやリノベーションの費用相場

リフォームは部分的な修繕が中心のため比較的安価ですが、リノベーションは大規模な改修となるため費用が高くなる傾向があります。
リフォームの費用相場
リフォームの費用に影響するのは、工事の内容や施工面積、使用する材料や設備のグレードなどです。個々のケースで費用は異なり、マンションと戸建てで異なるケースもあります。
以下は、目安となる一般的なリフォームの費用相場です。
【リフォーム内容別の費用目安】
工事箇所 | 目安の費用(円) |
キッチン | 50〜150万 |
浴室 | 80~150万 |
トイレ | 15~50万 |
洗面 | 20万~50万 |
リビング | 15万~150万 |
和室 | 35~50万(大工仕事なし) |
洋室 | 10~50万 |
玄関 | 10~50万 |
外壁・屋根(塗装・葺き替えなど) | 100~300万 |
上記の他に、キッチンのコンロや換気扇の取り換え(~30万円)、給湯器(エコキュート30万~60万円)の取り換えなどもリフォームになります。
リノベーションの費用相場
リノベーションの費用は工事内容や面積、マンションか戸建てかによって大きく異なります。
マンションの場合は、躯体(家の構造を支える骨組み)と外壁は共有部分で、改修ができません。そのため建物内部の改修のみになります。
戸建ての場合、築年数によって工事内容が変わることが多いため、費用に大きな差が出てきます。築年数が古い方が改修は大掛かりになり、費用が高くなるのが一般的です。
【リノベーションの費用相場】
工事内容 | 目安の費用(円) |
スケルトンリノベ (全面改修) | 戸建て:1,000万~1,500万 |
マンション:500万円~1,000万 | |
LDKのリノベ (間取り変更を伴う) | 150~500万 |
断熱改修 | 建物全体を断熱する場合は500万程度 ・窓の内窓追加の場合は約8~15万/箇所 |
耐震補強 | 120~200万程度 |
費用を左右する要因
リフォームやリノベーションの費用は、建物の状態や工事内容によって大きく変動します。その要因には、以下があります。
・工事の規模や範囲:部分的な修繕は比較的安価だが、大規模な改修は費用が大幅に上がる ・設備のグレード:デザイン性の高い設備や高機能な設備は費用が上がる ・築年数や建物の状態:築年数が古い場合は、耐震補強や見えない部分で老朽化(配管・配電線など)があり追加工事の可能性がある ・マンションか戸建てか:マンションは工事範囲が限られるため戸建てより費用は抑えられる |
これらの要因を考えながら、修繕や改修計画を立て、費用を把握していきましょう。正確な費用は、リフォーム業者に見積もりを取ることをおすすめします。
リフォームとリノベーションのメリット・デメリット

リフォームとリノベーションには、それぞれメリットとデメリットがあります。それぞれのメリット・デメリットを詳しくみていきましょう。
リフォームのメリット・デメリット
リフォームは工事期間が短く、手軽に住まいを改善できますが、性能アップや住みやすさの向上には限界があります。
【リフォームのメリット】 |
・工事期間が短い:1日から長くても2週間程度の工事が多く、生活への影響が少ない ・仕上がりをイメージしやすい:間取りの変更がないため、仕上がりを想像しやすい ・費用が把握しやすい:工事費用が比較的明確で、予算を立てやすい ・仮住まいはほぼ不要:住みながらのリフォームが可能な工事の方が多い |
【リフォームのデメリット】 |
・部屋の広さや動線は変わらない:部屋を広くしたいという希望には対応しにくい ・住宅の性能向上は限定的:老朽化した設備の交換や修繕が目的のため、耐震性や断熱性能の向上は期待しにくい ・築年数により効果が限定的:基礎部分や配管の老朽化への対応はリフォームでは限定的 |
古い住宅の場合は、根本的な住みやすさの改善が必要になるケースもあります。どういった住まいにしたいかの希望と住宅の現状を検討すると、リフォームで対応できるかが見えてくるでしょう。
リノベーションのメリット・デメリット
リノベーションは住宅を大規模に改修するため、間取りの変更や性能の向上が可能です。中古住宅を購入して理想の住まいにリノベーションすれば、新築よりもコストを抑えられる可能性があります。
【リノベーションのメリット】 |
・間取り変更が可能:家族構成やライフスタイルに合わせて間取りを変更できる ・住宅の性能がアップ:断熱剤の追加や耐震補強で快適に安心して住める住宅になる ・住宅購入時の選択肢が広い:購入後にリノベーションで希望の間取りにできるため、物件の選択肢が広がる |
【リノベーションのデメリット】 |
・費用が高い:大規模な工事になるため、リフォームに比べ費用が高くなる ・工期が長い:工事期間は戸建てで1~4か月、マンションで1~3か月かかる ・仮住まいが必要:解体が伴う工事中は居住できないため、仮住まいが必要になり引っ越し費用や家賃が発生する |
リノベーションは自由度が高く住宅の性能向上も可能なため、理想の暮らしを実現しやすい一方、費用や工期、仮住まいの問題を考慮して計画を立てる必要があります。
リフォームとリノベーション、どちらを選ぶべき?

