不動産運用

サブリース契約期間は何年が一般的?仕組みと注意点・更新時の対処法も解説

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サブリース契約は、契約期間の選び方によって収益性やリスクが大きく変わる重要な要素です。長期・短期それぞれに異なるメリットと注意点があり、慎重な判断が求められます。

本記事では、契約の基本的な仕組みから法律上のルール、よくあるトラブル事例までを体系的に整理し、契約期間を決める際に役立つ実践的な情報をわかりやすく解説します。

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サブリース契約とは?

サブリース契約とは、物件オーナーが管理会社などの事業者に賃貸経営を一括で任せ、その代わりに一定額の家賃を受け取る契約形態です。管理会社は借り上げた物件を入居者に転貸するため、「転貸借契約」や「一括借り上げ契約」とも呼ばれます。

空室の有無に関わらず一定の家賃収入が見込める点は、大きなメリットといえるでしょう。特に、入居者対応や家賃管理などを自ら行いたくないオーナーにとっては、運用の手間が軽減される魅力があります。

ただし、契約には家賃見直しや解約条件など、収益に影響を及ぼす要素も含まれるため、事前の確認が必要です。

サブリース契約の平均的な契約期間

サブリース契約は、物件の種類や築年数、契約先によって契約期間が大きく異なります。契約の一般的な年数や更新に伴う長期化の傾向を把握することで、自分に合った契約期間を判断しやすくなります。

ここからは、サブリース契約の期間の目安や更新による長期化の実態について解説します。

契約期間の目安は10〜35年

サブリース契約は、10年から35年程度の期間で締結されるケースが一般的です。特に新築物件や大規模な開発プロジェクトでは、30年を超える長期契約が提案されることもあります。

契約期間が長くなるほど、オーナーにとっては家賃収入の見通しが立てやすくなる一方で、契約解除や条件変更のハードルが高くなる可能性もあります。契約前には、提示される年数の背景や、将来的な見直しの余地があるかどうかをよく確認することが重要です。

更新によって契約が長期化するケースも

サブリース契約は、初回の契約が5年や10年などの短中期であっても、契約更新を繰り返すことで結果的に20〜30年と長期にわたることがあります。更新時には契約条件の変更や家賃の見直しが行われる場合もあるため、毎回内容を丁寧に確認することが求められます。

表面上の契約年数に惑わされず、実際の運用期間がどれくらいになるかを見据えて契約プランを検討することで、長期的なリスク回避につながるでしょう。

長期契約と短期契約のメリット・デメリット

サブリース契約を結ぶ際は、長期契約か短期契約かによって収益性やリスクの性質が大きく変わります。それぞれの特徴を理解しておくことで、自身の投資スタイルや目的に合った契約期間を選択しやすくなります。

ここからは、長期契約と短期契約のメリット・デメリットを比較しながら解説していきます。

契約タイプメリットデメリット
長期契約①家賃収入が安定し、資金計画が立てやすい②市場の変化に柔軟に対応しづらい
短期契約③賃料交渉がしやすく、条件の見直しが可能④空室リスクにより収支が不安定になりやすい

①長期契約のメリット:家賃収入が安定する

長期のサブリース契約では、空室の影響を受けにくく、一定の家賃収入が見込める点が大きなメリットです。契約期間中は安定した収入が得られるため、資金計画やローン返済の見通しが立てやすくなります。

不動産投資において、安定収益は精神的な安心にもつながりやすいため、特に初めての投資には適した選択肢といえるでしょう。

②長期契約のデメリット:条件変更が難しい

一方で長期契約には、市場の変化に柔軟に対応しにくいというデメリットがあります。家賃相場が変動しても契約内容が固定されていることが多く、不利な条件で契約が継続されるリスクもあります。

また、解約や条件見直しが難航する場合もあり、オーナー側の裁量が制限される点は注意が必要です。

③短期契約のメリット:賃料交渉がしやすい

短期契約は、契約更新のたびに条件を見直すことが可能なため、市場環境や物件状況に応じた柔軟な対応がしやすいのが特徴です。

賃料の増減交渉や免責期間の調整など、オーナー側の意向を反映しやすいため、経営戦略を重視する投資家にとって有利な選択肢となることがあります。

④短期契約のデメリット:収支が不安定になる

短期契約では、契約終了時に空室が発生する可能性が高まり、家賃収入が一時的に途絶えるリスクを伴います。入居者の入れ替えが頻繁になる場合は、広告費や修繕費などのコストも増加し、収益が不安定になりがちです。

収益の見通しが立てづらくなるため、安定志向の投資家には不向きといえるかもしれません。

サブリース契約期間に関する法律

サブリース契約の期間設定には、民法や借地借家法などの法律が関係しており、自由に定められる部分と法的な制限がある部分があります。契約書の内容を理解するためにも、こうした法律の基本を知っておくことは不可欠です。

