地域の魅力

地域の魅力~逗子駅~

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国道134号線沿い、弓なりに湾曲した海岸の一角に石原慎太郎さんの小説『太陽の季節』にちなんだ記念碑があります。海に浮かぶヨットやウインドサーフィンとともに逗子を象徴する風景が広がります。

「湘南はどこからどこまで」の議論はありますが、まち全体が湘南のイメージそのままの明るさや開放感にあふれています。もちろん、そうした部分は一面的なところ。この街の住人によれば魅力はそれだけではないようです。

今回は、「まちの記録係」を掲げる地域情報メディア「逗子葉山経済新聞」編集長の玄真琴さんに「逗子」の魅力を聞きました。

逗子葉山経済新聞 編集長の玄 真琴さん

玄 真琴 Gen Makoto
WEBメディア「みんなの経済新聞ネットワーク」に所属し、担当する「逗子葉山版」は2018年4月の創刊。
ビジネス&カルチャーの話題を中心に、みんながハッピーになるニュースを伝えている。
幼少期を逗子市で過ごし、その後、栃木県宇都宮市─都内で暮らしたが、結婚を機に大好きなこの街にUターン。
現在は逗子市内に居住し、「逗子沖縄まつり実行委員会」「歩行者と自転車のまちを考える会」「逗子文化の会」など地域活動も楽しむ逗子市民。

逗子葉山経済新聞

JR逗子駅前

― 逗子市はどんな街ですか?

逗子市は、鎌倉市・横須賀市・三浦市・葉山町がある三浦半島に位置します。海に囲まれているため、神奈川県内の中でも「冬は暖かく、夏は涼しい」という気候が特徴です。
人口は6万人ほどで、とてもコンパクト。オフィスビルや高層マンションは見当たらず、大型商業施設もありません。「大学生と会社員(OL)をなかなか見かけない街──」などと揶揄されますが、若いファミリーの移住が多く、都心に気軽にアクセスできる〝程よい田舎くらし〟を満喫できます。
生活圏では、海を眼前に臨む「逗子」駅エリアと山を背負った「東逗子」駅エリアに分けることができます。

逗子海岸ナイトウェーブ
Night Wave

― 逗子の魅力はなんでしょうか?

海山に囲まれ、のんびりしていて、都会でもなく、田舎でもなく、適度ににぎやか。イベントも多く、昔から文人やアーティストが暮らし、創造力を生むような自由な風土が魅力です。
町に吹く風は、せかすような空気じゃなく、穏やかです。

― 逗子の魅力のひとつといえば海ですが?

1970年代に日本に上陸したウインドサーフィン。逗子海岸は黎明期から盛んだったと聞いています。同じマリンスポーツである「ヨット文化」の影響もあったのでしょう。現在も愛好家からプロ選手まで、年間を通して多くの人が楽しんでいます。
近年では、サーフボードの上に立ち、パドルを漕いで海面を進むスタンド・アップ・パドル(SUP)と呼ばれるマリンレジャーが大人気。134号線沿いにはショップもたくさんあり、いつでも挑戦することができます。
もちろん海岸エリアを散歩するだけでも心地良さを感じられます。逗子海岸は三浦半島を代表する夕日の見どころスポットで、地元の人たちはこの時間帯が大好きです。
ユニークなところでは、行政や地元観光協会が近年、「通年のビーチ利用」を掲げており、ゴールデンウィークには砂浜に特大スクリーンを設置して映画鑑賞を楽しむ「逗子海岸映画祭」、秋には夕暮れから夜の海をブラックライトで照らして波を光らせ幻想的な景色を楽しめる「NightWave(ナイトウェーブ)」といったイベントが開かれています。

逗子海岸映画祭
逗子海岸映画祭
逗子海岸花火大会
逗子海岸花火大会

逗子海岸は毎年関東のトップを切って6月末に海開きが行われます。
行政が「安全で安心なファミリービーチ」を掲げ、砂浜での飲酒禁止、入れ墨・タトゥーの露出禁止などの条例を独自に制定しました。これが奏功して、訪れる人たちのマナーの良さが際立つようになりました。
海の家がつくられる前、初夏の訪れを告げるまちの風物詩になっているのが「逗子海岸花火大会」です。
10万人超が訪れる逗子市最大のイベントです。この日ばかりは、仕事を休んでビーチに繰り出す人がたくさん現れます(笑)。

逗子海岸でのラジオ体操

夏休みの公園で子どもたちが行うラジオ体操はどこの地域にもありますが、逗子海岸ではこれが年間を通して毎朝の光景になっています。
早朝6時30分にラジオからおなじみの曲が流れると、ぞろぞろと人が集まって自分のペースで身体を動かしています。
近所で整体院を営む院長が、ビーチで知人らにストレッチの指導をしたことがきっかけだそうです。
ビーチに出て朝の澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込むと一気に目が覚めます。海辺に暮らす幸せを実感する瞬間ですね

逗子駅周辺の商店街

― 逗子駅周辺の生活環境は?