目的や住宅の状態によってリフォームとリノベーションのどちらが適しているかが異なります。部分的な修繕ならリフォーム、大規模な間取り変更や耐震性、断熱性を求めるならリノベーションが良いでしょう。
リフォームが向いているケース
現状で間取りなどに不自由を感じていない場合や、耐震性、断熱性に不安がない場合には、リフォームが向いています。
壁紙や床の張り替えで部屋の雰囲気を変えたり、古くなったキッチンや浴室を新しく取り換えたりすることで、気分が一新するでしょう。新しい設備の交換は、節水や省エネ性能も期待できるメリットもあります。
リフォームは、必要な個所の修繕を低コストで、短期の工事でできるため行いやすいといえます。
リノベーションが向いているケース
家族のライフスタイルに合わせた間取りに変更したい場合は、リノベーションが向いています。大規模な工事になりますが、「リビングを広くする」「収納を増やす」などの希望もかなえられます。
また、断熱材の追加や耐震補強などの性能をプラスする工事を行うことで、快適性と安全性が向上し、築年数の古い住宅でも新築と同じ住み心地を実現可能です。さらに、配管や電気配線が老朽化している場合は、リノベーション時にまとめて交換できます。
住まいのデザインと性能を根本的に変えたい場合は、リノベーションが選択肢になります。
費用を抑えるためのポイント

リフォームやリノベーションで、コストを抑えながら、満足のいく住まいにするためには、設備の再利用や補助金の活用、見積もりで費用をしっかり把握することが重要です。
設備の再利用とグレードの検討
リフォームやリノベーションでは、すべてを新しくするのではなく、使える設備の再利用を検討してみましょう。
たとえば、数年前に取り換えたキッチンであれば、耐用年数までずいぶん残っています。汚れたコンロや、扉の取替えでイメージが一新します。キッチンであれば、シンクや、ワークトップの取り換えも可能です。
また、設備や内装材や建具などを選ぶ際は、比較をしっかり行いましょう。高級グレードにこだわらず、不要な機能やオプションをつけないことでコストを押さえられます。
補助金や助成金を活用する
工事の費用を抑えるために、国や自治体が提供する補助金や助成金を活用できます。リフォームやリノベーションを対象とした補助金は複数ありますので、対象の工事や条件、期限を事前に確認しましょう。
主なものをご紹介します。
子育てグリーン住宅支援事業 子育て世帯などを対象に、住宅の省エネ化やバリアフリー化を支援する制度 既存住宅における断熱リフォーム支援事業 高性能建材(ガラス・窓・断熱材・玄関ドア)を用いた断熱リフォームへの補助金 介護リフォーム補助金 要介護、要支援の認定者向けの住宅改修(手すり設置や段差解消など)に適用される補助金 高効率給湯器の導入時の補助金 高効率給湯器の導入を促進する補助金。対象となる製品が決まっているため指定リストの確認が必須 各自治体のリフォーム助成金 各自治体によって異なるため、事前に市区町村の窓口やホームページで確認が必要。 |
複数の業者に見積もりを依頼する
リフォームやリノベーションの費用を抑えるためには、複数の業者に見積もりを依頼し、適正価格を把握することが大切です。同じ工事でも、リフォーム業者によって価格は異なります。比較することで無駄なコストを削減し、最適な工事内容を適切な費用で行ってくれる業者を選べます。
見積もりは3社程度に依頼し、価格や工事内容を比較するのが理想です。リフォーム業者には、いろいろな業態があります。地元の工務店・大手リフォーム会社・大手家電店・住宅メーカーのリフォーム部門など、業者の特性を理解し、価格だけでなく施工品質や保証の充実度も考慮してリフォーム会社を選びましょう。
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リフォームやリノベーションをお考えなら、ウスイホームにご相談ください。戸建て・マンションとも、豊富な実績と経験があり、お客様のニーズに合わせた最適なプランをご提案いたします。
ウスイホームは1976年7月創業、横浜・湘南・横須賀エリアに密着したリフォーム・リノベーションを手掛けてきました。地域に根ざした安心のサポート体制で、理想の住まいづくりをお手伝いいたします。
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横浜・湘南・横須賀のリフォーム・リノベーション | ウスイホーム
リフォームとリノベーションの違いを理解しよう!

リフォームとリノベーションの違いを解説してきました。リフォームは比較的低コストで修繕・原状回復を短期間で行え、リノベーションは費用が高額になるものの、自由な設計で住宅性能を向上できます。
実際には「フルリフォーム」「大規模リフォーム」などの言葉で両者が混同されることもありますが、工事の目的を意識すれば、違いが見えてきます。住まいの修繕や改修を検討する際は、自分のライフスタイルや予算に合わせて、リフォームとリノベーションのどちらが適しているかを見極めることが大切です。
監修者 海沼 仁(カイヌマ ヒロシ) 【経歴】 ウスイホーム株式会社 取締役。 大学時代は不動産評価論を専攻。 卒業後、1997年にウスイホーム株式会社入社。売買仲介部門の新人賞を受賞。 2001年、新店の上大岡店店長に就任。以降、各店店長を歴任。特に新店舗の立ち上げを得意とし、後にエリアマネージャーに抜擢される。 2012年より取締役に就任。主に横浜、湘南エリアでの商圏拡大に尽力している。 地域貢献活動にも力を入れ、2021年には創業45周年を機に、SDGs推進に取り組む「ウスイグループSDGs宣言」を制定。 地域密着型営業で築き上げてきた不動産業界のキャリアと実績から、顧客の信頼も厚く、幅広い人脈を持つ。著名人・有名人からの相談や紹介も多い。 【資格】 宅地建物取引士 CPM(米国不動産経営管理士) 日本RSP協会 不動産仲介士 試験問題監修委員 |
執筆者 ウスイホーム株式会社 広報チーム 1976年に神奈川県で創業。お客様と地域の発展のため、住宅に係わるあらゆるお手伝いをさせて頂いております。長年にわたり蓄積してきた知見を活かし、新築戸建てや中古戸建てを検討・購入する際に役立つ最新情報を発信しています。 お問い合わせURL https://www.usui-home.com/contact |