横須賀市は海と山があり、夏は涼しく冬暖かい自然に恵まれた土地です。都内へアクセスもいいため住みやすい街ですが、親から相続した空き家の活用に悩んでいる人が増え、市内には一定数の空き家が見られます。
本記事では、横須賀市の空き家の現状と条例、補助金や軽減措置を紹介。空き家を維持する・売却する際の各メリット・デメリット、空き家や更地で売却、リースバック、空き家バンク、賃貸、リフォームなど空き家の活用方法についても、プロ監修のもと解説します。
監修者 海沼 仁(カイヌマ ヒロシ) 【経歴】 ウスイホーム株式会社 取締役。 大学時代は不動産評価論を専攻。 卒業後、1997年にウスイホーム株式会社入社。売買仲介部門の新人賞を受賞。 2001年、新店の上大岡店店長に就任。以降、各店店長を歴任。特に新店舗の立ち上げを得意とし、後にエリアマネージャーに抜擢される。 2012年より取締役に就任。主に横浜、湘南エリアでの商圏拡大に尽力している。 地域貢献活動にも力を入れ、2021年には創業45周年を機に、SDGs推進に取り組む「ウスイグループSDGs宣言」を制定。 地域密着型営業で築き上げてきた不動産業界のキャリアと実績から、顧客の信頼も厚く、幅広い人脈を持つ。著名人・有名人からの相談や紹介も多い。 【資格】 宅地建物取引士 CPM(米国不動産経営管理士) 日本RSP協会 不動産仲介士 試験問題監修委員 |
横須賀市 空き家の現状・取り組み・条例
空き家問題は、行政にとっても課題になっています。空き家に対する国の取り組みや条例はどうなっているのでしょうか。横須賀市の空き家の現状と市の取り組みについて見ていきましょう。
空き家に対する特別措置法の改正でより厳しく
全国で空き家問題が深刻化している中、「空家等対策の推進に関する特別措置法(国土交通省)」の一部を改正する法律が令和5年12月に施行されました。この改正により、空き家を放置することに対する規制が厳しくなりました。
具体的には、空き家を放置してしまうと、自治体から管理不全空き家として、指導を受ける可能性があるのです。
指導を受けても、改善が見られない場合は「特定空き家」に指定され、場合によっては固定資産税が3〜6倍に増加するような可能性もゼロではないといいます。これは、住宅用地として1/6に軽減されている固定資産税の特例措置が、特定空き家に指定されることで適用されなくなり、本来の税率が適用されるためです。
法律の改正は、空き家に対する持ち主の管理を促し、空き家があっても地域の美観や安全が保たれることを主な目的として制定されています。高額な固定資産税にならないよう、空き家の持ち主は早期に現状把握と対策を取ることが必要になっているのです。
※「空き家」の表記について:本記事では基本的に「空き家」で統一していますが、条例などで「空家」としている場合、そのまま引用しています。
横須賀市 空き家の現状と条例
画像引用:第2期 横須賀市空家等対策計画_横須賀市(令和4年)
神奈川県などの都心部でも、地域によっては空き家問題が深刻化しており、横須賀市も例外ではありません。横須賀市の戸建て住宅に占める空き家率について、第2期 横須賀市空家等対策計画_横須賀市(令和4年)を参考に解説します。
総住宅に占める空き家全体の割合の中でも、上記画像でグレー枠で囲まれた「空家等対策計画の対象となる空き家等の範囲」に限ると、横須賀市は国の平均11.1%を下回る9.8%という結果でした。
ここには、「二次的住宅(普段は住んでいないが週末や休暇時、仕事時などに使用される住宅) 」「賃貸用の住宅(賃貸のために空き家になっている住宅)」「売却用の住宅(売却のために空き家になっている住宅)」なども含まれていますが、空き家問題として注目すべきは、「その他の住宅」です。
「その他の住宅」には、転勤・長期入院、解体予定などの理由で長期間人が住んでいない住宅が分類されますが、周辺地域へ悪影響を及ぼす可能性がある腐朽や破損のある住宅が、2,200戸も存在している現状です。
このような現状もあってか、「横須賀市空き家等の適正管理に関する条例」が制定され、空き家の管理について、「除草」や「交通の障害にならない」「周辺環境を阻害しない」などを所有者に義務付けています。
空き家対策に補助金や軽減措置は?