ここからは、契約期間に関連する法律上のルールと、実際の運用との違いについて解説します。

契約期間の最低・最長に関する法律

サブリース契約においては、契約期間の長さを自由に決められるように思われがちですが、実際には民法や借地借家法といった法律の規定が影響します。

たとえば、民法では賃貸借契約の最長期間を50年としていますが、借地借家法で建物賃貸借契約については、民法を適用しないとしており、期間の上限をなくしています。一方、最短期間については、借地借家法で期間1年未満の建物賃貸借契約は、期間の定めがないものとみなしていますので、1年以上の期間で定める必要があります。

借地借家法における契約期間の規定

借地借家法は、主に住宅用建物の賃貸借契約に適用され、契約期間に関する規定も含まれています。たとえば、先述の通り、通常の建物賃貸借契約では1年以上の期間が必要とされており、それより短い期間の契約は、借主の権利を不当に制限するものとして期間の定めがないものとみなされます。

また、契約期間満了後に自動更新されるのか、それとも再契約となるのかによって、オーナー側の管理方針や収益予測にも影響します。さらに、定期借家契約を選択した場合には、原則として更新されないため、契約終了後に建物を明け渡してもらうことが前提となります。

サブリース契約においても、借地借家法の考え方を正しく理解し、それを踏まえた契約条件の設定が求められます。

法律と実際の契約期間の違い

法律上は20年や30年といった長期契約を結ぶことも可能ですが、実務の現場では数年ごとに条件を見直す「短期運用」が一般的です。これは、家賃相場の変化や入居率、物件の状態などを適宜反映するためであり、管理会社の収支リスクを抑える意図もあります。

たとえば、契約書上は10年契約でも、実際には2年で見直し条項が設けられていることもあります。オーナー側にとっては、長期的な安定収入を期待しつつも、途中での条件変更や解除リスクに備える必要があります。

そのため、契約期間に関しては「何年まで可能か」だけでなく、「実際にどのように運用されるか」を確認することが重要です。契約前には、法律と運用実態の両面から契約内容を精査するようにしましょう。

サブリース契約期間をめぐるトラブル事例

サブリース契約は一見すると安定した収益が期待できる仕組みですが、契約期間中や更新時などに思わぬトラブルが発生するケースもあります。

ここからは、実際に起きやすい代表的なトラブル事例とその背景について解説します。

契約期間中に賃料減額交渉で揉めるケース

サブリース契約の多くは「一定額の賃料を保証する」とされていますが、契約期間中であってもサブリース会社側から賃料の減額交渉が行われることがあります。特に、空室が長期間続くなどしてサブリース会社の採算が悪化した場合、家賃見直しを求められるケースが多く見られます。

契約上、賃料改定の条項が盛り込まれていることもあり、オーナーが応じざるを得ない状況に追い込まれることもあります。安定収入を期待して契約していたにもかかわらず、想定外の減額要請により資金計画が崩れるリスクも否定できません。

契約前に賃料の減額の条件や交渉の可否について明確にしておくことが重要です。

更新拒否や免責期間をめぐる誤解が起きるケース

契約更新時における免責期間や契約終了後の取り扱いについて、書面の記載内容と当事者間の認識が一致しておらず、トラブルに発展することがあります。たとえば、契約書では更新が自動と記載されていても、実際には再契約が必要であったり、免責期間が延長されていたりする場合があります。

こうした誤解の背景には、契約内容の確認不足や専門用語への理解不足といった要因も考えられます。また、口頭での説明に頼りきってしまい、正式な文書に記載されていない事項が後になって問題化するケースも少なくありません。

契約書の文言は曖昧な表現が使われることもあるため、あらかじめ専門家などの確認を受けることが望ましいといえるでしょう。

契約期間中にサブリース会社が倒産するケース

契約期間が残っているにもかかわらず、サブリース会社が経営破綻することによって、家賃の支払いが停止されるという重大なリスクも存在します。サブリース契約はオーナーにとって安定収益を確保する手段ですが、委託先の会社が倒産すれば契約は事実上履行されず、家賃収入が途絶える恐れがあります。

そのうえ、破産手続きが開始されると、オーナーは債権者のひとりとして扱われるため、全額の回収が困難になる可能性もあります。過去には知名度の高い不動産会社が突然破綻し、多くのオーナーが被害を受けた例もあります。

契約を結ぶ際には、相手企業の財務状況や経営基盤の安定性についても十分に調査しておきましょう。

サブリース契約終了後はどうする?

