地域の魅力

地域の魅力~葉山町~

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葉山町は避暑地や別荘地としてのイメージが強く、海と自然に抱かれた生活スタイルは、多くの人の羨望を集める全国屈指の人気エリアとして広く知られていますが、実際はどうでしょうか。「暮らすように旅するまち、葉山」をスローガンに掲げる葉山町観光協会の髙木康之会長と髙梨敦事務局長にお話を伺いました。

葉山町観光協会の髙木康之会長と髙梨敦事務局長

髙木 康之(Takagi Yasuyuki)

1910年創業のイタリアン創作料理「菊水亭」の4代目。厨房にも立つオーナーでありながら、観光客と住民が共存し、環境まちづくりを推進する葉山町観光協会の会長。

髙梨 敦(Takanashi Atsushi)

2023年に拠点となる事務所を「葉山ステーション」内に移転開設した同観光協会で事務局長を務める。

葉山の生活道路

― 鉄道駅なし。でも、「住み続けたい街ランキング」2年連続1位の葉山

葉山町は、海と里山の豊かな自然に恵まれた街です。便利さを優先した都会の暮らしとは異なる価値観を持った人が数多く居住しており、そうしたライフスタイルを求める若い世代が移り住んでいます。
全国的に人口減少が進む中にあって、葉山は微減状態を保っており、街の新陳代謝が図られている印象です。民間企業が実施している「住み続けたい街」の調査で2022年・2023年と2年連続で1位に輝いて輝いていることがその証左。地域の魅力が数字で示され、評価を受けています。
実際に葉山を訪れていただくと分かりますが、鉄道駅がありません。道幅は狭く、休日は交通量が多くなり、渋滞も発生します。それでも、多くの住民はそれに不満や不便を感じていません。私などは「駅はなくていい」とさえ思っています。市街地の喧騒と人混みを逃れた空間でゆっくりと過ごす生活を最優先しています。
とは言え、乗り合いバスを主体とした交通インフラもしっかりあり、最寄りのJR線「逗子」駅、京急線「逗子・葉山」駅に出れば、横浜・東京など都心や小田原・箱根などの観光地へのアクセスも可能です。
ウィークデイはしっかり働き、週末は子どもたちと海や山で思いきり遊んでリフレッシュする、そんなライフスタイルを実践している若いファミリーが増えています。

葉山のビーチ

― 確かに、葉山はゆったりとした空気の流れと独特の生活リズムを感じます。

葉山には暮らしを守るルールがあります。その一つが美しい景観を守ること。これは葉山町民の総意であります。
例えば、葉山町の公共スペースなどにはゴミ箱が設置されていません。もちろんビーチにもです。ポイ捨てを「しない」「させない」空気が醸成されており、(犬と)散歩をしながらビーチの漂着ゴミを拾う、そんな自然の行動が浸透しています。
森戸海岸では、全国に先駆けて海水浴場の「フリープラスチックビーチ」を実現しました。海の家では、生分解性ストローや木製のスプーン、非木材パルプ製持ち帰り容器を使用し、プラスチック製品を極力使わずに営業しています。環境を大切にしたいという葉山町としての姿勢を打ち出しています。住人のこうした環境に対する意識の高さが葉山の町を形成しているのだと思います。

葉山でのヨガ

もうひとつ別の角度から話をすると、葉山町には地場産業や基幹産業がほとんどありません。行政の収入源は住民税が頼りであり、必然的に〝住民ファースト〟の行政サービスが打ち出されることになります。

森戸海岸の夕景

― 葉山町は古くから別荘文化や海水浴文化が根付いており、観光地のイメージもあります。

葉山町には名所や旧跡、代表的なスポットというものがあまり存在しないため、観光地ではなく景勝地の位置づけとなります。森戸海岸から眺める富士山の景色などは格別です。
そこで、葉山町観光協会が外向きに発信しているのが、「暮らすように旅する葉山」のキャッチフレーズです。小さなカフェやレストランが提供しているおいしい食事、一点ものアクセサリーなどを揃えたおしゃれなお店などをめぐり、時には小道に足を踏み入れてみるなど、街で暮らすような感覚で旅する楽しさを提唱しています。大ヒット企画に京浜急行電鉄と連携した「葉山女子旅きっぷ」があります。電車&バスの乗車券+選べるごはん券+選べるごほうび券がセットになった周遊プランで、日帰り旅のスタイルとして定着しています。
JAと漁協と商工会が葉山マリーナ近くで毎週日曜日に開いている朝市「葉山マーケット」も賑わっています。
「道の駅」の機能を持つ「葉山ステーション」は観光拠点として誕生した産直ショップですが、新鮮な食材が揃うことから好評を博しており、地元住民にも利用されています。
葉山を「第二のふるさと」のように感じて、繰り返し訪れてもらうことが我々の狙うところで、土地への愛着の形成であります。
実はこれ、「レシポンシブル・ツーリズム(責任ある観光)」という考え方に基づくもの。一部の観光地でオーバーツーリズムや地域住民にもたらされる観光公害が問題視されています。観光で地域を盛り立てたい、という思いはありますが、住民の時間と生活が第一であり、地域コミュニティや環境に悪影響を及ぼすような取り組みは論外です。葉山流の観光スタイルの発信をこれからさらに強めていく考えです。