横須賀市では空き家対策として、一定の要件を満たす場合に、補助金や軽減措置を受けることが可能です。2024年時点の横須賀市の一例を紹介します。
なお、条例や補助内容は、状況に応じて都度見直し・変更が行われるため、一つの目安として参考にし、必ず最新の情報を確認しましょう。
- 空き家解体費用補助金
老朽化した空き家を除却(解体)する場合に、解体費用の一部を補助する制度 - 被相続人居住用家屋等確認書の交付(譲渡所得に対する3,000万円の特別控除)
一定期間内に、相続した戸建て住宅(空き家等)を譲渡することで譲渡所得に対する特別控除の特例措置を受けられる国の制度 - 2世帯住宅リフォーム補助金
横須賀市内の一戸建て住宅に住む親世帯が、市外から子ども家族を呼んで同居するための施策。対象となるリフォーム工事を行う際のリフォーム費用の一部を補助する制度 - 空き家所有者・管理者向け相談会
空き家等の所有者や管理者を対象とした相談会。不動産事業者をはじめとする専門家からアドバイスなどが受けられる
空き家は、補助金や助成制度などを利用して、早めに対策するのが得策といえるでしょう。
参考:第2期 横須賀市空家等対策計画_横須賀市(令和4年)第4章具体的な対策p18
空き家にかかわるメリットとリスク
所有の空き家が気になっていても、いざ、取り壊しや、売却となると二の足を踏むケースもあります。空き家にかかわるメリットとリスクを整理し、自分にとって最適な空き家対策を考えていきましょう。
空き家を維持するメリットとデメリット
まずは、空き家を維持するメリットとデメリットから考えてみましょう。
<メリット>
・退職や状況が整ったら、空き家に移住したり、週末や休暇時に利用する二次的住宅としてて活用する余地を残しておきたい
・空き家を賃貸として貸し出したり、土地活用をして資産にしたいと考えている
<デメリット>
・固定資産税がかかる。「特定空き家」に指定されると固定資産税が高くなる
・老朽化していると、倒壊などの危険性がある。修繕費や定期的な手入れが必要
自分で住んだり別荘として使ったりするつもりがない場合や、空き家や土地を活用しての収益を求めない場合は、空き家を維持するデメリットの方が上回る可能性があります。
空き家を手放すメリットとリスク
空き家を手放すことのメリットとデメリットも見ていきましょう。
<メリット>
・売却金を手にできる
・管理する手間と費用がかからなくなる
・固定資産税がかからない
<デメリット>
・更地にする場合は、解体費用がかかる
・思い出のある実家を売却すると、喪失感を抱く人もいる
・売却を決意しても長期間売れなかったり、安値でしか売れないケースもある
相続した資産の一つが空き家付きの土地で、複数の相続人で分割する場合は、売却して現金化するケースが多いようです。
空き家売却を検討する場合は、一般的にどのような方法や種類があるのでしょうか。横須賀市の空き家対策の具体例を紹介します。
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横須賀市 空き家対策・空き家再生施策|売却する
空き家を放置することで起こるさまざまな問題を避けるためにも、自分の状況に合う対策を取ることが大切です。空き家対策とそのポイントを確認していきましょう。
「空き家ごと売却」を相談する
画像:横須賀市追浜の町並み(鷹取山公園からの眺望)
多くの人がイメージする空き家の解決方法の一つが、空き家を含めた土地を丸ごと売却する方法です。
最近は、古い中古戸建てでも、買主が自分好みにフルリノベーションして活用するケースが増えているため、空き家の築年数がたっていても最初から諦める必要はありません。空き家の状態が多少悪くても基礎部分の強度などがあれば、中古戸建てとして売却できる可能性があります。
<メリット>
・空き家管理の手間、固定資産税の支払いから解放される
・空き家を解体する費用がかからない
空き家を売却する際には、私物や家財道具を整理し処分する作業が必要です。仏壇を引き継がない場合は、お寺に依頼して法要を依頼する配慮も必要になるでしょう。