交通事情で言えば、品川までJR、京急、車で約1時間。始発駅であることが大きなポイントです。湘南新宿ラインに乗れば宇都宮(栃木県)まで約3時間。グリーン車で通勤している人もいて、車中でノートパソコンを開き、帰りは缶ビールで一杯、という車内風景は珍しくありません。
横浜横須賀道路の逗子ICが近くにあるため、各方面に車でのアクセスも良好です。
唯一の難点は道幅が狭いこと。そのためか自転車を利用する人もたくさんいます。住民の健康志向を反映してか、最近駅前の駐輪場が増えました。

JR逗子駅すぐの交差点角地にある魚佐治商店
魚佐次商店神奈川県逗子市逗子2丁目6−31

買い物では、逗子駅前に広がる6つの商店街が元気です。代表的なお店でいえば、JR逗子駅すぐの交差点角地にある創業100年超の「魚佐次商店」。店内外に威勢のよい声が響き、新鮮な魚を求める買い物客で連日ごった返しています。
商店街には独自の強みや個性を発揮した個人店が数多く存在しており、新しいカフェやレストランも誕生しています。逗子は新旧のさまざまな魅力が混在し、「買い物が楽しいと思える街」だと思います。
鮮度に優れた地産食材と総菜の開発力で人気を集める「スーパー・スズキヤ」も逗子住民の心をつかんで離しません。大型ショッピングモールはありませんが、電車や車で藤沢(辻堂)・横浜・横須賀に足を伸ばせば大抵のものが手に入ります。
医療の面では、逗子市内に大型病院が存在しませんが、開業医や個人病院は数多くあり、先進医療や高度の医療技術を導入しているところもあって、私自身は特に不安を感じていません。車で30分圏内に総合病院が複数ある心強さをもあります。

逗子沖縄まつり
亀岡八幡宮神奈川県逗子市逗子5丁目2−13

逗子住民の憩いの場となっている、〝狛亀(こまがめ)〟のいる亀岡八幡宮があります。「かめじん」の愛称で知られ、おなじみのイベントが頻繁に行われています。
大人の休日をテーマに湘南エリアで人気のカフェやレストラン、ガーデン、雑貨店が集まる「逗子コミュニティパーク」や「逗子沖縄まつり」、キッチンカーを集めた「キッチンカーニバル」など多種多彩。
このほかに、植木市やフリーマーケットなども定期的に開かれていて人気です。
逗子駅前にある亀井児童公園などは、時間帯によって利用者が入れ替わり、午後になると子どもたちの無邪気な声が響いています。

披露山公園から望む江の島と富士山
披露山公園神奈川県逗子市新宿5丁目4

逗子西側にある披露山公園は披露山の頂上にあり、隠れた見どころスポットになっています。猿などの動物が飼育されているミニ動物園もあって、特に子どもたちに人気。展望台から相模湾を一望できる絶景ポイントでもあります。
134号線沿いの海側から登ればちょっとしたハイキング気分を味わえます。

― 逗子の子育て環境や教育環境は?

ジュニアスクール&クラブ

逗子は海あり山ありと、自然に恵まれた環境で子どもたちが伸び伸びと成長できる環境ではないでしょうか。地域の子どもたちを集めてユニークな活動を行っている自然体験クラブやサークルなどがいくつもあって、幼稚園や学校では味わえない経験を通じて、知的好奇心を高め、アクティブな世界を広げることができます。
10代の若者を集めたウインドサーフィンの「ジュニアスクール&クラブ」は、放課後に集まって逗子海岸で練習しています。海に近い土地の利を活かして、遊びながら自然の雄大さを学んでいます。
ここの出身者の杉匠真さんは現在プロ選手として活躍中。2021年にはU-20でワールドチャンピオンに輝いています。
子どもたちは、海・山・川であそぶことで感覚や感性が磨かれます。自然がすぐそばにある暮らしを満喫している人が多いのも逗子の特徴かもしれません。

逗子文化プラザ
逗子文化プラザ神奈川県逗子市逗子4丁目2−10

文化・教育の複合施設としては「逗子文化プラザ」があります。多目的ホール、図書館、市民活動の拠点となる生涯学習棟で構成され、地域の文化創造を担っています。
館内にあるフリースペースでは、小・中・高生が、学校でも家でもないサードプレイスとして自習している姿を見かけます。

― 子育てや教育環境としてはどうでしょう?

逗子はかねてから移住・定住のニーズは旺盛でしたが、新型コロナを機にそれが加速した印象があります。リモートワークの導入が一気に進み、多様な働き方が浸透したことで時間や場所に縛られない人が関心を寄せているようです。
「住みたいまち」「住み続けたいまち」などで上位にランキングされるのは住民にとって誇りです。転勤などの都合で引っ越してくる人よりも、逗子の暮らしぶりを気に入って移住・定住を決める人が多いのではないでしょうか。
一例として、市民有志が手掛ける「逗子海岸映画祭」や「逗子アートフェスティバル」などに遊びにきた人がその活動に共感を示し、次の年はイベントの運営にも携わるようになり、次第に地域のコミュニティに深く関わり始めて住むようになる──そんな移住・定住のサイクルが生まれています。地域住民と移住者が自然な形で混ざり合い、新しいまちづくりが進んでいる印象です。
そうした一方で 所有者による管理が行われない住宅が増加しており、「空き家問題」が顕在化しています。古くから避暑地、保養地として親しまれていたため域内に別荘などが多く、老朽化したまま放置されているのです。防災や防犯など安全性の面から行政も危機感を持っており、空き家の利活用を推進するための「空き家バンク」を開設しています。
こうした情報を住まいさがしに活用していくのも一つの手ではないでしょうか。チェックしていれば好物件にめぐりあえるかもしれません。

【逗子メモ】

【1日平均乗降人員(2022年)】

  • JR逗子駅:24,071
  • 京急線逗子・葉山駅:22,357

【見どころ・スポット】

【公園】

【幼稚園・保育園】

【小学校・中学校・高等学校】

【逗子周辺の物件】

執筆者 タウンニュース社
神奈川県全域・東京多摩地域に無料の地域情報紙(フリーペーパー)を発行。
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監修者 ウスイホーム株式会社 広報チーム
1976年に神奈川県で創業。お客様と地域の発展のため、住宅に係わるあらゆるお手伝いをさせて頂いております。長年にわたり蓄積してきた知見を活かし、新築戸建てや中古戸建てを検討・購入する際に役立つ最新情報を発信しています。
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