サブリース契約が満了した後は、契約を更新するのか、解約するのかによって取るべき対応が異なります。ここからは、契約終了時に必要となる具体的なステップや注意点について、順を追って解説します。

契約書を精査し、更新か解約か方針を決める

サブリース契約の終了が近づいたら、まずは契約書の内容をしっかり確認し、今後の対応方針を明確にすることが大切です。更新を選ぶのか、解約して別の運用に切り替えるのかを判断するため、以下の項目を重点的にチェックしましょう。

  • 契約満了日:正確な終了日を確認し、余裕をもって準備を始める
  • 更新の有無と手続き方法:自動更新か再契約か、更新通知の要否を把握する
  • 解約条項:予告期間、違約金、原状回復義務などの条件を確認
  • 賃料や管理条件の見直し余地:更新時に交渉可能な範囲をチェック
  • 管理会社との交渉方針:更新を希望する場合でも改善点がないか検討

更新か解約かを決めるにあたっては、現状の収益性や今後の投資計画との整合性も重要な判断材料となります。契約書の内容を十分に精査したうえで、納得のいく方針を立てましょう。

サブリース会社と交渉・通知を行う

サブリース契約の解約や条件変更を行う際には、まずサブリース会社との協議が必要になります。契約書に記載された予告期間や通知方法を確認したうえで、書面による正式な通知を行いましょう。

通知は、内容証明郵便など証拠が残る手段を用いることで、後のトラブルを防ぐことができます。交渉時には、契約期間中の家賃支払状況や物件の状態、賃料の妥当性などを踏まえた説明資料を準備しておくと、やり取りがスムーズになります。

一方的な連絡でなく、双方の認識をすり合わせながら手続きを進めることが、円満な契約終了や更新につながります。

新たな管理体制や入居者契約の移行準備を進める

サブリース契約を解約する場合は、新たな管理体制への移行が必要になります。まずは信頼できる管理会社を選定し、物件の現状を把握するための現地調査や、必要に応じた修繕計画の立案を行いましょう。

入居者がいる場合は、貸主が変更する旨の合意を取得しなければならないことや、既存の契約を終了させたうえで、新たに個別の賃貸借契約を締結しなければならないこともあります。こうした移行には一定の時間と手間がかかるため、余裕のあるスケジュールで行いましょう。

物件の資産価値や収益性を維持するには、管理体制の質が非常に重要です。移行後も安定した運用ができるよう、体制整備は慎重に進めることが大切です。

新体制で管理運営を始め、条件見直しを継続する

契約終了後に新体制での管理運営が始まった後も、賃料や管理条件は定期的に見直すことが重要です。収益状況や物件の稼働率を確認しながら、エリアの賃料相場、維持コスト、入居者ニーズの変化を反映させることで、収益の最大化が図れます。

あわせて、建物の老朽化に備えた修繕計画や設備更新の検討も並行して進めておくと、将来的なトラブルの回避につながります。

契約終了は終わりではなく、より良い運営を目指す再出発の機会と捉えることが大切です。安定した収益を継続するためには、改善を重ねながら柔軟な管理体制を築いていきましょう。

サブリースの契約期間に関するご相談はウスイホームへ

サブリース契約の期間設定や更新・解約の判断には、法律や実務に関する専門知識が求められます。ウスイホームでは、物件の立地や築年数、投資目的などに応じて最適な契約期間や運用プランをご提案可能です。

不安を抱えたまま契約を進めるのではなく、信頼できるプロに相談することで、安心かつ効率的な賃貸経営を目指しましょう。

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最適なサブリース契約期間で安定経営を目指そう

サブリース契約期間は、不動産投資における収益性とリスクのバランスを左右する重要な要素です。契約の長短によってメリットもデメリットも異なるため、自身の資金計画や経営方針に合った期間設定を見極めることが大切です。

契約前の情報収集と比較検討をしっかり行うことで、空室リスクの回避や長期的な資産価値の維持にもつながります。適切な判断をもとに、安定した賃貸経営と継続的な資産形成を目指しましょう。

監修者 海沼 仁(カイヌマ ヒロシ)
ウスイホーム株式会社 代表取締役社長

【経歴】
大学時代は不動産評価論を専攻。
卒業後、1997年にウスイホーム株式会社入社。売買仲介部門の新人賞を受賞。
2001年、新店の上大岡店店長に就任。以降、各店店長を歴任。特に新店舗の立ち上げを得意とし、後にエリアマネージャーに抜擢される。
2012年より取締役に就任。主に横浜、湘南エリアでの商圏拡大に尽力している。
2021年には創業45周年を機に、SDGs推進に取り組む「ウスイグループSDGs宣言」を制定。地域貢献活動にも力を入れている。
2025年4月、ウスイホーム株式会社代表取締役社長に就任。

地域密着型営業で築き上げてきた不動産業界のキャリアと実績から、顧客の信頼も厚く、幅広い人脈を持つ。著名人・有名人からの相談や紹介も多い。

【資格】
宅地建物取引士
CPM(米国不動産経営管理士)
日本RSP協会 不動産仲介士 試験問題監修委員
執筆者 ウスイホーム株式会社 広報チーム
1976年に神奈川県で創業。横浜・湘南・横須賀エリアでオーナー様の経営方針や物件の特性に合わせたサブリースプランをご提案しています。長年にわたり蓄積してきた知見を活かし、サブリースを検討する際に役立つ情報を発信しています。
お問い合わせURL https://www.usui-home.com/contact