不動産会社選びでは、横須賀の売却相場に詳しい地元に強い不動産会社がおすすめです。相場だけでなく、横須賀市の補助金や助成金制度に詳しいため的確なアドバイスがもらえる可能性が高まるでしょう。
▶おすすめ記事:【プロ監修】不動産の相続時に知っておきたいポイント|横須賀編
▼不動産売却に関するご相談はこちら▼
横浜・湘南・横須賀の不動産(マンション・アパート・事務所・一戸建て・土地)売却 | ウスイホーム
「更地にして売却」を相談する
空き家が、中古戸建てとして機能を果たせないほど傷んでいるような場合は更地にして売却することを検討するのもよいでしょう。
<メリット>
・古家付きより早く買い手がつくケースが多い
・「契約不適合責任」のリスクを避けやすい(※)
更地にして売却をする際に注意点は以下の3つです。空き家付きで売却するケースなど、そのほかの対策と比較しながら慎重に検討することをおすすめします。
・古家の解体費用は売却する側の負担になる
・空き家の解体には、地中の浄化槽など見えない設備の撤去や、水道・ガス・電気に関する工事や手続きを行う必要がある。解体事業者とのスケジュールの打ち合わせや見積もりの確認をしっかり行う
・更地の状態で1月1日を迎えてしまうと、固定資産税の住宅用地の特例がなくなる可能性がある
※不動産売買における「契約不適合責任」とは、空き家や土地に何らかの欠陥があり、売却後であっても、売主が一定の責任を追及される可能性があることをいいます。具体的には、シロアリ等の害虫による侵食、土地の汚染などが例としてあげられます。
参考記事:【プロ監修】戸建ての解体費用とは?費用・期間・注意点を解説
▶おすすめ記事:【プロ監修】戸建て売却の注意点と流れとは?贈与・相続・ローン残債
リースバック「レントホーム」を 検討する
高齢の家族が施設に入る計画などで空き家対策が気になる場合は、リースバックを活用する方法があります。
通常の不動産売却では戸建てを不動産会社に売却した後、引っ越す必要がありますが、リースバックは家を不動産会社に売却するものの、買主となった不動産会社と新しく賃貸契約を結ぶことで、そのまま自宅に住み続けられる仕組みです。
<メリット>
・高齢者施設への入居予定で順番待ちをしている家族、入居資金作りを検討している場合などに適している方法
・家を売却しても引っ越しの必要がない
リースバックには、いろいろなプランがあるので、自分たちにあったプランを慎重に検討しましょう。
▼横須賀市のリースバックはウスイホーム▼
横浜・湘南・横須賀のリースバック「レントホーム」
不動産担保ローン・リバースモーゲージとの違いとは? 家を元に現金を捻出する方法として、不動産担保ローンとリバースモーゲージという別の方法もあります。 不動産担保ローンは、家や土地を担保としてお金を借り入れるため、元本と利息の支払いが毎月発生し、完済すれば不動産は手放さなくても済む仕組みです。リバースモゲージも家や土地を担保にお金を借りますが、毎月の支払いは一般的に利息のみで、死亡時に不動産を売却して返済する方法です。 リースバックは、はじめに家を売却して、その後は賃貸契約を結ぶ方法のため、上記の2つとは異なる仕組みといえるでしょう。 |
賃貸として貸し出す
画像:横須賀港と街並み(塚山公園からの眺望)
家がまだ住める状態であれば、賃貸として一部リフォームするなどして貸し出して収入につなげる方法があります。利便性のいい市街地であれば事務所として貸し出したり、更地にして駐車場として活用する方法もあるでしょう。
また、横須賀の場合、通常より高めの賃料が期待できる米海軍向けの賃貸物件として貸し出す選択肢もあります。
<メリット>
・収入により、固定資産税(の一部)を賄える可能性がある
・今すぐは住めないけど、いつか横須賀で暮らしたい場合に、家を手放さずに維持できる
▼横須賀市の米軍向けの戸建て賃貸について▼
米海軍(ベース契約)向けの賃貸物件-横須賀・湘南・横須賀不動産・賃貸|ウスイホーム