― 「葉山はヨット発祥の地」。生活空間に海が溶け込んでいます。

明治45(1912)年、慶應義塾の水泳部が伴走用として自作のヨットを森戸沖に浮かべたことが始まりとされています。葉山港の入口には、「日本ヨット発祥の地」と刻まれたセール型の石碑もあります。
数多の大学ヨット部が森戸海岸・真名瀬海岸・一色海岸などに活動拠点(合宿所)を置いており、週末を中心に賑やかです。ジュニア世代のヨットクラブも活発に活動しており、エンジョイ派から競技志向まで、葉山町内外の人が親しんでいます。
ヨットやウインドサーフィン、カヤックなどの趣味が高じて、移住してきた人もたくさんいます。
最近の人気はSUP(スタンドアップパドル)といって、大き目のサーフボードの上に乗って、パドルを漕いで海上散歩を楽しむマリンレジャーで、世代を問わず挑戦する人が増えています。

葉山マリーナ
葉山でのお気に入りの店

― 葉山住民の暮らしぶりについて聞かせてください

葉山町内には大型商業施設やホームセンターなどはありませんが、日常の買い物は商店街にある店舗やスーパー、ドラッグストアで事足ります。車を走らせれば、横須賀や藤沢(辻堂)の映画館などを備えたショッピングモールも利用できるため、皆さん、目的に合わせてうまく使い分けている印象です。
特筆すべきは葉山町内に12ある商店街。それぞれが独自のアイデアやイベント企画を打ち出すなどして活発に動いています。
葉山元町商店会では、ゴミ拾いとスポーツを融合させた「スポGOMI」を2016年から実施団体と連携して開催しています。
葉山かざはや商店会では、「エシカル」をテーマにした、マイバッグ・マイごみ袋・マイ箸・マイコップ等を持参して集まるまつりがあります。

一色大滝商店街

一色大滝商店会は、子どもたちが仮想の街を設けて、仕事や町づくりを体験する「こどもタウン葉山」を地域と協力して取り組んでいます。当日は「こども店長」が店を切り盛りするなど、ユニークで手づくりの温かさを感じます。
地域全体で子育てを支える土壌があり、地域コミュニティが安定して機能することに繋がっています。これが自然環境を評価する声とともに、「子育て世代に選ばれる街」になっている理由かもしれません。
医療機関は、葉山町内唯一の総合病院である葉山ハートセンターと民間のクリニック、三浦半島地区の中核的病院である横須賀市立市民病院を利用することになります。
プールや体育施設などの公共施設も葉山町内にはないため、隣接する横須賀市や逗子市に出向く必要がありますね。

葉山ホームムービーデイ

― ユニークなイベント「ホームムービーデー」について聞かせてください。

家族や友人、地域の行事などを収めた8mmフィルムの映像を上映して、かつての記憶を呼び覚まして共有するものです。毎年10月第3土曜日に世界同時開催されているイベントで、葉山町では2022年・2023年に実施しています。
8mmフィルムは昭和40年から50年代に爆発的人気となり、子どもの成長や旅の思い出などのプライベート用の記録に活用されました。現在はその多くが家の押し入れに眠ったままになっています。これを引っ張り出して観賞機会を設けることで、地域の記憶をつむぎ、住民同士のコミュニケションに役立てる狙いです。
企画発案者は菊水亭の5代目である髙木雛、私の娘です(笑)。大学で映像を学んだ映写技師で、彼女を中心とした団体「シネマチェルキオ葉山」が、集まったフィルムをつなぎ直して上映しています。海の家が立ち並ぶ40年前の森戸海岸の風景や、葉山一色海岸にある小さな赤い鳥居が真っ赤な状態だった頃の貴重な映像などがありました。被写体を通じてなつかしい風景に出会える、まさに地域の歴史のアーカイブです。
葉山町は2024年に町政施行100周年となります。私自身は応援のスタンスですが、同団体が記念企画として開催の準備を進めています。若い世代を含め、かつての葉山の姿を共有することで地域への愛情や愛着が高まればと願っています。

葉山町100周年関連記念アート作品

― 最後に葉山町制100周年に際して、思うところを聞かせてください。

葉山町の住民はこの街を本当に愛しています。現在の街並みや空気感が未来永劫つづいていくことを切に願っています。元気で活力のある地域づくりを観光協会としても推し進めたいと思っています。

【葉山メモ】

【公園】

【幼稚園・保育園】

【小学校・中学校】

【葉山周辺の物件】

執筆者 タウンニュース社
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監修者 ウスイホーム株式会社 広報チーム
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