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資産運用・相続 横浜・湘南・横須賀不動産会社・賃貸|ウスイホーム
賃貸で貸し出すときの注意点 賃貸契約を結ぶと借主には、一般に「居住権」といわれる「賃貸権」が発生することです。貸主側の都合で出て行ってもらったり、売却したりできなくなるので中長期的な計画で考えましょう。 また、無償で親族や友人などに貸す場合、20年間土地所有の権利を主張しないと、賃借権や地上権、地役権などの権利が時効取得の対象となります。無償で貸した相手に権利が移ってしまう可能性があるため、わずかでも賃料が発生する正式な賃貸契約を結ぶことをおすすめします。 |
空き家バンクに登録する
横須賀市では、空き家バンクを運営しています。横須賀市が管理しているサイトに、自分が所有する空き家情報を登録して、買主を探すことができます。
基本的には横須賀市が間に入って売却をサポートするわけではなく情報を公開するだけだったり、登録できる条件が限られていたりするため、最終的には不動産会社に相談することになるケースが多いようです。売却を検討する際の一つの方法として覚えておくとよいでしょう。
カフェや民宿として活用
空き家の立地によっては、店舗やカフェ、ワーケションの施設、民宿などとして活用することが可能かもしれません。古民家カフェ、外国人旅行者や都心で暮らす人向けの民泊に活用できる古家付き物件として、不動産会社に売却をしたり、賃貸の相談をしてみるのも得策です。
これらは海や自然が近く、都心への交通の便がいい横須賀の魅力を強みにした活用方法といえるでしょう。
しかし、空き家が古い場合は、耐震などの基準を満たす工事や、内装のリフォームに初期費用がかかります。また、人に貸したり売却したりする場合は権利や法律などが絡むため、不動産会社に相談したり仲介してもらうことで、トラブルを避けるよう対策することがポイントです。
リフォームして住む・別荘として活用
近年増えている、在宅勤務や通勤と在宅をミックスしたハイブリッドワークであれば、横須賀市から多少距離がある都心への通勤でも、あまり負担なく継続することが可能でしょう。
横須賀エリアであれば、京浜急行線やJR横須賀線で、横浜・川崎・品川などへも1本でアクセスできるため、横須賀は想像以上に通勤・通学に便利な立地なのです。
空き家に住むためには、リフォームが必要になるかもしれませんが、賃貸住宅に住んでいる場合は、家賃がかからなくなるというメリットと比べて検討したいところです。
子育て世代なら、子どもと一緒に海や自然の中で思いっきり遊ぶための別荘として活用する使い方もあるでしょう。子どもが巣立った世代であれば、空き家をリフォームして自然豊かな環境に移住するという選択肢もあります。
自分の人生設計や家族のライフスタイルもふまえて、長い目線で検討しましょう。
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横浜・湘南・横須賀のリフォーム・リノベーション|ウスイホーム
横須賀市の空き家対策で悩んだら信頼できる不動産会社に相談を
横須賀市の空き家の現状と、空き家対策・活用方法について紹介しました。空き家対策には、売却はもちろん、空き家を活用するための複数の方法があることも分かりました。
売却するか否かの判断に迷っているような場合は、まずは横須賀の売却情報や補助金の情報に詳しい地元の不動産会社に相談してみることをおすすめします。今ある空き家をリスクにしないために、できるところから行動してみましょう。
【横浜、横須賀周辺の物件】
執筆者 ウスイホーム株式会社 広報チーム 1976年に神奈川県で創業。お客様と地域の発展のため、住宅に係わるあらゆるお手伝いをさせて頂いております。長年にわたり蓄積してきた知見を活かし、新築戸建てや中古戸建てを検討・購入する際に役立つ最新情報を発信しています。 お問い合わせURL https://www.usui-home.com/contact |